下北沢通信

中西理の下北沢通信

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サラダボール「サド侯爵夫人」(2回目)@こまばアゴラ劇場

サラダボール「サド侯爵夫人」(2回目)@こまばアゴラ劇場

作:三島由紀夫 演出:西村和宏
アルフォンス。私がこの世で逢った一番ふしぎな人。
1772年秋。パリのモントルイユ夫人の屋敷でサド侯爵(アルフォンス)の犯罪と逃亡にまつわる醜聞について話すサン・フォン伯爵夫人とシミアーヌ男爵夫人。モントルイユ夫人は二人にサド侯爵を救済してほしいと依頼する。そこにサド侯爵に献身的に尽くし理解者であろうとする夫人ルネ、ついで妹アンヌも現れる――

サド侯爵を巡っての女たちの激しい対立。
言葉と言葉、論理と論理の応酬。

「アルフォンスは、私だったのです。」


演出家より▼

命尽きたあと、人は緩やかに死んでいくのだと思う。
それは記憶の問題として。
希望も、貞淑も、悪徳も、欲望も、緩やかに死んでいく。
サド侯爵は生きながら死んでしまったのだろう、緩やかに。だからルネは会わない。不思議ではなくなったから。
三島はまだ生きている。言葉として、文学として、演劇として。美しさと不可解さを残しながら、まだ血を流している。
それをこの3時間の舞台で証明してみたい。

演出家 西村和宏

西村和宏
演出家、サラダボール主宰、四国学院大学准教授、ノトススタジオ芸術監督。
1973年生、兵庫県出身。1999年より川村毅氏が主宰する劇団第三エロチカで俳優として活動。2002年にサラダボールを立ち上げ、以降すべての演出を手掛ける。2005年より平田オリザ氏が主宰する劇団青年団の演出部に所属。2011年より四国学院大学身体表現と舞台芸術メジャー(演劇コース)にて教鞭を執る。これを機に活動の拠点を香川県に移し、高校生向けのワークショップや市民劇創作、子ども向け音楽劇など四国内で幅広く演劇教育や創作活動を行っている。

サラダボール
演出家・西村和宏が、古典戯曲から現代戯曲まで様々なジャンルの作品を上演する場。座付作家・鈴木大介のシュールな不条理現代劇からシェイクスピアチェーホフ岸田國士や三好十郎まで多様な戯曲を扱い、上演ごとに作品の色合いが大胆に変化する。歌にダンスのエンタメショー、言葉の妙を味わう対話劇、親子で楽しめる子ども参加型演劇など、多彩な作品を生み出す演劇のるつぼ、サラダボール。「拠点四国」として地域社会に根ざした芸術活動を行う。


サラダボール公演『サド侯爵夫人』2020年10月
四国学院大学ノトススタジオ
撮影 : 加藤晋平

出演
ルネ:高橋なつみ(サラダボール)
モントルイユ夫人:鈴木智香子(青年団/サラダボール)
アンヌ:永山香月
シミアーヌ男爵夫人:横関亜莉彩(サラダボール)
シャルロット:ほりゆり
サン・フォン伯爵夫人:申 瑞季青年団

スタッフ
舞台美術 : カミイケタクヤ
舞台美術アシスタント : 武智奏子
照明 : 西山和宏(ミュウ・ライティング・オフィス)
音響 : 高橋克司(東温音響)
舞台監督 : 前田浩和(だるまど〜る)
衣装 : 西村ひとみ
宣伝美術 : hi foo farm
写真 : 加藤晋平
制作 : 太田久美子(青年団) 宮地真優 上田英治