下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

ブルドッキングヘッドロックvol.29『田園にくちづけ』 @下北沢 ザ・スズナリ

ブルドッキングヘッドロックvol.29『田園にくちづけ』 @下北沢 ザ・スズナリ

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田園にくちづけ

作・演出:喜安浩平

出演

 葛堂里奈
浦嶋建太
瓜生和成(東京タンバリン)
吉川純広
山岸門人

寺井義貴
深澤千有紀
猪爪尚紀
はしいくみ
小笠原健吉
竹内健史
橋口勇輝
橋龍
平岡美保
山田桃子

山本真由美
吉増裕士(ナイロン100℃/リボルブ方式)
永井秀樹青年団


スタッフ

舞台美術:長田佳代子
音楽:西山宏幸
照明:斎藤真一郎
音響:水越佳一(モックサウンド)
映像:猪爪尚紀
衣裳:正金彩
舞台監督:田中翼・伊藤新
演出助手:陶山浩乃
音響操作:佐藤こうじ(Sugar Sound)
映像操作:吉田幸之助

宣伝美術:オカイジ
宣伝写真・舞台写真:保坂萌
宣伝ヘアメイク:上野小百合
宣伝イラスト:永井幸子
WEB:寺井義貴

票券:鈴木ちなを
制作協力:リトル・ジャイアン
制作:足立悠子・藤原彩花

協力:株式会社フィグライト KNOCKS,INC. ECHOES 宮津ルーム バウムアンドクーヘン krei inc. ランドスケープ ダックスープ マッシュ ナイロン100℃ 青年団 東京タンバリン リボルブ方式 capital inc. ムシラセ

企画・製作:ブルドッキングヘッドロック

2017年9月22日(金)~10月1日(日)

喜安浩平ナイロン100℃に俳優として所属しているが、その傍ら自分の劇団「ブルドッキングヘッドロック」を主宰し、作演出を手掛けるとともに映画の脚本家としても実績を作っている。演劇という畑ではケラに一日の長があるにしてもすでに映像方面の評価ではいくつもの賞を受賞し、一定以上の評価を得ていることから、ケラと喜安の関係は大人計画松尾スズキ宮藤官九郎の関係に準えることができるかもしれない。
 田園風景が広がる地方の一家を背景にそこで起こっている日常的な一家族の物語とその一家の隣りに住んでいる漫画家と他人にキスをすることで味に関する記憶を吸い取って生きるという謎の生命体による顛末をどたばた調のコメディーとして描く。
生命体の設定に現在映画を封切り中の「散歩する侵略者」との類似*1があって「アイデア剽窃しているのではないか」との声がネットに書き込まれていた。私も最初はあれ似た話かなと一瞬思ったがそんなことを言い出せば「散歩する侵略者」の方にもジャック・フィニイの「盗まれた街」やそれを映画にした「ボディスナッチャー」をはじめとして数多くの参照項があるわけだし、都市の核家族化の間隙をぬった静かな侵略を描いた「散歩する侵略者」と「田園にくちづけ」では物語のアスペクトがまるきり異なる。
奇妙な存在である隣家の住人たちの存在を無視してしまえば、セリフに四国の方言が使われ、瓜生和成(東京タンバリン)、永井秀樹青年団)の現代口語演劇系の手だれの俳優たちが集う今回の芝居は最近の劇団でいえば小松台東、あるいは青年団リンクホエイ、少し前の舞台なら松田正隆弘前劇場、渡辺源四郎商店などに近い。特に祖父の葬儀に合わせて離れていた人物がひさびさに故郷に戻ってきたという設定は弘前劇場の「家には高い木があった」や小松台東の「山笑う」を彷彿とさせる。そして何よりそれらの舞台をこの芝居を見ていて連想することになったのは弘前劇場「家には高い木があった」には永井秀樹が「山笑う」には瓜生和成がそれぞれ客演として出演していたからだ。
 地方の家族はかなり緻密かつリアルに設定されている。この家には2兄弟がおり、長男(吉増裕士)、次男永井秀樹)にはそれぞれ妻子もいる。亡くなった祖父の手掛けていた田んぼは長男が継いでおり、長男の息子(寺井義貴)は教師を務める傍ら、農業も手伝っている。この地方都市で嫁取りは大きな問題だが、けっこう年齢がいっている息子は冒頭で若い花嫁候補と見合いをしている。作品中盤以降はその婚約者的な存在という女性も登場してくる。一方、次男は地方公務員。東京などから移住してきた人をこの町に定住してもらうプロジェクトを担当しており、その一環として東京からここに引っ越してきたのが漫画家の先生(瓜生和成)なのである。
以前、ナイロン100℃フローズン・ビーチ」(1998年8月/第43回岸田國士戯曲賞受賞作)、「薔薇と大砲 ~フリドニア日記 #2~」などの作風を称して「異世界を捏造する演劇」と評して、大きなウソ(虚構)をある種のリアルをもって体現するために小さな虚構を積み重ねると書いたことがあったが、今回喜安浩平が「田園にくちづけ」で駆使したのもそうした手法に近いかもしれない。
 この作品で描かれている田舎の光景は一見リアルなものではあるが、少しづつ現実の世界とはずれ込んでいる。面白いのは冒頭近くのシーンから長男の妻の料理の味付けが滅茶苦茶であり、異常なまでにまずいという設定が提示されるのだが、これがギャグ的な要素とされて設定されたのかと思いきや、このせいでこの家族だけは隣家に住んでいて美味しい食事の記憶を糧として摂取している特殊な生命体の記憶の捕食から免れている。この家の息子は隣の若い女に突然キスをされたうえに「まずい」と言われ、さらにはその同居人である漫画家の秘書役を務める男にも同様の行為をされたうえに「まずい」と言われ、トラウマになるほどのショックを受ける。しかし、それは実は息子の接吻のテクニックが下手とかそういうことでは全然なくて、息子の母親の料理が異常にまずいため、まずいものを食べた記憶のみが彼の中には蓄積されているからなのだった。
 漫画家自身は普通の人間であって、娘と称することになった女と出会って、彼女らを匿うようになり、美食を主題にした漫画を描くようになって、取材と称してアシスタント役の男が美食についての思い出を採集すると称して、食の記憶を摂取することの手助けとなるようになった。ただ、男のこうした行為は次第に狭い田舎町のなかで人々に疑惑を抱かせるはめになった。
 そしてそれはついには役所勤めの次男とその同僚も知ることになり、知った上でIターンのPRのためにその成功例としての漫画家を助けようとする。とはいえ、やはりこうした糊塗策にはやはり無理があって、しかも彼らの記憶の捕食が捕食された人間の記憶の食以外のものも奪い取ることで、夫婦関係を破綻させる例がでてくるなど何かの悲劇が起こりそうな予感を残して物語は終わるのである。

