下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

 『「爆心地」の芸術』(椹木野衣著)を読了。この本表題が損しているのじゃないか。こちらが内容を調べもしないで勝手に思い込んでいたのだから、こちらの責任ではあるのだけれど、なんとなく椹木野衣らしくはないなと思ってはいたのだが、全体が反戦芸術への論考なのかと勘違いしていた。だって、表題はともかく表紙が原爆ドームなんだから。実際には1999年から2001年にかけて椹木が各種の雑誌などに書いた文章をまとめた著作集といったもので、展覧会では「日本ゼロ年」から「スーパーフラット展」が中心。現在美術のある種の戦略をプロレスと格闘技に例えるなど内容はアカデミックというよりはかなり挑発的なもので、演劇・ダンスでもそうだが、こういう遊びを遊べるかどうか、そしてそれに乗ってくる論客や表現者がいるかが東京と関西(特に大阪)の違いなんじゃないかと思う。