下北沢通信

中西理の下北沢通信

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東京03第19回単独公演「自己泥酔」ライブビューイング@新宿ブルク7

東京03第19回単独公演「自己泥酔」ライブビューイング@新宿ブルク7

メンバー
豊本明長
飯塚悟志
角田晃広

東京追加公演特別公演

「ショートコントを考える 。〜ライブビューイングの為にも〜」
一緒に考えるゲスト

23日~24日 :バカリズム

東京03を私はシティボーイズの後継的な存在と考えていたのだけど単独ライブを見てコントの作品としての志向性はかなり違うんだということが分かった。
 この日は本編終了後の特別公演にゲストとして「ウレロ」シリーズなどを一緒にやっていて以前から深い親交関係にあるバカリズムが出てきて東京03の凄いところはシチュエーションが会社であるとか居酒屋であるとか日常的な設定でこういう狭いシチュエーションで作品を造り続けていたら普通はマンネリ化してくるはずなのが、そうはならないことだと指摘していたが、これは本当に慧眼である。古くはコント55号から先に挙げたシティボーイズまで、コントでは狂気あるいは非日常性を帯びたキャラクターの存在が重要で、シティボーイズならテレビだけで彼らを知っている人は想像がつかないかもしれないが、斉木しげるがそういう存在。彼らのコントの多くは普通の人である大竹まことが変人(きたろう)にふりまわされるが、そこに外部から斉木がやってきてすべてをひっくり返して去って行くという筋立てだ。
 ところが東京03のコントに出てくるのは若干のデフォルメはあるにしても3人が3人ともどこかには実在しそうな平凡な人物であることが多い。コント上の役割としては豊本明長角田晃広 の2人がボケ役となり、変なことをやりそれに飯塚悟志がつっこみを入れるという展開となることが多いが、その役柄はコント55号シティボーイズのようにだいたい固定しているというのではなく、もっと融通無碍なコンビネーションとなっていて、この柔軟さが狭いシチュエーションで複雑な状況を展開させられることにつながっていると言ってもいいかもしれない。
 東京03の弱点をあえていえばそこで描かれる世界が狂気や悪意にかけていることだろうか。このことは3人だけでやっている時にはあまり分からなかったのだけれど、ここにバカリズムが加わると一気に展開される世界が広がるということで分かった気がした。狂気というのとは少し違うがショートコントでやった「演出家」のコントのシュールさは東京03だけだった時にはあまり見られないテイストだった。