下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

劇団うりんこ「妥協点P」@こまばアゴラ劇場

高校の図書準備室で起こる密室群像劇
Thereis Room For Compromise.
そこは、高校の図書準備室。
ホコリをかぶった本たちがうず高く積み上がる。
めったに人がやって来ないこの部屋は、
大っぴらにはできない
"生徒指導"を行うにはうってつけの場所。
劇団うりんこ「妥協点P」@こまばアゴラ劇場

発端は、ある生徒が書いた学級劇の台本。
そこに描かれていたのは恋人たちの物語。

もしそれが異国の王子と姫ならば
問題はなかった。
問いかける教師。答えない生徒。
この一冊の台本から、
他者と自分の、
現実と理想の、
今日と未来の、
自分自身との、妥協点を探す旅がはじまる。

「妥協点P」twitterでの感想をまとめました。
カンバセージョンズにて柴幸男の「今」が分かるインタビューが連載中
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=折り込み情報=
2月7日(金)13:00〜 うりんこ劇場 一斉 600部
キャスト
朝比奈緑 藤本伸江 牧野和彦 宮田智康 山中真理子
スタッフ
作・演出:柴幸男(ままごと)
舞台美術:杉原邦生(KUNIO)
照明:御原祥子 衣裳:さくま晶子 舞台監督:牧野和彦
宣伝美術:加藤賢策 内田あみか(LABORATORIES)
制作:平松隆之 安形葉子

「関係性の演劇」とそれを継ぐ者たち
http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/00001123

 ままごと「わたしの星」、劇団うりんこ「妥協点P」とひさびさに柴幸男作演出による新作を2日連日で観劇した。柴幸男の作家的な特徴は「演劇の構造の中に物語の進行以外の作品内で規定された固有のルールのようなものを持ち込んで、それによって舞台を進行させるというアイデアを持ち込んだこと」と平田オリザ門下の3人の劇作家・演出家(多田淳之介、柴幸男、松井周)を取り上げた上記の論考(シアターアーツ57号収録)で書いたのだが、いずれもそうした作風の延長線上にはありながらも「わたしの星」と「妥協点P」ではそのアプローチが正反対にも思われたのが興味深い。作品の構造もそうだが、それぞれの作品で描かれている世界観も対称的に思われた。
 ただ、両者の作品には共通点もあってそれはいずれも「学校」を舞台として選んだということだ。もちろん、それぞれの作品にはそれぞれに学校を舞台として選ぶに至った理由というのは存在しており、ままごと「わたしの星」は劇場との共同プロデュースで高校生たちと一緒に作り上げる舞台だったから、「妥協点P」は劇団うりんこが児童劇団で、小中学生らに見せて関心を引きそうなモチーフだからというようなことがいえるにはいえるが、昨年あいちトリエンナーレで上演した新作「日本の大人」@愛知県芸術劇場小ホールも「学校」を舞台にしていたことを考えるとそれぞれの理由以上の作家としての動機があるのかもしれない。
 もっともそれぞれの作品には学校の描き方において大きな相違が存在する。