下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

「氣志團万博2019~房総ロックンロール最高びんびん物語~ ももクロライブ」@千葉県・袖ケ浦海浜公園2日目@youtube

氣志團万博2019~房総ロックンロール最高びんびん物語~ ももクロライブ」@千葉県・袖ケ浦海浜公園2日目@youtube

f:id:simokitazawa:20190910013135j:plain
氣志團万博タイムテーブル

2019年9月15日(日)千葉県 袖ケ浦海浜公園
<出演者>
YASSAI STAGE

10:15 マキタスポーツ
10:30 ゴールデンボンバー
11:50 ももいろクローバーZ
13:10 10-FEET
14:30 ACE OF SPADES
15:50 マキシマム ザ ホルモン
17:10 田原俊彦
18:30 新しい地図 (草彅剛・香取慎吾稲垣吾郎)
19:55 氣志團

MOSSAI STAGE

09:30 DJ ダイノジ
11:15 打首獄門同好会
12:35 C&K
13:55 私立恵比寿中学
15:15 t-Ace
16:35 大島渚
17:55 SUPER BEAVER
19:15 ヤバイTシャツ屋さん

ももクロセットリスト
リハーサル
ザ・ゴールデン・ヒストリー
本編
Nightmare Before Catharsis
あんた飛ばしすぎ!!
ココ☆ナツ
鋼の意志
ツヨクツヨク
行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-

www.youtube.com

simokitazawa.hatenablog.com

青年団の志賀廣太郎さんが逝去

志賀廣太郎さんが逝去

青年団所属の俳優、志賀廣太郎が亡くなった。青年団には1990年、41歳で「光の都」に出演したのが初めてで、正式に劇団員になったのは1993年のことだった。私が最初に青年団の舞台を見た「ソウル市民」(1993)では劇団員になったばかりだったことになるが、確か松田弘子と夫婦役を演じていたのではないかと記憶している。この時点ではまだ若かった他の俳優陣と比べて、年齢的にも少し上だったこともあり、志賀の存在が平田オリザの劇世界に同世代の劇団にはない世代の幅と重厚さを付け加えていたことは間違いない。
東京ノート」(1994)での学芸員役もフェルメールと彼が生きた時代の空気をカメラオブスキュラなど専門的な知見を含めて語る語り口には落ち着いたなかに独自の説得力があり、地味な役柄ながらもこの舞台の世界観に重要な役割を果たした。


演技と演劇⑤ 青年団「火宅か修羅か」
青年団における志賀の代表作といえば「家宅か修羅か」を挙げなければいけないだろう。江の島近くの旅館に滞在する小説家と娘の姉妹たちの交友を淡々と描写していくなかで、やはり、この場所の近くで起こったボート事故でかつて仲間を失った男(山内健司)と交通事故で母(小説家の妻)を失った末娘の思いが一瞬交錯する。古きよき時代の日本映画を思わせるような古典的な風格を思わせる舞台だが、上の映像を見ていただければ理解していただけるのは志賀の素晴らしい声とそれが醸し出す空気感がこの舞台にとって決定的に重要だというのは映像を少し見ていただけばすぐに分かることだ。
 志賀は劇団の重鎮でありながら近年はメディア関係の仕事も増え多忙であるにもかかわらず若手の劇団員や劇作家・演出家との交流も好み、こまばアゴラ劇場での若手作家の公演の客席やロビーでもその姿を見かける機会も多かった。そうした中でともに桐朋学園大学短期大学部演劇専攻の出身であった中丸新将と共演したうさぎストライプ と 親父ブルースブラザーズ「バージン・ブルース」@こまばアゴラ劇場では女性のような乳房がある男という「普通でない」役柄を体当たりで熱演。こういう頭の柔軟さ、アヴァンギャルドさも俳優としての志賀の魅力だった。
 映像関係の仕事では人気に火が付いたテレビドラマ「THE3名様」や「三匹のおっさん」が一般には知られるが、個人的に印象深いのは「幕が上がる」での演技。国語教師役で持ち前の声のよさを生かして詩の朗読で観客をうならせる一方で主人公(百田夏菜子)の夢のシーンではジュリエットを怪演し抱腹絶倒の場面を生み出した。
 最後に顔を会わせたのは「日本文学盛衰史」(2018年6月)の吉祥寺シアターのロビー。劇団関係者と挨拶を交わす観客でごったがえした中であったので、ほんのひとことふたことだけではあったが、こちらから声をかけ、目礼した後、青年団の豊岡移転前の最後の大きな公演で「青年団の集大成を思わせる」などと舞台の感想を伝えたのを覚えている。まさに演劇の仲間たちとともに歩んだ演劇人生だったのじゃなかったかと思う。
simokitazawa.hatenablog.com

