いいむろなおきマイム公演「アンバランス」(大阪芸術創造館)を観劇。
いいむろなおきのソロ公演なのだが、前半部分はいいむろなおきマイムラボの4人(青木はなえ、高田繁、田中秀彦、てらにしめぐみ)も参加しての集団マイムでほぼグループ作品といってもいい内容である。グループによるアンサンブルの部分は以前に見た公演よりも進歩していて、気持ちのいい集団演技を見せてくれるし、なかなかスタイリッシュでカッコよく仕上がった。
いいむろなおきはソロの場合はこれまでパフォーマーとしての技術の高さは買うことができても、それが作品の深さへとつながっていかない不満があったのだが、こういうアンサンブルを見てみると、単に本人のマイムの技術というだけではなくて空間と動きの処理のセンスにおいても卓越したものを持っていることが分かる。いいむろ以外のパフォーマーも以前に見た時には技術的なばらつきが目に付いたが、今回はいいむろの要求によくこたえ、好演していた。
むしろ、不満は後半のソロ部分に感じた。ソロになるとどうしても、「パントマイム」にありがちなモチーフが色濃くでてきて、技術的には感心させられても、野球少年を演じている場面や背中を向けて花や蝶を演じているところなどどこかで見たことがあるパントマイムという感覚が否めないのだ。終演後、ロビーで少し話を聞いたところでは本人は動きに特化したダンス的な要素よりも演劇的な要素を重視したいらしいのだが、今回の公演を見る限りは動きとアンサンブルを大事にしていく方向性に光明があるような気がしてならないのだが、どうなのだろうか。
彼が「演劇」という風に言ったことの内容がはっきりしないので、なんともいいようがないところはあるのだが、子供をはじめいろんな役柄を演じわけたりするのが「演劇」的なのだというような初歩的な陥穽にはまり込んでなければいいのだが……。うまいマイムではなくて、いいむろの表現を見たい。