*1:「田園にくちづけ」を見てからしばらくして映画「散歩する侵略者」を見た。この両者は全くの別物と再確認した。「散歩する侵略者」は地球に侵略しようとしている宇宙人の話だったが、「田園にくちづけ」の生命体が何者かということは作中では明かされない。大昔からこの世界に存在して、通常の人間からの迫害を恐れて姿を隠しているという意味では私は萩尾望都ポーの一族」に出てくるバンパネラを連想した。

劇評講座Ⅱ「演劇の《真面目なふざけ方》 劇団チャリT企画・楢原拓氏を迎えて」 @座・高円寺 地下3階けいこ場2

劇評講座Ⅱ「演劇の《真面目なふざけ方》 劇団チャリT企画・楢原拓氏を迎えて」 @座・高円寺 地下3階けいこ場2

国際演劇評論家協会日本センター
9/24(日)18:00~20:00(予定)
ゲスト:楢原 拓
聞き手:野田学(演劇評論家、明治大学教授
)

実は劇団チャリT企画は観劇経験が一度もなくて少し後ろめたい中での参加となったが、早稲田の劇研時代の話などなかなか面白かった。社会派とイメージがあって敬遠していたのだが、予想したのとは異なり面白そう。次回公演にはぜひいきたいと思う。

東京03第19回単独公演「自己泥酔」ライブビューイング@新宿ブルク7

東京03第19回単独公演「自己泥酔」ライブビューイング@新宿ブルク7

メンバー
豊本明長
飯塚悟志
角田晃広

東京追加公演特別公演

「ショートコントを考える 。〜ライブビューイングの為にも〜」
一緒に考えるゲスト

23日~24日 :バカリズム

東京03を私はシティボーイズの後継的な存在と考えていたのだけど単独ライブを見てコントの作品としての志向性はかなり違うんだということが分かった。
 この日は本編終了後の特別公演にゲストとして「ウレロ」シリーズなどを一緒にやっていて以前から深い親交関係にあるバカリズムが出てきて東京03の凄いところはシチュエーションが会社であるとか居酒屋であるとか日常的な設定でこういう狭いシチュエーションで作品を造り続けていたら普通はマンネリ化してくるはずなのが、そうはならないことだと指摘していたが、これは本当に慧眼である。古くはコント55号から先に挙げたシティボーイズまで、コントでは狂気あるいは非日常性を帯びたキャラクターの存在が重要で、シティボーイズならテレビだけで彼らを知っている人は想像がつかないかもしれないが、斉木しげるがそういう存在。彼らのコントの多くは普通の人である大竹まことが変人(きたろう)にふりまわされるが、そこに外部から斉木がやってきてすべてをひっくり返して去って行くという筋立てだ。
 ところが東京03のコントに出てくるのは若干のデフォルメはあるにしても3人が3人ともどこかには実在しそうな平凡な人物であることが多い。コント上の役割としては豊本明長角田晃広 の2人がボケ役となり、変なことをやりそれに飯塚悟志がつっこみを入れるという展開となることが多いが、その役柄はコント55号シティボーイズのようにだいたい固定しているというのではなく、もっと融通無碍なコンビネーションとなっていて、この柔軟さが狭いシチュエーションで複雑な状況を展開させられることにつながっていると言ってもいいかもしれない。
 東京03の弱点をあえていえばそこで描かれる世界が狂気や悪意にかけていることだろうか。このことは3人だけでやっている時にはあまり分からなかったのだけれど、ここにバカリズムが加わると一気に展開される世界が広がるということで分かった気がした。狂気というのとは少し違うがショートコントでやった「演出家」のコントのシュールさは東京03だけだった時にはあまり見られないテイストだった。

<SCOOL パフォーマンス・シリーズ2017 Vol.3>福留麻里ソロダンス「抽象的に目を閉じる」@三鷹SCOOL

<SCOOL パフォーマンス・シリーズ2017 Vol.3>福留麻里ソロダンス「抽象的に目を閉じる」@三鷹SCOOL