(敬称略)
simokitazawa.hatenablog.com

ももいろクローバーZの青春映画!『幕が上がる』予告編

『氣志團万博2018 ももクロライブ』@YouTube

氣志團万博2018 ももクロライブ』

@YouTube

ももクロセットリスト
煽りVTR
君が代
overture
M1:吼えろ
M2:マホロバケーション
M3:ココ☆ナツ
M4:あんた飛ばしすぎ!!
M5:ツヨクツヨク
M6:行くぜっ!怪盗少女

www.youtube.com


こりゃ マジ上がる! ももクロ♡「あんた飛ばし過ぎ!!」in 房総

simokitazawa.hatenablog.com

改訂版レビュー)『MOMOIRO CLOVER Z SHOW東京キネマ倶楽部 』@YouTube

改訂版レビュー)『MOMOIRO CLOVER Z SHOW東京キネマ倶楽部 』@YouTube

演劇評論家として劇団協議会の機関誌「JOIN」の「私が選ぶベストワン2019」のノンジャンル部門に選んだライブパフォーマンス。
f:id:simokitazawa:20200429190504j:plain
simokitazawa.hatenablog.com
アルバムのリーディング曲である「The Diamond Four」のMVが黒い衣装を来てライブショーの本番に向かうメンバーの姿を表現しているように今回のアルバムの主題はショーである。
 ももクロのメンバーカラーを思わせる衣装を着た4人のドラァグクイーンが現れ、スカート部分から顔だけを出したももクロの4人が「ロードショー」を歌いだすという意表をついた始まりで見ている観客の度肝を抜く冒頭。その後も小人症の女性ダンサーやアクロバティックな柔軟性を見せる女性、セクシーな衣装のダンサーなど見世物小屋的な意匠の登場人物が次々と現れ、不思議でバーレスクな世界が展開していく。
 アルバムの世界は音楽のジャンルだけでもEDMからラップ、パンク、アンビエントプログレプログレッシブロック)やポップスと千変万化の様相を見せていくが、今回改めて感じたのは歌唱テクニックの向上に加えて、経験を積んだバックのダンサーらと比べても遜色がないダンスの切れ味だった。
 この舞台は客席数500程度というももクロとしては極小と思われる規模の舞台でわずか2日間だけ開催されたのだが、舞台のクオリティーは非常に高く、例えばBUNKAMURAオーチャードホール辺りで1カ月ぐらいの公演をしたとしても十分見合う水準となっているのではないだろうか。アルバム特典の限定配信というだけでは明らかにもったいなさすぎる出来映えであった。その意味では今回限定公開とはいえ、一般の視聴者も見ることができる形で配信したのはこうした状況のなかだからということはあるにしても快挙だと思う。
 今から5年前にももいろクローバーZについての論考「演劇とももいろクローバーZ」*1で私は次のように書いた。

ももいろクローバーZのパフォーマンスは2013年春の「5TH DIMENSIONツアー」を境に「全力パフォーマンス」を超えた新しい段階に入った。それはさまざまな演劇的な仕掛けを取り入れながら、音楽を核にしてある種の世界観を提示していくという総合エンターテインメントへの志向である。

