FUKAIPRODUCE羽衣「瞬間光年」@こまばアゴラ劇場
プロデュース:深井順子 作・演出・音楽:糸井幸之介
出演
深井順子 日髙啓介 キムユス 岡本陽介 浅川千絵(以上、FUKAIPRODUCE 羽衣)
幸田尚子 石川朝日 飯田一期
この劇団を推してる人は大勢いるから、私がどうこう言うことではないのだけれど、どうもこの劇団とは相性がよくないのではないかと思った。笑わせることだけが主目的の芝居ではないので本質的なことではないのだけれどまず第一に客席の何人かが大笑いしているところで全然笑えない。どこがおかしいのかまったく分からない。そういうことが続くと寒々とした気分になってきてしまうのだ。そんななかで美人なのにやってることがメチャクチャで何もかも台無しな幸田尚子だけは本当におかしいのだが、どう考えても、これは彼女の個人技じゃないかと思ってしまった。
全体の構造からすれば最後のところが主題的に見せたいところで、宇宙の死(ブラックホール的なものに全てのみ込まれていく)と再生(ビッグバン)のようなもので、それまでに繰り返される7つのエピソードはいずれも生と死を象徴しているというようなイメージだろうか。ただ、この前半部分にループ構造が多用されているせいで、私にはそれが延々と長いものに感じられて生理的に耐え難いものがあったのも確かなのだ。
構造的には少年王者舘に近いのかもしれない。ただ、私にとっては陶酔させて異世界に連れさってしまうような魔力が王者舘にはあるのだが、ここにはないのだった。