下北沢通信

中西理の下北沢通信

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ベトナムからの笑い声「ベトナムガエシ」@精華小劇場

京都で活動する社会人劇団、3度目となる大阪公演。テーマは「笑い」。ただし、単純な「笑い」ではない。それは面白いのか、笑えるのか、笑ってよいのか???と客席が微妙な空気になること多発。今回は、4年前に上演したエセミュージカル『オリエンタル歌劇団』の再演他、4本のオムニバス公演。
□脚本
黒川猛
□出演
荒木千恵 黒川猛 徳永勝則 西河ヤスノリ 信國恵太 堀江洋一 松村康右 山方由美

ベトナムからの笑い声ベトナムガエシ」観劇。ラジカルガジベリビンバシステム、劇団健康、ガバメント・オブ・ドッグスなど純度の高い笑いのみを追求した集団が長続きしないのはなぜなのか?そんななかで旗揚げから14年間それだけを追求し続けてきた彼らの存在は本当に稀有のものじゃないかと思う。
ベトナムからの笑い声が笑いのみを追求できたのは東京でなく(そして大阪でもなく)京都の劇団であり、アマチュアであることをあえて選択したことにある。それゆえに内容の質に即した知名度がなく、東京に出てメディアの世界で一発当ててやろうなどという価値観も彼らのなかにない(昔はあったかも)。
笑いの集団が長続きしない理由のひとつは俳優というのは笑いだけを追求していればいいというわけにはいかない。特に東京でプロの俳優としてやっていく場合にはそうで、劇団健康からナイロン100℃に替ってKERAが作風を変化させていったりしたのにもそういうことはどこかで関係していると思う。
もうひとつは舞台の笑いとテレビや寄席の笑いは違うということであり、笑いの集団を率いてきた作家はその才能を買われてテレビの構成作家や脚本家となってしまうことが多いが、これも似て非なるもので実は両立は難しい。