下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

「現代日本演劇・ダンスの系譜vol.11 演劇編・上海太郎舞踏公司」セミネールin東心斎橋

VOL.11[上海太郎とメタファーの演劇]

講師・中西理(演劇舞踊評論)
特別ゲスト・上海太郎(上海太郎カンパニー

 東心斎橋のBAR&ギャラリーを会場に作品・作家への独断も交えたレクチャー(解説)とミニシアター級の大画面のDVD映像で演劇とダンスを楽しんでもらおうというセミネール「現代日本演劇・ダンスの系譜」の第11回の日時が決まりました。これまで第1回目のチェルフィッチュを皮切りに今もっとも注目の演劇・ダンスの集団(作家)を選んで紹介してきました。
 今回は上海太郎舞踏公司です。これまでセミネール演劇編では平田オリザを筆頭に主として「関係性の演劇」とその後継者たちを取り上げてきました。実は日本演劇にはそれと対極をなす大きな流れ「身体性の演劇」*1があります。次のシリーズではこちらを紹介していきたいのですが、上海太郎の劇世界はその両者をつなぐきわめてユニークな位置にあります。作品そのものは笑いの要素も重視しているために単なるエンターテイメントと軽く見る人も多いのですが、日本現代演劇において90年代を代表する作家であると考えています。新カンパニー「上海太郎カンパニー」の旗揚げ公演を9月にを控えて準備中の上海太郎氏をゲストに迎え、俳優・演出家・振付家として多彩な展開を見せるその才能の真髄に迫っていきたいと思います。
 当時関西を代表する人気劇団だったそとばこまちの座長の座を捨て退団。言葉の壁を越える演劇を目標として新たな表現の場を求めて、劇団「上海太郎舞踏公司」を1989年に設立。ダンス、パントマイムをベースにした短い場面を積み重ね、壮大でイメージ豊かなドラマを構成するという独特のスタイルにより「ダーウィンの見た悪夢」「マックスウェルの悪魔」などの傑作群を制作し、海外公演などでも評価を得ました。
 注目すべきは上舞は上海が冬樹(中村冬樹)と一緒に旗揚げしたカンパニーであったということ。冬樹はダンスボックスの発足時の共同プロデューサーでもあり関西のコンテンポラリーダンスの草分け的存在。そういう経緯もあってか、コンテンポラリーダンスとも深いつながりを持ち劇団員だった文(dancebox)、垣尾優(contact Gonzo)をはじめ、ヤザキタケシ、北村成美、いいむろなおきら数多くの関西を代表するダンサー・パフォーマーが客演し、創作へのヒントを得るなどその黎明期に大きな影響を与えた。最近はダンス界からはその存在を無視されている感もあるが、存在意義は実は大きい。
 さらに最近ではクラシックの名曲に勝手な歌詞を付けてアカペラで歌う上海太郎舞踏公司Bの活動も積極的に進めるなど多彩な才能を見せる上海の全貌にも迫っていきたい。
上海太郎舞踏公司B「朝ごはん」

【日時】2009年7月30日(木)p.m.7:30〜 
【場所】〔FINNEGANS WAKE〕1+1 にて
【料金】¥1500[1ドリンク付] (※学生¥1200・1ドリンク付)
 ※[予約優先]  定員20人ほどのスペースなので、出来るだけ予約をお願い致します。当日飛び込みも満席でなければ可能ですが、+300円となります。なお、満席の場合お断りすることもあります。
【予約・お問い合わせ】 ●メール fw1212+yoyaku.090730@gmail.com お名前 人数 お客様のE-MAIL お客様のTEL お客様の住所をご記入のうえ、 上記アドレスまでお申し込み下さい。
●(電話での予約・問い合わせ)
06-6251-9988 PM8:00〜 〔FINNEGANS WAKE]1+1 まで。
▼web:fw1plus1.info
Bridge Gallery & Bar 〔FINNEGANS WAKE〕1+1
大阪市中央区東心斎橋1-6-31 リードプラザ心斎橋5F
東心斎橋、清水通り。南警察署2軒西へ)




■「現代日本演劇・ダンスの系譜」/セミネールin東心斎橋 :中西理
●レクチャー(講義)と大型モニターによるDVD・ビデオなどによる作品上映を組み合わせて、日本のパフォーミングアーツ(現代演劇、コンテンポラリーダンス)の紹介をしていこうという連続企画・セミネールin東心斎橋「現代日本演劇・ダンスの系譜」を大阪・東心斎橋のBridge Gallery & Bar 〔FINNEGANS WAKE〕1+1 (大阪市中央区東心斎橋1-6-31 リードプラザ心斎橋5F 06-6251-9988)で開催します。
●隔月で「演劇編」「コンテンポラリーダンス編」と題して、それぞれの分野での注目のアーティストを取り上げていく予定。今後取り上げたいと考えているアーティスト(劇団)としては「演劇編」がクロムモリブデンデス電所ヨーロッパ企画シベリア少女鉄道、マレビトの会、上海太郎舞踏公司、ポツドール少年王者舘維新派ク・ナウカ、トリのマーク……。
●「ダンス編」は珍しいキノコ舞踊団、Monochrome circus、CRUSTACEA、レニ・バッソ、金森穣、ヤザキタケシ、山下残、きたまり、砂連尾理+寺田みさこ……、といったラインナップを考えています。
●それについては実際のレクチャーと並行して当サイトでも実際のレクチャーのWEB版の作成なども考えています。第一回チェルフィッチュがすでにアップしてありますが、なにぶん作業量が膨大なものになりそうなので、引き続き原稿起こしなど手伝ってもいいですよという人がいれば募集していますのでBXL02200@nifty.ne.jpまでお願いいたします。 (中西理)
http://www.bloc.jp/simokitazawa/

*1:ク・ナウカ惑星ピスタチオクロムモリブデン少年王者舘デス電所、地点……。最近の劇団では快快や柿食う客などがこちらに入るかも。