 この時点では実は総合エンターテイメントの中身にミュージカル風のショーを考えていたが、この直後に映画、舞台の「幕が上がる」(2015年公開)が発表となり、 陣営への本広克行氏の参加も経て、総合エンターテインメント志向のあり方は当時私が考えていたものとは異なる経路をとることになった。しかし、その時から6年の時をへて今回「5th ALBUM『MOMOIRO CLOVER Z』SHOW at 東京キネマ倶楽部」のストリーミング配信を見る限り、「5TH DIMENSIONツアー」で予想したももクロの総合エンタメ(ショービジネス)への接近はここでついに見事に結実したと感じた。
 このショーはミュージカル「ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?」のような物語の筋立てこそはないが、等身大ではないショーの担い手としてのももクロを体現しており、作り出された世界観のイメージとしてはマイケル・ジャクソンの「スリラー」のMVや「ロッキー・ホラーショー」などを想起させるようなところがある。
 ももクロはアイドルといっても存在そのもののあり方がキャラ的と感じさせるところが強く、それゆえ演劇的な趣向においても本広監督がこれまで手がけてきたような等身大を思わせる人物よりは突飛なキャラクターのほうが強い存在感を発揮するのではないかと考えていたのだが、今回のライブ(舞台)でのももクロのあり方には「5TH DIMENSIONツアー」や「GOUNNツアー」以来の強いキャラクター性が感じられた。
 注目したいのはこのライブを制作したスタッフ陣は演出やダンスの振付ともどもこれまでももクロを演出したことのある佐々木敦規、本広克行振付家の石川ゆみではない別の人の手によるものであることだ。今回演出*2と振付を担当したのはavecooという人。私は全然名前を知らなかったのだが、twitterなどで検索してみるとその新作舞台について知人である舞踊評論家の乗越たかお氏が詳しくコメントしているから、ショー・エンタメ系のダンス界隈では知られた存在なのかもしれない。

『FINAL LEGEND Ⅴ』公演作品動画 |作品名:「阿部魁~艶容女舞鏡~」 振付師:avecoo
振付・演出を担当したavecooについて少し調べてみるとみるきーNMB48時代のソロ作品の振付を手掛けたことがあるなどアイドル分野でも若干の振付経験はあるようだが、今回の作風を考えてみるとそういうことはあまり関係していないと思われ、むしろ『FINAL LEGEND Ⅴ』というダンスコンペティションのようなイベントで「花魁」を主題としたユニークな群舞=上記映像=で準優勝するなどの実績と、個性的な作風がキングレコードの製作陣の目に留まったのではないかと思われる。
楽曲面ではこのアルバムでもinvisible mannersが「The Diamond Four」「Sweet Wanderer」と複数楽曲を提供、一時期のヒャダインにとって代わるような活躍を見せているほか、CHAI、GLIM SPANKYなどの若いアーティストに楽曲提供者の裾野を広げているが、振付など他の分野にもそうした動きは広がりつつあるのかもしれない。avecooのダンスの振付はジャズ・ファンク(Jazz-funk)というジャンルに入るもののようで、石川ゆみやAnnaとはかなり違う動きが含まれているのだが、以前にも書いたがももクロメンバーのダンス表現も以前と比べればいろんなことに対応できるように底上げされていることもあり、ここでも新しい人も加えることで新しい色を出してきているように思えた。
 この舞台(とあえて書くが)はこの後に続く、ももクロマニア(夏ライブ)、明治座公演にも挑戦状を叩きつけた形になったと思う。この後の明治座公演(5月6日配信予定)では本広克行と鈴木聡が大衆的エンターテインメントとしての座長公演による娯楽時代劇、ももいろクリスマスでは佐々木敦規演出でやはりクレイジーキャッツ的な色合いの音楽エンターテインメントを再現。どちらもこのニュータイプのスタイリッシュなライブに対するベテラン演出家の返歌と受け取ることもでき、こうしたせめぎあいがももクロの新時代を作っていくことになりそうだ。そして、ここには現在ソロコンをプロデュースしている佐々木彩夏も今後加わっていくことになりそうだ。
simokitazawa.hatenablog.com

https://www.momoirocloverz-show.com/www.momoirocloverz-show.com

2019年5月16日(木)東京都 東京キネマ倶楽部
2019年5月17日(金)東京都 東京キネマ倶楽部

「MOMOIRO CLOVER Z」
1. ロードショー
2. The Diamond Four(作詞・作曲・編曲:invisible manners)
3. GODSPEED
4. あんた飛ばしすぎ!!
5. 魂のたべもの
6. Re:Story
7. リバイバル
8. 華麗なる復讐
9. MORE WE DO!
10. レディ・メイ
11. Sweet Wanderer
12. 天国のでたらめ
13. The Show
(アンコール)
Bounus. ももクロの令和ニッポン万歳!

