原作:アントン・チェーホフ『三人姉妹』
構成・演出:多田淳之介
翻訳・ドラマターグ:中田博士出演:
夏目慎也 佐山和泉 間野律子 伊東歌織 李そじん 鶴巻紬 原田つむぎ 松粼義邦(以上東京デスロック)
福田 毅(中野成樹+フランケンズ)
地点の三浦基と東京デスロックの多田淳之介*1。ともに青年団出身*2の演出家がチェーホフに挑んだ。三浦と多田には1.どちらも劇作家ではなく、演出家である、2.東京以外の場所をあえて拠点に選んでいる、3.現代口語演劇からスタートしながら現在はそうではない独自の方法論の担い手となっている……など共通する部分はある。多田が青年団演出部に所属したのが2003年、三浦が青年団と袂を分かち、京都に拠点を移したのが2005年だから短い間だがともに青年団演出部にいた期間はあったようだが、多田が現代口語演劇から離れ今のスタイルとなるのは2006年10月の『再生』ぐらいからと考えられますから、この両者に直接の影響関係はそれほどないかなと考えています。
とはいえ、両劇団ともにこのところチェーホフ作品の舞台化には積極的に取り組んでおり、四大戯曲の上演を演出プランを変えながら数度にわたって取り組んでいる地点はもちろんだが、東京デスロックも韓国の劇団との共同制作により「カルメギ」として「かもめ」の翻案を上演したのに続き、今回はより原典に忠実なテクストに基づき「三人姉妹」を上演した。
*1:「演劇の新潮流2 ポストゼロ年代へ向けて 第5回 東京デスロック=多田淳之介」WEB講義録http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/10001026