下北沢通信

中西理の下北沢通信

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前田司郎(五反田団)が第52回岸田國士戯曲賞受賞

 第 52 回岸田國士戯曲賞*1白水社主催)の選考会が1月28日、東京神楽坂・日本出版クラブ会館で行なわれ、前田司郎「生きてるものはいないのか」*2が受賞作に決定した。授賞式は4月7日、午後6時から東京神楽坂・日本出版クラブ会館にて。前田司郎はすでに岸田戯曲賞を受賞している岡田利規チェルフィッチュ)、三浦大輔ポツドール)同様にここ数年その才能に注目し続けた作家*3であり、岸田戯曲賞に今年も再びノミネートされたというのを知ったこともあり、2007年のベストアクト*4、演劇関係の今年の収穫のアンケートなどにも上位作品として、この「生きてるものはいないのか」を選んだ*5 *6 *7だけに今回の受賞は嬉しいニュースであった。
 もっとも、前田司郎に関していえば個人的には2002年の演劇ベストアクト*8に選んだのが最初だが、翌2003年には私もお薦め芝居で当時、参加していた「えんげきのページ」で主催していたインターネット演劇大賞*9に2003年に「ながく吐息」(五反田団) で選んでおり、その後、岸田戯曲賞についていえば4回ノミネートされた挙句のやっとの受賞。2002年から数えれば7年越し。しかも昨年は最有力であったのに「受賞作なし」ですかされた上での今回の受賞である。まさしく、遅ればせながらというのが正直な印象。前田は最近、小説でも三島賞芥川賞にノミネートされ、受賞を逃しており、そちら(小説)の方でも一読、劇作以上の才能の輝きを感じる*10のだが、このまま岸田戯曲賞をとれないで、先に芥川賞の受賞をして万が一そちらの方に専念することにでもなったら、演劇界にとってはその評価が遅きに失するということにもなりかねない、とひそかに心配もしていただけにぎりぎりで間に合ったというところであろうか。

 

*1:http://www.hakusuisha.co.jp/kishida/award.php

*2:レビュー=書きかけhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20071021

*3:旬の10人をいま選べばhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20050511

*4:http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20071231

*5:劇団協議会JOINアンケートhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/00000126

*6:「悲劇喜劇」今年の収穫http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/00000122

*7:WONDERLAND 振り返る私の2007 http://www.wonderlands.jp/lookback/2007/03.html#25

*8:2002年の演劇ベストアクトhttp://www.pan-kyoto.com/data/review/43-04.html

*9:http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20031228

*10:舞城王太郎以来の才能と思ったが、だからこそ芥川賞は無理だったか(笑い)