福留麻里ソロダンス公演
振付・ダンス
福留麻里
日程
9/22金 19:30
9/23土 14:00 / 18:00
9/24日 14:00 / 18:00

※ 9/23土 14:00の回の上演後、佐々木敦(HEADZ/ SCOOL主宰)と福留麻里のトークが決定しました。
料金
前売:2000円
当日:2500円 学生:1500円
(+1drinkオーダー)
9.22 - 19:30
9.23 14:00 18:00
9.24 14:00 18:00
開場は開演の30分前になります。
はじまりに目をこらす その練習
からだの中は走っている

 ダンスデュオ「ほうほう堂」の福留麻里によるソロダンス第3弾。実は過去2回の公演はこれまで「川に教わる」@横浜・STSPOT(2014年ダンスベストアクト10位)、 「そこで眠る、これを起こす、ここに起こされる」@世田谷美術館(2015年ダンスべストアクト6位)とともに高い評価をしてきたのだが、ソロ作品以外の出演作品も数多く見ていたために今回のソロダンスが3本目だということにはアフタートークで初めて気が付いた。
 いわゆる「ダンス」のようには踊ることなく、ミニマルな動きを続けてみせたり、ダンスについての言説をパフォーマーが話続けたりすることで「ダンスとは何か」を問い直そうといういうようなタイプのダンス作品がここ数年増えてきている気がするが、スタートからしばらくはこの「抽象的に目を閉じる」という作品もそういう類の作品のように見える。
 福留麻里はある時は直接客席に向けて語りかけたり、あるいはナレーションで世界の中に数学的な抽象性を見つける数学者岡潔の著書を引用しながら、ダンスの動きが日常的な所作を引用したとしても、ダンスの動きである限りにおいて、それは抽象的なもの(表現)なのであり、日常の動きとは違う――などと語る。あるいは国立市にある「庭劇場」に行って首くくり栲象のパフォーマンスを見た時の感想を語ったりする。
 この作品が面白かったのは作品の前半部(というか3分の2ぐらい)はそうした言語的な要素とか普通に立ったような姿勢で身体を小さく動かすようなミニマルなダンス(動き、身体所作)だけを見せていくのだが、最後の部分でピアノソロのBGMが入り、考え方によっては「普通のダンス」のようにも思えるダンスを踊り始めるのだ。
 バレエ、モダンダンス、コンテンポラリーダンスなどと一般的にパフォーミングアーツとしてとらえられてきた「ダンス」というのはその創作段階の試行錯誤や思考などがあったとしてもそれは捨象し、この最後の部分だけを作品として見せるわけだ。そして、おそらくそこの部分だけを切り出されたとしても福留麻里という人は超絶技巧のテクニックなどを持つ類のダンサーではないけれども、ある場を観客への親和力でもって変容させていくという点では高い資質を持つパフォーマーであり、それ相応の作品として見ることができただろう。
 ところが作品の最後の方になってふと気が付いたことというのはその部分を切り出した「完成されたダンス作品」として見ている場合と今回の「抽象的に目を閉じる」の最後の部分としてそこに配置されたのとは観客はかなり違う印象を受けるもの受け取っているのではないのかということなのだ。
 これはどういうことなのかというとダンスは優れて関係的な生成物であって、ダンスそのものはある種の抽象性を含んでいるためにそれがたとえ同じものだとしても置かれたコンテキストに観客の解釈や印象は左右される。すなわち、「抽象的に目を閉じる」というダンス作品は観客を系の中に含むように構成されていて、ダンスの抽象性とそこでそれを見ている観客の具象的な経験の関係を観客のひとりひとりについて具現していくというような作品だったのではないかと思ったのだ。それゆえ、ダンスを語るのが難しいのはその受容が個々の観客の個人的な体験と深く呼応しあったところで生まれるからではないかというようなことも考えさせた。

