悪い芝居「なんじ」(精華小劇場)を観劇。
山崎彬 作・演出
吉川莉早 三國ゲナン 四宮章吾 大川原瑞穂 藤代敬弘 梅田眞千子 植田順平 森本児太郎
この劇団は以前に京都芸術センターの「演劇計画2007」にノミネートした時に名前を知り、注目はしていたのだが、その際には作品を見ることはできなかったので今回が初めての観劇となった。立命館大学の学生劇団である劇団西一風のOBだった山崎彬、四宮章吾らが卒業後2005年に旗揚げした劇団で、今年が3年目となるきわめて若い劇団である。
オウム真理教を思わせるような新興宗教や引きこもりのような現代の社会問題のような主題を射程にいれながらも、全体の流れとしてはコント的な場面をつないでいくような作劇法は直接影響を受けたというよりは時代の空気から来るのだろうか。世代的にはやや先行するニットキャップシアターやデス電所を髣髴とさせるようなところがなくはないのだが、見ていてかなり困惑したのも確か。デス電所なども最初のころはかなり下手だったのだが、この「悪い芝居」の場合は「これはちょっと」と思わせるほどの下手さ(笑い)。それだけだったらまだしょうがないと思われるのだが、笑いをとりにきたと思われる部分があまりに杜撰な感じで作られていて、全然笑えないので、途中で何度「しまった。困ったことになってた。もう帰ろう」という気分になり、間違ってこの芝居にきてしまった自分の選択を悔やんだことか(笑い)。
それにしても不思議な劇団である。そういう芝居が芝居の最中に持ち直し、終了後の印象がよい方に変わることなどは滅多にない、というよりはこれまで何千本も芝居を見てきてもあまり経験したことがなかったのに、今回のこの舞台の場合、第一印象が最悪だっただけに「意外と悪くないじゃないか」「これならもう一度見にこようか」という気にさせられたのだ。