下北沢通信

中西理の下北沢通信

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ももクロバレンタインイベント 10周年の集大成に和田アキ子が登場 ニッポン放送 ももいろクローバーZももクロくらぶxoxo ~バレンタイン DE NIGHT だぁ~Z! 2022裏@さいたまスーパーアリーナ

ニッポン放送 ももいろクローバーZももクロくらぶxoxo ~バレンタイン DE NIGHT だぁ~Z! 2022裏@さいたまスーパーアリーナ

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席はさいたまスーパーアリーナ最後方の400レベル。昨年は「表」のレポートしか書いてないので裏は見てなかったのだろうか記憶があいまいだ。ニッポン放送が主催するももクロのバレンタインイベントは今年で10周年となるのだが、冒頭部分で「バレンタインイベントは新たに生まれ変わる」とし、今回は初日の「裏」がこれまでの10年間の総括、2日目の「表」が「未来に向けて新たなバレイべとなる」との宣言があった。
 そのコンセプトに従いこの日はこれまでの10年間になにがあったかを年表をもとに振り返った。伝説のすごろく回の話題に加え、今回はバスケットボールのシュート競走も再現。ももクロ得意のグダグダな展開もありながら、台本もないのに百田夏菜子がそれを「オモシロ」の展開に持っていくのは凄いとしかいいようがない。あの飯塚悟志東京03)をして「バラエティーの怪物」と言わしめた夏菜子の面目躍如と思う*1
 昨年のバレイべ(表)でもやった「stay gold」からスタートしたセットリストは「乙女戦争」、新曲の「BUTTOBI!!」をはさんで「イマジネーション」とこれまでのバレンタインイベントで歌われてきた頻度の高い歌を中心に選曲されたようだっと。
 コンセプトはかなり以前から決まっていたはずなので、偶然だとは思うのだがももクロが直近で行った3つのライブ(「origin」「13周年ライブ」と今回の「裏」)は「新旧曲を取り揃えてももクロの歴史を振り返る」というようなライブの趣旨に一貫性があった。特に「13周年ライブ」とはソロ曲を除くこの日歌われたももクロ楽曲11曲のうち冒頭の3曲を含め「ゴリラパンチ」「猛烈宇宙交響曲・第七楽章『無限の愛』」など7曲が重なっており、この日が佐々木彩夏(あーりん)のコロナ療養からの復帰初日なのにも関わらず、完成度の高いライブを見せてくれることができたのにはそういう巡り合わせもあったのかもしれない。どちらも配信があり、場内のモニターなど演出面でも「13周年ライブ」と今回は重なる場面も多かった。アーカイブを先ほど見直してみたが映像の出来も良く、「13周年ライブ」演出の佐々木敦規はおそらく、予算さえ今回と同じくらいかけられれば負けないのにと悔しい思いを感じているかもしれない。現在のももクロにはライブやイベントごとに複数の演出チームがかかわっていて、ライバル心を燃やして切磋琢磨しているのはとてもいい状態だと思う。
 豪華ゲストが出演するのもバレンタインイベントの売り物だが、今年は和田アキ子が出演、ももクロとTIK TOKなどでバズったことで有名な「YONA YONA DANCE」*2「笑って許して」ももクロのダンスとともに歌った。以前だったらダンスと合いの手に徹していたところだと思うが、「笑って許して」では歌割りでメンバーのソロ歌唱パートももらっていて、それをちゃんとこなせていたのが下手だった時代から知っていたファンとしては誇らしい気持ちになった。ただ、この日のライブの最大の目玉だったのは和田の歌声が巨大なSSAの隅々にまで響き渡った「あの鐘を鳴らすのはあなたの熱唱だった。キャリアの長い和田とはいえ、1万人以上の観客の前で歌うというのは限られた経験であり、気持ちの高揚もあったのだろうと思う。これはとても素晴らしい歌唱だったのではないかと思う。
 ももクロ和田アキ子にはかなり長い付き合いの歴史が重ねられてはいるが、和田の歌を歌いこなすには相当以上の力量が必要なため、これまでは有安杏果がそれを担ってきた部分が多く、その分他のメンバーとの関係性は薄い部分もあったが、今後はこれまではおそらくはオファーはしていると思うのだけれど、出演には至っていないももいろ歌合戦出演に向けての絶好のアピールにもなったのではないか。
 エンディングで歌われたのが松任谷由実「valentine's RADIO」*3のカバー。ももクロは最初のバレイベ(映像参照)でもこの歌を歌ったが、この日の歌唱はおそらくその時とは全く異なる仕上がりだった。ももクロはフォーク村などでもカバー曲をたびたび披露しているが、特に最近は好パフォーマンスが多いので、この日のラストを見ながらぜひカバーアルバムを出してほしいし、それを受けてのカバー曲ライブというのも面白いのではないかと思った。

開場・開演
【裏】開場 15時00分 / 開演 16時30分
【表】開場 14時30分 / 開演 16時00分

simokitazawa.hatenablog.com
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*1:実は台本のない絶対に偶然性が伴う場面からよどみなく最後のオチにまで流れていく、一連の団体芸が凄いのだが、必ずこうなるとは言えないのでニッポン放送佐々木敦規の現場でしかこういうのは見られないだろう。

*2:
www.youtube.com

*3:
www.youtube.com