超人予備校 「木の葉 オン・ザ・ヘッド」@池袋シアターグリーンBASE THEATER

超人予備校 「木の葉 オン・ザ・ヘッド」@池袋シアターグリーンBASE THEATER

「木の葉 オン・ザ・ヘッド」

人を化かすタヌキ。
月夜には腹鼓を打つタヌキ。

なぜ、そんな伝説が広がったのでしょうか?
不思議な力を持ちながら、どこかドジで、愛嬌のあるタヌキ。
どこか昔の日本を感じさせる動物です。

町中にも信楽焼のタヌキやタヌキのゆるキャラなどがたくさん
溢れてます。
タヌキは漢字で書くと『狸』と書きます。
「けものへん」に「里」です。
人間と近いところにいたのです。
いや、今もゆるキャラなどに姿を変えて、我々人間と共に
いるのかもしれません。

タヌキとの結びつきを無くした今の日本。
「里」というものが無くなっていきます。
失われつつある懐かしい日本の風景を、タヌキの存在を通じて
描いてみようと思います。

超人予備校と強烈な客演陣で時にパワフルに、時に牧歌的に
お届けします。

(魔人ハンターミツルギ)

過去作品レビュー
超人予備校「迷い犬のサクマさん」@independetシアター 1st
http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20061022
【作・演出】
魔人ハンターミツルギ
【キャスト】
日枝美香L / 尾松由紀 / 魔人ハンターミツルギ
上原日呂 (月曜劇団) / ハシグチメグミ(パイのミ)
奥田さぶりな美樹てぃー (IsLand☆12)
中村美咲 / 森嶌正紀 (ティッシュの会)
北野勇作 (劇団★虚航船団パラメトリックオーケストラ)
森世まゆみ / 月亭文都 / リーフレディース
条あけみ (あみゅーず・とらいあんぐる) / 田口哲
【スタッフ】
舞台監督:青野守浩 / 照明:葛西健一 / 照明オペ:鎌江文子
音響:大西博樹 / 制作協力:鉾木章浩(尾崎商店) / 宣伝美術:あまぞん
web制作:山名伸右 / ソウル大臣:アボンボ / 制作:超人予備校
【日時】
2017年
9 月22 日 (金) 19:30★
9 月23 日 (土・祝) 13:00☆ / 17:00
9 月24 日 (日) 12:00 / 16:00
★…ゲスト・中西理氏(演劇舞踊批評)と魔人ハンターミツルギによるアフタートークあり
☆…出演者によるアフタートークあり
※各回開演15分前より、アコースティックユニット「バナナンボ」による生演奏をお楽しみください
受付開始は開演の45分前、開場は開演の30分前。
全席自由。受付開始より 入場整理券を発行します。
未就学児の入場はご遠慮願います。
【会場】
シアターグリーン BASE THEATER
〔劇場問合せ先〕
住 所:〒171-0022 東京都豊島区南池袋2-20-4
電 話:03-3983-0644
【チケット料金】
[一般]
前売 2800 円/当日 3000 円
[割引]
U-22(22歳以下):1500 円
高校生:1000 円/小中学生:500 円
(U-22は年齢を証明するもの、中高生は学生証を提示要。)
リピーター割引:1500 円 (半券提示要)
【予約方法】
7月7日(金)20時より予約受付開始
〔Corichで予約〕
予約完了後すぐに、自動返信メールが送信されます。
URL付きメールの受信を拒否されている方は、設定を解除してください。
ticket@corich.jpよりメールをお送りしますので、受信許可設定をお願いいたします。

