下北沢通信

中西理の下北沢通信

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ももクロ一座特別公演明治座ライブビューイング@イオンシネマ板橋

ももクロ一座特別公演明治座ライブビューイング@イオンシネマ板橋

佐々木彩夏 初座長決定!
笑いあり、涙ありの大江戸娯楽活劇と、ヒット曲満載で贈る歌謡ショーの豪華2 本立て!
作:鈴木聡
演出:本広克行
主演:佐々木彩夏
出演:ももいろクローバーZ(百田夏菜子 玉井詩織 高城れに
オラキオ 国広富之 松崎しげる ほか
第一部 座長・佐々木彩夏
大江戸娯楽活劇 『姫はくノ一』
第二部 『ももいろクローバーZ 大いに歌う』(仮)

 明治座で実際に観劇して感じた時の印象を確かめたいとの思いもあってライブビューイングにも出かけることにした。最初の抽選では新宿TOHOシネマズで応募したが落選だったこともあり、その後、なんとかチケットの残っていたイオンシネマ板橋で見ることができたが、東京周辺の会場は当日までにはチケットはすべて完売となっていたようで、イオンシネマ板橋の客席も満席状態だった。
 ライブビューイングで印象が強かったのは座長である佐々木彩夏の殺陣の見事さであった。観劇時の感想では「あーりんはともかく、夏菜子と詩織は身体の切れも鋭く相当なものだと思った」と書いたのだが、この日ライブビューイングで再度確認してみるとあーりんの殺陣もその感触に違いはあるものの、他のメンバーと比べて決して劣るものではなく、特にひとりで戦う場面は主役であるだけ彼女には多いので、「やる」という印象は一層強く残った。
 今回の明治座の舞台でモノノフの間で評価をもっとも上げたのはオラキオではないか。元体操選手の運動神経を生かしたアクションは見事なもので予想以上にかっこよかったし、役柄としても忍者の頭目松崎しげる)の片腕でももクロら新米忍者の指導役という、大抜擢ともいえる役柄をよくこなして、舞台俳優としても時代劇などではかなりいけるのではと思わせるほどのものがあった。
 オラキオの場合はももクロCHANなどに以前から出ているものの、当意即妙の反応などのアドリブが苦手なこともあり、お笑い芸人としてはどうなんだろうという印象が強かったが今回の演技はよかったと思う*1
 明治座の舞台という枠組みではよくできた舞台と思っているし、今回できたせっかくの縁は今回で終わらせずに継続していくべきだと思っている*2 。
 ただ、観劇時の感想にも書いたように明治座公演は本来の意味での演劇ではないと思うし、これが成功したという成果を基にももクロには演劇での次の段階の挑戦を続けてもらいたいと思う。
 ただ、実はこのライブビューイングより前に参加している感想戦で耳にして驚いてしまったことがある。私は今後はさらに劇団☆新感線や宝塚OGなどももクロ同様に集客力のある人たちと一緒にやることで、観客席がモノノフだけで埋まらないような興行をやっていくべきだと思っているのだが、モノノフ以外が客席にいるようになるとその分だけモノノフのチケットが取りにくくなるから、他界する人が増える。だから、よくないと主張する人が少なからずいるというのである。そして、そういう人は演劇なんかはやらずライブをやっていてほしいというのだ。
 私はもともと広い意味では演劇の関係者でもあり、そういうことにも挑戦する集団であるからこそももクロというグループにこれほど興味を惹かれることにもなったので考え方は一般のファンとは違うかもしれない。
 しかし、長く続けていくというももクロの目標を実現するためには今回の明治座の公演のような活動は非常に重要だと考えているのだが、違うのだろうか……*3

*1:もっとも、最後の挨拶の場面の一環として、ももクリの日程、会場について書かれた書状を持って出てくるという場面では書状を受け取って姫に届けることになっていたという設定の殿が先に急遽ももクロメンバーに呼び出されて、舞台に登場していたためつじつまが合わなくなり、アドリブがきかずあたふたとしてしまっていた

*2:この日の次の千秋楽公演で再来年の明治座公演が発表となったようだ。劇場側からもそのよさが評価されての継続であり、これは嬉しいことだと思う。

*3:ミュージカルに挑戦すると、発声法を学ぶことでももクロの歌い方が変わってしまうかもしれないからよくないのではないかとの主張も聞き、それにも唖然とした。