下北沢通信

中西理の下北沢通信

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京の年中行事當る辰歳吉例顔見世興行東西合同大歌舞伎 市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台

京の年中行事當る辰歳吉例顔見世興行東西合同大歌舞伎 市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台



年に一度の京都南座の「吉例顔見世興行東西合同大歌舞伎」だが、このところは我が家にとっては妻の実家(兵庫県西宮市)への帰省に合わせての歌舞伎好きな妻と一緒の観劇が恒例となっている。
今年は顔見世興行に加えて十三代目市川團十郎白猿と八代目市川新之助の襲名披露ともなっており、歌舞伎十八番 助六由縁江戸桜など市川家伝統の演目が披露された。
観劇初日となる夜の部では「十三代目市川團十郎白猿
第二、 八代目市川新之助   襲名披露 口上(こうじょう)」が披露され、片岡仁左衛門、尾上梅玉らが挨拶。襲名する新之助團十郎が口上を述べた。
この夜の最初の演目は京都南座ではおなじみ*1の「仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら) 衹園一力茶屋の場」である。片岡仁左衛門の大星由良之助、孝太郎の遊女おかるもこの組み合わせで何度見たことであろうかとの配役ではあったが、それでも「仁左衛門はいい」と再確認させられた。このところの活躍ぶりを耳にして今年の南座には市川染五郎が参加していたのには期待していたのだが、「顔見世」かつ「市川團十郎襲名」という枠組みの中ではいち若手以上の見せどころのある役を配されることがなかったのが残念。そういうなかでは「助六」の冒頭でひとり登場した「口上」では短い出番の中でも魅力の片りんを見せてくれたのではないか。
 助六では壱太郎の揚巻がよかった。とにかく、若さもあって目を見張る美しさで、見た目のよさでいうと若手では随一ではないか。
 市川團十郎白猿の助六は期待通りによかった。家の芸としかいいようがないが、襲名披露に恥じない出来栄えだったのではないか。ただ、この「助六」という演目に関しては揚巻をはじめとする花魁衆のきらびやかな美しさと助六の颯爽とした男ぶりに満足させられたものの、芝居としてはどうにも無内容で今の感覚からいえば「もう少し短くてもかまわないのではないか」と思ってしまう。それが歌舞伎というものなのだと言われればその通りではあるのだが……。

夜の部
第一、仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
  衹園一力茶屋の場
大星由良之助
遊女おかる
富森助右衛門
大星力弥
矢間重太郎
鷺坂伴内
斧九太夫
赤垣源蔵
寺岡平右衛門
     仁左衛門
     孝太郎
     隼人
     莟玉
     染五郎
     松之助
     錦吾
     進之介
     芝翫
    十三代目市川團十郎白猿
第二、 八代目市川新之助   襲名披露 口上(こうじょう)

海老蔵改め團十郎
  初舞台新之助

     仁左衛門
     梅玉
     幹部俳優出演



第三、歌舞伎十八番の内 助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)
  河東節十寸見会御連中
花川戸助六
三浦屋揚巻

三浦屋白玉

髭の意休
朝顔仙平
福山かつぎ
男伊達山谷弥吉
同  田甫富松
同  竹門虎蔵
傾城八重衣
同  浮橋
揚巻付番新巻絹
文使い番新白菊
奴奈良平
国侍利金太
三浦屋女房
遣手お辰
曽我満江
くわんぺら門兵衛
白酒売新兵衛
通人里暁

口上
後見
海老蔵改め團十郎
     壱太郎(1~12日)
     児太郎(14~24日)
     児太郎(1~12日)
     壱太郎(14~24日)
     男女蔵
     歌昇
     隼人
     亀鶴
     廣太郎
     男寅
     廣松
     玉太郎
     梅花
     歌女之丞
     九團次
     市蔵
     家橘
     萬次郎
     門之助
     芝翫
     扇雀
     鴈治郎

     染五郎
     右團次