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お知らせ下さい。

白昼夢 第十回公演 「麒麟大天覧」@花まる学習会王子小劇場

白昼夢 第十回公演 「麒麟大天覧」@花まる学習会王子小劇場

脚本・音楽・映像

米山昂

演出

石坂雷雨

振付

髙橋沙耶

出演

万葉蜜子

大蔵麻月

鶴田理紗

左藤英美

(以上、白昼夢)

くわのけんるい(KuWa)

花里弘二

宮崎卓真(style office)

白昼夢「麒麟大天覧」@花まる学習会王子小劇場観劇。登場キャラの名前を見て京極夏彦と「帝都物語」の影を感じる。昭和を背景にした妖怪たちによるオリンピックを平成の次の時代に開催される2020年東京五輪に重ね合わそうというアイデアも興味深いがやや盛り込みすぎたかもしれない。異色な作品であることは間違いがない。
白昼夢は日大芸術学部OBによる劇団だが、最近日芸出身者が多い青年団系とはそのスタイルに於いて一線を画するところがありそう。主宰兼演出の石坂雷雨は2年ほど少年王者舘に在籍していたそうで俳優をフォーメーショナルに使う動きなどにはそうした影響もないではない。ただ、天野天街の作品あるいは少年王者舘にそれほど似ているわけではない。
複数の俳優による集団演技は最近はあまりないが、80年代にはあったスタイル。結局のところ、例えば夢の遊眠社がそうであったように、あるいは惑星ピスタチオがそうだったようにいかに自分らならではの独自の身体表現様式を確立していけるかだろう。それには集団としての試行錯誤を含む訓練が必要だし、時間がかかるが何かしら面白いものが出てくるか注目していきたい。
 俳優では鶴田理紗がいい。無隣館2期生だがもと自分がいた劇団に残ることになったようだ。今回は主役の男(麒麟)役だが、男装しての立ち姿に凛としたところがあり、これまで彼女を見てきた群像会話劇系の作品では見たことのない演技を見せてくれた。

「ダンス×アート 源流を探る ダムタイプと音楽 山中透編」セミネールin東京

「ダンス×アート 源流を探る ダムタイプと音楽 山中透編」セミネールin東京

 セミネールin東京「ダンス×アート 源流を探る」第1弾として「ダムタイプと音楽 山中透編」を開催します。プロジェクターによる舞台映像を見ながらダムタイプの音楽担当だった山中透氏が自らダムタイプ作品の舞台裏を語ります。2010年・2011年の2回にわたり大阪心斎橋で行い非常に好評であったレクチャーの東京版をリニューアルして開催致します。どうぞご参加ください。    
コーディネーター・中西理(演劇舞踊評論)
ゲスト・山中透(本編冒頭に20分程度のミニライブ予定)
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ダムタイプ「S/N」

モノクロームサーカス「D E S K」

 エイズで亡くなった古橋悌二氏の盟友として1980〜90年代にダムタイプ*1の音楽監督を務め、代表作といえる「S/N」「PH」などに楽曲を提供した山中透氏。彼をゲストに迎え、プロジェクターによる映像などを見ながらダムタイプ作品の舞台裏を語ってもらう予定です。ダムタイプのパフォーマンスは実は当時最先端のニューヨークのクラブカルチャーに触発されて製作され、それゆえ上演ではライブ演奏にこだわっていたといいます。しかし舞台を見た人にはあまりそれが正当には評価されないという悩みもかかえていたとも聞いています。そのあたりの事情を山中透氏に熱く語ってもらいたいと思っています。
 さらに残された映像を見るとクールでハイセンスな未来派パフォーマンスに見えるダムタイプですが、実は舞台裏ではショー・マスト・ゴーオンさながらのもうひとつの熱い戦いも進行していたそうです。今だから明かせる秘話が続々、こうご期待。山中氏からはダムタイプ退団後、現在までの仕事の紹介(オンケンセンとのコラボ、ニブロール、MuDA、モノクロームサーカスとの仕事など)もしていだだく予定です。

 2008年から2013年まで東心斎橋のBAR&ギャラリーで開催。レクチャー(解説)と映像で演劇やダンスを楽しんでもらおうという連続レクチャー企画がセミネールでした。私が2013年4月東京移住して以来中断していましたが、今回ダムタイプの音楽監督を担当していた山中透さんの協力を得て復活させることにしました。
 