*1:simokitazawa.hatenablog.com

*2:演出に関しては分担がよく分からないが複数の共同演出者がいるみたいだ。

さくぴょんのメイドカフェ 17回目にして神配信 たこ虹の家にいるTV#17「おかえりなさいませ ご主人様」

たこ虹の家にいるTV#17「おかえりなさいませ ご主人様」

www.youtube.com
たこやきレインボーが毎日、共同生活拠点「たこ虹」ハウスから定時配信(毎晩7時28分~)してきた「たこ虹の家にいるTV」。これまではアイドルが自ら調理した料理を食べたり、食後にゲームを楽しんだりする姿を伝える癒し系のコンセプトでファン(虹家族)はもちろんそれ以外にもこのグループの魅力を伝えてきたが、今回はメンバーでピンク担当の彩木咲良(あやきさくら)がメイドカフェの店員に扮して客であるほかのメンバーたちをその狂気ともいえる世界観に巻き込んでいくという1時間半、構成台本なしの生コントライブのような配信となった。
 彩木のメイドの狂気に満ちたキャラ作りはもちろんほかのメンバーの適材適所のリアクションで、デビューすぐの幼い時期から塚地武雅とのめざせ甲子園!つかたこレインボーロード(2014年4月30日 ~2016年10月26日・関西テレビ)、石田靖吉本新喜劇座長)との『かがくdeムチャミタス!』など笑いの世界での第一人者に笑いの英才教育を受けてきたことでつちかったバラエティー力を存分に発揮した。
 こうした茶番劇はももクロも得意とするところだが、何の遜色もないどころか、今回のこれが自己プロデュースによるものと考えればアイドルとしての笑いのプロデュース力が話題となった「生ハムと焼うどん」にさえ迫るものではないだろうか。一見の価値ありである。




















たこ虹の家にいるTV#17

KING OF LIVEと自ら名乗るももクロのライブ映像の連続配信が29日スタート

KING OF LIVEと自ら名乗るももクロのライブ映像の連続配信が29日スタート(YouTubeで毎日21時~)

4/29(水・祝)『MOMOIRO CLOVER Z SHOW』YouTube

《Full ver.》ももいろクローバーZ / 『The Show』MUSIC VIDEO from「MOMOIRO CLOVER Z」

simokitazawa.hatenablog.com

simokitazawa.hatenablog.com

4/30(木)『氣志團万博2018』YouTube
simokitazawa.hatenablog.com

5/1(金)『過去動画特集+メンバー不定期報告会』YouTube
5/2(土)『氣志團万博2019』YouTube
simokitazawa.hatenablog.com

5/3(日・祝)『イナズマロック フェス 2019』YouTube
5/4(月・祝)『桃響導夢 Day1』YouTube
simokitazawa.hatenablog.com

5/5(火・祝)『バレンタイン DE NIGHT だぁ〜Z! 2018』 YouTube
5/6(水・休)『ももクロ一座特別公演』YouTube
simokitazawa.hatenablog.com

ぱぷりか「柔らかく搖れる」@アトリエ春風舎(公演中止)

ぱぷりか「柔らかく搖れる」@アトリエ春風舎(公演中止)

作:福名理穂、矢野瑛彦 演出:福名理穂


ある街の、孤独と、後悔と、温もりと。
人と、人と、人。そして、家族。

福名理穂/ぱぷりか

広島県出身。2014年ぱぷりかを旗揚げし、全作品の作・演出を務める。
2018年 MITAKA”Next”Selection 19thに選出され「きっぽ」を上演。
2019年4月青年団演出部入団。


出演

川隅 奈保子(青年団)、菊地 奈緒(elePHANTMoon)、用松 亮、堀 夏子(青年団)、ししど ともこ(カムヰヤッセン)、廣川 真菜美、田山 幹雄(モリキリン)、矢野 昌幸、岩永 彩、深澤 しほ(ヌトミック)、細井 じゅん(コンプソンズ)、明日香、関 彩葉、矢野 瑛彦

スタッフ

舞台美術:泉真
音  響:佐藤こうじ(Sugar Sound)
照  明:南香織(LICHT-ER)
舞台監督:岩谷ちなつ
宣伝写真:矢野瑛彦
宣伝美術:関上麻衣子
演出助手:鐸木のすり(京央惨事)
制  作:半澤裕彦、神戸みなみ
制作補佐:池内風(かわいいコンビニ店員飯田さん)

