下北沢通信

中西理の下北沢通信

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とつげき東北「科学する麻雀」

とつげき東北「科学する麻雀」 ISBN:4061497650講談社新書)を読了。
 ネット麻雀「東風荘」からの大量のデータを元にした統計学に基づく麻雀指南書。収集したデータを挙げての「悪形でも手代わりを待たず、先制リーチせよ」などの戦術論は説得力もあり興味深い。もっともよく考えると、具体的な根拠を与えてくれたのは画期的ともいえるが、どちらかというと主張そのものは常識的なことが多いのではないかと思う。ただ、第3部に登場する「ベタオリ表」はいますぐにでも実戦で役に立ちそう。
 それにしても「流れの存在」についてわざわざ「麻雀の思想的側面について」などという大げさなタイトルまでつけて「そんなのもはない」と反論しているが、それって当たり前すぎて「どうなのよ」と思う。高校の数学ですこしでも確率論をかじったことのある人なら、それぞれの場においてひとつひとつの引きが独立事象なんだから数学的にはそんなものはないのは常識中の常識である。もちろん、私も麻雀をしている時に「ここはトイツ場だから」とか「この流れを大事にしなくちゃ」と言ったりするけれど、それは「私のラッキーナンバーは7だから」などと同じようなことであって、ラッキーナンバーなど存在しないことは統計的には確実なことだ。だから、方便で言ってるだけだと思っていたら、アマゾンのレビューを読んでみたら、この本に本気で反論するほど「流れ」が実体のあるものだと信じている人がいるのだと分かってかえってびっくりしてしまった。
 それにしても麻雀もずいぶん長い間、実戦から遠ざかっている。この本を読んでむしょうにやりたくなってきたのだが、だれか相手をしてくれる面子はいないだろうか。「麻雀やりたいぞーー、誰かおらんかーー、誰もおらへんかーー、だけどやりたい、誰かでてこー」(上海太郎の「麻雀ボレロ」より)。