【日時】2017年10月16日(月)p.m.7:30〜
【場所】三鷹SCOOL にて
【料金】前売:2000円
当日:2500円 (+1drinkオーダー)

【予約・お問い合わせ】
●メールsimokita123@gmail.com (中西)まで お名前 人数 お客様のE-MAIL お客様のTELをご記入のうえ、 上記アドレスまでお申し込み下さい。ツイッター(@simokitazawa)での予約も受け付けます。
電話での問い合わせ
090-1020-8504 中西まで。
セミネールレクチャー(大阪)からダムタイプについて
simokitazawa.hatenablog.com

scool.jp

HEADZ「を待ちながら」(作:山下澄人・演出:飴屋法水)@こまばアゴラ劇場

HEADZ『を待ちながら』@こまばアゴラ劇場

作:山下澄人
演出:飴屋法水

■出演
飴屋法水山下澄人、荻田忠利、佐久間麻由、くるみ

■スタッフ

プロデュース:佐々木敦
美術:飴屋法水 山下澄人
音楽:宇波拓
音響:牛川紀政
照明:富山貴之
舞台監督:河内崇
舞台監督助手:松本ゆい
衣裳:コロスケ
演出助手:西島亜紀
制作:土屋光 有上麻衣 白迫久美子
芸術総監督:平田オリザ
技術協力:鈴木健介(アゴラ企画)
制作協力:木元太郎(アゴラ企画)

■会場
こまばアゴラ劇場http://www.komaba-agora.com

左半身不随だという男(荻田忠利)がベッドに仰向けに寝ている。傍には少女(くるみ)がいて男に話しかける。どうやら2人は親子らしい。さらにそこにはどこかに出かけようとしてここで待ち合わせたなどと称して小人と呼ばれる大柄な男(山下澄人)と聾唖の男(飴屋法水)がやってくる。ここがどこであるかということについて最初のうちから向かいに「東大電気」という店があるとか、教会があるとか公演会場となったこまばアゴラ劇場を連想される思わせるやり取りが語られるが、全体としてはどうも辻褄が合わない。
そこに一輪車の少女がやってくるが、少女は血だらけでどうやら車に轢かれたらしい。そして次第に彼女はすでに死んでいるということが分かってくる。お腹の部分から内臓に見えるものをずるずると引き出されるなどなかなかにスプラッタなのだ。次に浮かび上がってくる真実は彼女だけでなく「ここにいる人たちは皆すでに死んでいるのではないか」ということなのだ。
父親は「娘に自殺を試みたことがあるのか」と聞かれていた。その場面では「試みたが未遂に終わった」との返答から、生き返ったと単純に考えていたが、もう死んでいるのかもしれない。残りの二人の男たちもどこかに旅に出たいというが、どこにも行けない。やはり亡者だからではないか。
くるみが演じている少女だけは生きているのかとも思ったが、彼女が折に触れて朗読するのが「アンネの日記 増補改訂版」(文春文庫)であるのは彼女もやはり死者であることを暗示しているのではなかろうか。
アンネの日記」のイメージとも重なるが、閉ざされたこの場所には実は外側がないのかもしれない。劇場空間の外側には俳優たちは何度か出かけてはいくが、演劇が始まる前の入場の際に通常は楽屋(つまり劇場の裏側の場)として使われている場所から急な階段を通じて劇場に通された。この場所にはもはや表も裏もなく、内も外もないようなのだ。
 外側がないというのはもはやこの閉ざされた空間以外に世界はないのではないかと感じさせられるということだ。これに少し似た空気感を持つ舞台をだいぶ以前に見たことがあると思い、苦労した揚げ句何とか思い出したのが、深津篤史作演出の「熱帯魚」という作品。断片的な記憶しかないが、倉庫のようなところに閉じ込められた人々がごちゃごちゃと無駄な愚痴を言い合うような舞台で、最後は明示はされないのだけれど世界はとうに滅びてしまっていて、亡者たちの残留思念のようなものだけがそこに集まってきて壊れたテープのような会話を繰り返すというもので、阪神大震災の被災者としてその心象風景の中で創作されたものだが、一方でベケットの「エンドゲーム(勝負の終わり)」を下敷きにしたものでもあった。
「を待ちながら」は芥川賞作家である山下澄人のオリジナル脚本によりベケットの「ゴドーを待ちながら」のような作品をというのが、元々の企画意図だったようだが、出来上がった作品はベケットぽい匂いは残しながらも「ゴドー~」とはかなりかけ離れた設定となっている。山下、飴屋が演じる男たちのウラディミールとエストラゴンの面影がかすかに見受けられる程度であろうか。
 舞台の最後では音楽を担当し舞台上(内)で出演者に入り交じって演奏、オペレーションを行っていた宇波拓ベケットのものの一部と思われるテキスト*1を朗読した。それは何のテクストなのだか判然としないのだが、「ゴドーを待ちながら」ではないことは間違いないしどうも「エンドゲーム」でもなさそうなのだ。
 それゆえ、この舞台の構造の全体もベケットのその作品に準拠しているという可能性は否定できないがやはり私には「エンドゲーム」を下敷きにしているのではないかと思われた。そうなるとますます深津篤史の「深海魚」と比較したくなるのだが、そういう比較になるとやはり自らが遭遇した阪神大震災の記憶を媒介とした深津作品の方に軍配を上げざるを得ない*2のだった。飴屋法水には東日本大震災を背景とした「ブルーシート」という作品もあり、こちらは先述した深津作品と拮抗した作品の強度を持つが、今回の作品からはそこまでの切実さを読み取るのは難しかったのである。

