下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

クレームでアクロバティックな展開に たこ虹の家にいるTV #12

たこ虹の家にいるTV #12

「三密」を気をつけろ。家族同士であっても一緒にいるのはだめだ。明らかにおかしな主張だと思うが、配信へのクレームにたこ虹陣営は即座に反応。
5人のうち話していいのはマスクを着けている2人だけで、残りのメンバーはボードへの書き込みとSiriの発話ソフトで発言するという何とも珍妙なルールを打ち出しての配信となった。
最初はたこ虹にこんなことをさせる羽目になって、クレーマーのバカと考えたが、クレーマー対策としてはこの行為は明らかにおかしい。変である。
 マスクを着けている二人は普通に話しているし、5人のうち2人だけではそもそもマスクの意味はあまりないのである。これは聞かれれば「大阪府の『三密』を避けなさい」との方針に従っていますよとのポーズをとりながら、行き過ぎのクレームに対して受け流すように遊んでいるようにも見え、これがたこ虹のマネージャーである番長が受け継いだ「川上イズム」なのだと思う。
 その一方で強調したいのはたこ虹の5人はコロナ禍が起こるよりずっと前からたこ虹ハウスと名付けたアパートで共同生活をしていたわけだし、コロナがいまの状態になった後はメンバーは家族との接触を避けるために実家にも帰っていないし、番長らスタッフも彼女らと寝食をともにしている。
 彼女たちは基本的に食事はメンバーが自炊しており、「たこ虹の家にいるTV」はその晩御飯の様子の一部始終を配信により公開していたわけなのだ。
 日常そのものだから、リアリティーショー特有の過剰な演出などは当然なく(そういう意味では今回初めて過剰な演出があった)、アイドルの素の魅力を伝えるという意味では画期的なコンテンツだったのだ。
 もちろん、それがそのままである程度以上のクオリティーのエンターテインメントとして成立するためには5人のそれぞれの個性溢れる魅力と幼いころからお笑いのトップ級のMCと一緒にバラエティー番組を続けて、英才教育を受けてきた対応力があればこそである。番長がこれをやらせているのは5人のタレント力に相当の自信があるからこそと思うし、ひょっとしたらここにも「逆境こそがチャンス」のももクロイズムが脈々と流れている気がする。きょうからまた新たなスタイルを試みるということのようだが、どうなるんだろうか*1。本当に楽しみでならない。
 

たこ虹の家にいるTV #11

たこ虹の家にいるTV #12

*1:たこ虹の家にいるTV #13は夜10時に開始時間を変更。人生ゲームのゲーム実況だった。次はまた晩ご飯に戻るが果たしてどうなるか。