青年団リンク 世田谷シルク日瑞共同制作『ふしぎな影』@こまばアゴラ劇場
脚本・演出:堀川炎、Nasrin Barati
スウェーデンの小さな劇場で終演後、スタッフさんに声をかけられました。
そして面白い人だから会ってみてと、そこの演出家を紹介してくれました。
その当時2015年、私はちょうどヨーロッパにいて、現地の人たちからシリア内戦とテロへの怒り、徒労感を聞いていました。ですから数日後にその演出家と会って、彼女が「愛」とそれを失くした「戦争」について児童作品を作りたいと言った時、私は迷いなく乗りました。それが、この作品のスタートです。パペットには西川古柳座さんに協力していただいた車人形を使い、両国の音楽家と共にサイレント演劇で上演します。<世田谷シルク>
2009年旗揚げ。日常生活に突如入り込む奇妙な状況を、時にコミカルに描く。
近年は、パペットやマスクを使用した演劇やノンバーバルコミュニケーションを目的とした
サイレント演劇など、セリフと俳優のみの演劇にこだわらない新しい表現を模索している。
<Teater Sesam >
1987年に設立されたパペットと影絵のカンパニー。
伝統とモダンな手法の両方を取り入れ、スウェーデンにおいて表現の自由化を導いてきた団体。
通常上演している場所はGothenburgのChapman’s Square。
全ての年齢の人のための、そして子供たちと若者にメインの焦点を当て上演している。
出演武井希未、堀川炎(以上、世田谷シルク)、
小寺悠介、中藤奨(以上、青年団)、
Alexander Hopman Lilja 、
Golnosh Hosseini 、
Gustav Borehed、音楽家 やぶくみこ、Jesper Berger
スタッフ
舞台監督:土居歩、照明:阿部将之(LICHT-ER)
宣伝美術 本庄浩剛(デザイン)、白尾可奈子(イラストレーション)
制作:玉城大祐、太田久美子(以上、青年団)
協力:西川古柳座
元山の手事情社で青年団演出部の堀川炎が率いる世田谷シルクとスウェーデンの児童劇団Teater Sesam との共同制作作品。セリフはいっさいなく、ダンス、マイム(無対照演技)、人形劇、影絵などを組み合わせた無言劇である。
児童劇というわけではなく、現代の戦争などをモチーフに取り入れて大人の鑑賞にも堪えるものを創作しようと試みてはいる。ただ現代アートの作品として受容するには表現の手法的にもモチーフ的にも新味に欠ける印象が強くて、やや物足りないかもしれない。描かれた対象も日本の事例ではなく、おそらくスウェーデンの事例でもないためにどこか寓話的、牧歌的になってしまっていて、現代の真摯な現実をリアルに作品化したものと考えると厳しいかもしれない。こういう形でやるなら何か固有のテキストを下敷きにしてそこに現代の風味を付け加えるようにした方がこうした表現手法には向いていたのではないかと思った。