*1:当日パンフの参照文献にサミュエル・ベケット「Fizzles」とあり、それがどういう類のテキストかいまいち判然としないのだが。どうやら朗読されたのはその一部のようだ

*2:こういう書き方をすると単純に当事者性のことを言っているように取られかねないが、言いたいことはそうではないのでそれがどういうことなのかはより深く考えないといけないのかもしれない

悪い芝居「悪いけど芝居させてくだ祭」@浅草九劇 

悪い芝居「悪いけど芝居させてくだ祭」@浅草九劇

悪いけど芝居させてくだ祭・浅草九劇
【作品】
・山崎彬 作・演出
 『純白』 『神様それではひどいなり』 『マボロシ兄妹』

・渡邊りょう 作・演出
 『それはそれとした』

東直輝 作・演出
 『夢を見た後見てる夢』

【劇場】浅草九劇

悪い芝居の5本立て公演。山崎彬の新作「純白」はすでに観劇していたため、この日は残り4本を一挙に見た。山崎彬の旧作2本の再演はもちろん見ごたえがあったが、驚かされたのはともに今回が初の作演出だった渡邊りょう、東直輝の作演出作品のレベルが予想以上に高かったことだ。さらにいえばいずれも作風が山崎彬のものと共通点が多い上にこういう形で複数演目を同時上演する場合には出演作品を振り分けることが多いのだが、今回はそれぞれの俳優が複数作品に出演したうえに作演出を手掛けた山崎彬、渡邊りょう、東直輝もともに他人の作演出作品には俳優として出演もした。
劇作としてもっとも面白かったのは「マボロシ兄妹」かもしれない。最近の山崎彬の作品の特徴のひとつは複数のレイヤーの物語、それは基本的にはある人物の現実とその人物の脳内だけにあるような回想や妄想だったりするインナーワールドの世界だが時にはそれが交錯して地と図の関係が逆転したりする。
ここで指摘するのもおかしな話だが、山崎がモノモースに書き下ろした「エンドルフィン」も回想シーンに見える部分に実は原案小説*1があり、それを原案としてクレジットしてなかった瑕疵もあり、一部チケット代金返金などの騒ぎになり、物議を醸したのだが、山崎はこの作品に小説ではテープに録音された過去の回想に過ぎなかったものを改変、本当に起こったことなのか、インナーワールドに過ぎないのかが解釈上揺れ動くように設定し直した。この部分こそがあの作品の最大のアイデアであり、小説からの引用部分があってなお舞台作品としてのオリジナリティーはあると考えている。

