そういうわけでエジンバラから無事帰国してきています。今回の観劇は演劇・ダンスを合わせて24本、このほかに美術館・ギャラリー巡りもやってきました。昨年同様現地の模様はレポートとして掲載していくつもりですが、少し時間がかかるかも。
- 作者:P.D.ジェイムズ
- 発売日: 2007/06/15
- メディア: 新書
- 作者:エラリイ・クイーン
- 発売日: 1976/04/01
- メディア: 文庫
クイーン検察局 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 2-11))
- 作者:エラリイ・クイーン
- メディア: 文庫
それほどにクイーンが初期作品に挿入した「読者への挑戦状」という仕掛けは読者に対する訴求力が強かった、ということがいえるかもしれない。特に日本では国名シリーズの人気が高いこともあってか、本来その構成から言ってどう考えても国名シリーズには入りそうもない「THE DOOR BETWEEN」が「ニッポン樫鳥の謎」などと訳されて無理やり国名シリーズに入れられてしまっている。「あやつり」の主題(モチーフ)もすでにこの「ニッポン樫鳥の謎」に登場するわけだが、それがより明確な形で作品に結実してきたのが、「十日間の不思議」に代表される後期以降の作品ということになるかもしれない。
主題としての「あやつり」もそうだがよりクイーンという作家の本質にかかわるのが「見立て」の主題である。実はここではまず「見立て」という風に書いたが、より厳密に言えばそれは「見立ての論理」すなわちアブダクションなのではないかということである。