世界劇団「さらばコスモス」@こまばアゴラ劇場
【脚本・演出】本坊由華子
【出演者】本坊由華子、赤澤里瑛、廣本奏、渡邊沙織(情熱’ダイヤモンド)、ZOO(kunstkammer)
昔々、人々は想像した。神話を生み世界を創った。ある日事件が起きる。
三人家族の父親が殺された。死体の頭は真っ二つに割られていた。娘と母親、事件を追うジャーナリスト、死体を解剖する医者。真実を究明する四人と空想の神々がリンクしていく。人間の根源、社会の構造、医学の真実を神話をモチーフに描く。身体と音と言葉の嵐。総合芸術を劇場空間で体感あれ。
【スタッフ】
舞台監督/装置:前田浩和(劇団だるまど~る)
衣装:渡邊沙織(情熱’ダイヤモンド)
照明:髙山泰秀
照明操作:兵頭美咲
音響:平野友哉
ドラマトゥルク:髙山力造
宣伝美術:立木幹生(coup company)
制作:世界劇団/合同会社kitaya505
【団体プロフィール】
愛媛を拠点に活動する現役の医師と医学生がメンバーという稀有な劇団。脚本・演出を務める本坊由華子は、三代目四国劇王と三代目中国劇王の二冠を獲得。2015年に「劇王天下統一大会 in KAAT」(神奈川)に四国代表として出場し、高い評価を得る。2017年には短編代表作である「鼓動の壷」と長編「さらばコスモス」2本を引っさげ、松山、広島、北九州の3都市ツアーを敢行した。今夏には、本坊由華子が利賀演出家コンクール2018に選出されるなど、今最も旬な劇団である。
世界劇団「さらばコスモス」@こまばアゴラ劇場を観劇。現在進行形の猟奇的な殺人事件と神話的なイメージが交錯する。登場人物の誰か(おそらく娘?)も精神疾患にともなう妄想の世界とも解釈できなくはないが、現実と妄想の境界が曖昧模糊としていて判然としない。
作品批判ではなく、私はこういう妄想の奔流のようなものが解釈の枠組みがあまりないまま、投げ出されるような表現は苦手なんだということを思い起こさせた。逆に言えば例えば京極夏彦氏の作品のように妄想というか、幻想というか非現実なイメージが色濃く表現されていても、それを解釈の枠組みが再構築できているようなものは好みである。逆に根源的に合理的な理解を拒むような表現(サルトルの「嘔吐」とか)は苦手。この作品にはそういう部分があり、ということは好みとはいえないが、嘔吐を起こさせる力はあるということだ。