*1:沙藤一樹『D-ブリッジ・テープ』

「氣志團万博 2017 〜房総与太郎爆音マシマシ、ロックンロールチョモランマ〜」@千葉県・袖ケ浦海浜公園

氣志團万博 2017 〜房総与太郎爆音マシマシ、ロックンロールチョモランマ〜」@千葉県・袖ケ浦海浜公園

家の近所で待ち合わせ。車に拾ってもらい。現地に向かう。心配なのは天候なのだが、夕方からのエビ中はともかく、ももクロの時はほとんど心配してないのはやはり一種の信仰かなと思う(笑)。
スターダストのアイドルファンの間では「晴れのももクロ、雨のエビ中」とよく言われる。これは大規模な野外のライブでなぜかももクロは晴天に恵まれ、エビ中は雨に悩ませれることがおおいからだ。
今回の氣志團万博もやはりももクロの時にはそれまで降っていた雨は嘘のようにやみ、パフォーマンスが終わるとまた降りだすというファンにはお馴染みの光景が再び展開された。そして、逆に私立恵比寿中学の方は開演時間が近づくとすでに降っていた雨は一層その雨脚を強め、強い雨が降り続く中でのライブとなった。
ももクロのパフォーマンスは安定していて雨にも降られず、コンディションはよく、上々のものだった。
そしてただこれだけなら、ももクロと比べてエビ中は不運だねというだけに終わるが、こと今回の氣志團万博のパフォーマンスに関して言えばエビ中はその運のよさでもって雨雲を引き寄せたとさえ、思っている。
「雨のエビ中」の呼称に恥じないぐらいに雨中のエビ中は圧倒的なパフォーマンスを見せてくれたからだ。これは雨に負けないでどころじゃなく、雨をまるで舞台の演出効果のように完全に味方につけていたのだ。

全員がスケバンスタイルの黒のセーラー服で登場。雨の中、最初に歌ったのは岡崎体育提供曲の「サドンデス」。この曲の途中で学ラン姿の氣志團が出てきて一触即発、乱闘になりそうな雰囲気を漂わせると喧嘩は辞めてダンスバトルで決着をつけようとなるという茶番コラボも入った。

シミズオクト Presents 氣志團万博2017 ~房総与太郎爆音マシマシ、ロックンロールチョモランマ~ Supported by イオン銀行 2017年9月16日 袖ケ浦海浜公園 セットリスト
氣志團

01. デリケートにキスして
02. ゴッド・スピード・ユー!
03. 鉄のハート
04. バームクーヘン
05. One Night Carnival
四星球

01. 運動会やりたい
02. クラーク博士と僕
03. Mr.Cosmo
東京スカパラダイスオーケストラ

01. Paradise Has No Border -short-
02. DOWN BEAT STOMP
03. Samurai Dreamers<サビレルナ和ヨ>
04. 閃光
05. 天空橋
06. ペドラーズ
07. All Good Ska is One
coldrain

01. No Escape
02. WRONG
03. ENVY
04. 24-7
05. The Revelation
10-FEET

01. VIBES BY VIBES
02. goes on
03. ヒトリセカイ
04. 太陽4号
05. その向こうへ
06. RIVER
ももいろクローバーZ

01. We Are The World
02. Survival of the Fittest -interlude-
03. BLAST!
04. サラバ、愛しき悲しみたちよ
05. SECRET LOVE STORY
06. ココ☆ナツ
07. 行くぜっ!怪盗少女
08. コノウタ
MUCC

01. KILLEЯ
02. G.G.
03. TONIGHT
SiM

01. Blah Blah Blah
02. T×H×C
03. GUNSHOTS
04. MAKE ME DEAD!
05. CROWS
06. KiLLiNG ME
07. f.a.i.t.h
LiSA

01. だってアタシのヒーロー。
02. Merry Hurry Berry
03. コズミックジェットコースター
04. Rising Hope
05. Catch the Moment
マキシマム ザ ホルモン

01. 恋のメガラバ
02. シミ
03. アバラ・ボブ<アバラ・カプセル・マーケッボブ>
04. 「F」
05. my girl
06. 恋のスペルマ
Dragon Ash

01. Mix It Up
02. Pulse
03. The Live
04. Jump
05. 百合の咲く場所で
06. Fantasista
RIP SLYME

01. Super Shooter
02. JUMP
03. SLY
04. 楽園ベイベー
05. 熱帯夜
06. JOINT
VAMPS

01. MIDNIGHT CELEBRATION
02. INSIDE OF ME
03. UNDERWORLD
04. CALLING
05. IN THIS HELL
06. BLOODSUCKERS
07. B.Y.O.B. (BRING YOUR OWN BLOOD)
08. AHEAD
09. SEX BLOOD ROCK N' ROLL
私立恵比寿中学

01. サドンデス
02. 放課後ゲタ箱ロッケンロールMX
03. 大人はわかってくれない
04. Go!Go!Here We Go!ロック・リー
05. MISSION SURVIVOR
06. HOT UP!!!
布袋寅泰

01. Battle Without Honor or Humanity
02. スリル
03. POISON
04. BAD FEELING
05. Dreamers Are lonely
06. さらば青春の光
07. バンビーナ
08. Dreamin'