下北沢通信

中西理の下北沢通信

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近藤史恵「二人道成寺」

 近藤史恵「二人道成寺文藝春秋)を読了。

二人道成寺 (本格ミステリ・マスターズ)

二人道成寺 (本格ミステリ・マスターズ)

 梨園の名探偵・今泉文吾シリーズ。 今回は「摂州合邦辻」と重ね合わせて、ライバルと目されている2人の若手女形、芙蓉と中村国蔵。芙蓉の妻が巻き込まれる謎の放火事件を巡る2人の確執。このシリーズは歌舞伎ファンでミステリファンという人がいれば絶対お薦めなのだが、歌舞伎は全然という人には厳しいだろうと思う。私自身はミステリ的な謎解きの部分というよりは登場人物に託しての近藤史恵の歌舞伎論という意味でけっこう楽しかった。これを読んでると歌舞伎が見たくなってくる。
 もちろん、特定のモデルがいるわけではないことは分かってはいるのだが、芙蓉と中村国蔵は役者のタイプとしてそれぞれどんな役者になぞらえられるかななどと考えて読んでいると面白さがまします。芙蓉は名門の御曹司というから中村福助あたりかなとも思うが、可憐な娘が得意っていうから役者としてのニンはちょっと違うかも。もちろん、福助が○○だっていってるわけじゃないですよ、分かってると思うけど(笑い)。本当に歌舞伎役者が演じて映像化されたら面白いと思うけれど、この内容だとちょっと無理だろうなあ。キャストを考えるのは遊びとしては面白いのだけれど。だれか候補はいますかね。