下北沢通信

中西理の下北沢通信

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キリンアートプロジェクト2005「次々」*1

キリンアートプロジェクト2005「次々」KPOキリンプラザOSAKA)を見る。

石上純也/大森隆義/カワイオカムラ/淀川テクニック/束芋

 キリンアワードの後番組となるキリンの新企画。4組のアーティストが4人のキュレーター(選者)によって選ばれているのだが、圧倒的に面白かったのが「淀川テクニック」である。
 ゴミみたいな美術とよく悪口として言われることがあるが、こと「淀川テクニック」に関していえば説明として的を得ている。もっとも、より正確さをきせば間違っているかも。というのは彼らの作品は「ゴミみたい」なんじゃなくて、「ゴミそのもの」だからだ(笑い)。

淀川テクニック(よどがわてくにっく)
柴田英昭(しばたひであき)/1976年岡山県生まれ。
松永和也(まつながかずや)/1977年熊本県生まれ。2003年大阪淀川に落ちているゴミ、漂流物等を使って作品を作るアートユニット「淀川テクニック」結成。2004年『ゴミ淀川産展』淀川区役所内淀川区民ギャラリー、大阪淀川十三橋のたもとに作品を常時展示中。2004年『GEISAI-5』銀賞受賞

 紹介サイトでの経歴にもあるように「淀川テクニック」とは大阪淀川に落ちているゴミ、漂流物等を使って作品を作るアートユニット。海岸に漂流する漂流物などを使って作品を作る美術家の作品は以前見たことがあるが、そういう人の作品と彼らが大きく違うのは彼らの作品は「大阪淀川十三橋のたもとに作品を常時展示中」という現地で見たら、おそらく映像作品として提示されているビデオに映る作品を見る限りは美術作品というよりは「ゴミそのもの」にしか見えないだろうということ(笑い)。そういう意味で作品そのものはそれこそ思わず笑ってしまうぐらいしょぼい(特にビデオに登場したゴミ犬はもうちょっとなんとかならんか感がすごかった)のだが、それでも美術家として彼らのセンスが侮れないなと思うのは、奥の方に作品の素材、そして、それもある意味「作品」として、ラップで食品のように梱包された「淀川産のゴミ」が壁いっぱいに展示されていて、それはもう本当に汚らしい感じなのだが、そこの場所とは敷居パネルで分離された会場の入り口に数点、彼らの作品を写真で写して引き伸ばしたものが展示されているのだが、それはびっくりするぐらいに美しく*1、このギャップはいったいなんなんだろうと考えさせられるからだ。 
 後から聞いたところによるとこの作品が観客投票による「グランプリ」を受賞したということだが、それも当然と思わせるものがあった。ただ、それでもあのアトリエに行く勇気はなかなかないが(笑い)。冬は目茶寒そうだし、夏は夏でやぶ蚊をはじめいろんなものに悩まされそうそうだし。