芸術監督:平田オリザ
技術協力:鈴木健介(アゴラ企画)
制作協力:木元太郎(アゴラ企画)

ルース・レンデル「もはや死は存在しない」@角川文庫

ルース・レンデル「もはや死は存在しない」@角川文庫

「もはや死は存在しない」
“聖ルカの小さな夏”と呼ばれる小春日和の一日が終ろうとする頃、少年行方不明の報がキングズマーカム署に届いた。最近ロンドンから移ってきた母子家庭の10歳になる少年である。捜索隊が組織されたが、見つからないまま、その日は暮れた。ウェクスフォードもバーデン刑事も、8ヵ月前から行方不明のままの、もう一人の少女のことを思い出した。はたして二つの事件は関連があるのか?やがて少年のものらしい切りとった金髪の束が送られてきたが…。

2年前に失踪して以来、行方の知れなかった女子高生バレリーから、両親に手紙が届いた。元気だから心配しないで、とだけ書かれた素っ気ないものだった。生きているのなら、なぜ今まで連絡してこなかったのか。失踪の原因はなんだったのか。そして、今はどこでどうしているのか。だが、捜査を引き継いだモース主任警部は、ある直感を抱いていた。「バレリーは死んでいる」…幾重にも張りめぐらされた論理の罠をかいくぐり、試行錯誤のすえにモースが到達した結論とは?アクロバティックな推理が未曾有の興奮を巻き起こす現代本格の最高峰。

人気ブログランキングへ

クレームでアクロバティックな展開に たこ虹の家にいるTV #12

たこ虹の家にいるTV #12

「三密」を気をつけろ。家族同士であっても一緒にいるのはだめだ。明らかにおかしな主張だと思うが、配信へのクレームにたこ虹陣営は即座に反応。
5人のうち話していいのはマスクを着けている2人だけで、残りのメンバーはボードへの書き込みとSiriの発話ソフトで発言するという何とも珍妙なルールを打ち出しての配信となった。
最初はたこ虹にこんなことをさせる羽目になって、クレーマーのバカと考えたが、クレーマー対策としてはこの行為は明らかにおかしい。変である。
 マスクを着けている二人は普通に話しているし、5人のうち2人だけではそもそもマスクの意味はあまりないのである。これは聞かれれば「大阪府の『三密』を避けなさい」との方針に従っていますよとのポーズをとりながら、行き過ぎのクレームに対して受け流すように遊んでいるようにも見え、これがたこ虹のマネージャーである番長が受け継いだ「川上イズム」なのだと思う。
 その一方で強調したいのはたこ虹の5人はコロナ禍が起こるよりずっと前からたこ虹ハウスと名付けたアパートで共同生活をしていたわけだし、コロナがいまの状態になった後はメンバーは家族との接触を避けるために実家にも帰っていないし、番長らスタッフも彼女らと寝食をともにしている。
 彼女たちは基本的に食事はメンバーが自炊しており、「たこ虹の家にいるTV」はその晩御飯の様子の一部始終を配信により公開していたわけなのだ。
 日常そのものだから、リアリティーショー特有の過剰な演出などは当然なく(そういう意味では今回初めて過剰な演出があった)、アイドルの素の魅力を伝えるという意味では画期的なコンテンツだったのだ。
 もちろん、それがそのままである程度以上のクオリティーのエンターテインメントとして成立するためには5人のそれぞれの個性溢れる魅力と幼いころからお笑いのトップ級のMCと一緒にバラエティー番組を続けて、英才教育を受けてきた対応力があればこそである。番長がこれをやらせているのは5人のタレント力に相当の自信があるからこそと思うし、ひょっとしたらここにも「逆境こそがチャンス」のももクロイズムが脈々と流れている気がする。きょうからまた新たなスタイルを試みるということのようだが、どうなるんだろうか*1。本当に楽しみでならない。
 

たこ虹の家にいるTV #11

たこ虹の家にいるTV #12

*1:たこ虹の家にいるTV #13は夜10時に開始時間を変更。人生ゲームのゲーム実況だった。次はまた晩ご飯に戻るが果たしてどうなるか。