lal banshees(ら ばんしーず)本当は、知らない ソロ・トリオ二部作 『海底に雪』『水溶媒音』@こまばアゴラ劇場
lal banshees vol.3「『本当は、知らない』ソロ・トリオ 二部作公演」より。(撮影:北川姉妹)
lal banshees vol.3「『本当は、知らない』ソロ・トリオ 二部作公演」より。(撮影:北川姉妹)
振付・演出:横山彰乃(東京ELECTROCK STAIRS)
今作は少人数の作品で同じテーマから別の作品を作ります。
二部作の予定ですが全く違うものになるかもしれません。
よく知っている底から水面を見上げ、知らない水平線を思い浮かべず、音の届く先まで睡り、どこかの花を想う横山彰乃を中心としたダンスカンパニー。2016年旗揚げ。2018年にシアタートラムにて二作目を発表。女性ダンサーのみだが緻密な音との繫がりのある振付とテクニックを重要視したダンサブルで中性的な作品を作っている。
出演トリオ作品『海底に雪』後藤ゆう 小山衣美 水越朋
ソロ作品『水溶媒音』横山彰乃
スタッフ
舞台監督: 熊木進
音響 :泉田雄太
照明:南香織 (LICHT-ER.LLC)
衣装 :畔上万智
宣伝美術 イラスト:オザキエミ
宣伝美術 WEB デザイン:横山彰乃
記録映像 :イリべシン
制作:瀧本麻璃英
芸術総監督:平田オリザ
技術協力: 鈴木健介(アゴラ企画)
制作協力 :木元太郎(アゴラ企画)
日時
2019年1月31日[木] - 2月3日[日]
lal banshees(ら ばんしーず)は東京ELECTROCK STAIRSのメンバーとしても活動している横山彰乃が主宰しているダンスカンパニー。横山は旗揚げ作品だった 『ペッピライカの雪がすみ』*1がトヨタコレオグラフィーアワードのファイナリストにノミネートされるなど振付家としても高い評価を受けている。私自身も昨年上演された「「ムーンライトプール」*2を2018年ダンスベストアクト2位*3に選んだ。
黒い壁に貼り付けられた透明なペットボトルが照明を乱反射してみせる水底感、周到に計算された緻密な照明プラン、練られて選択された音楽、可愛らしさのなかにどこか不安感も醸し出させる衣装。こうした諸要素がダンサーの生み出す動き(ダンス)と高度なレベルで組み合わさることで、こまばアゴラ劇場という劇場の持つ空気感をうまく利用して、横山ならではの個性的な世界観を提示している。
これまでの公演でも書いた「物語性は特にないが、単に音楽に合わせて群舞で踊るというようなありがちなものではなくて暗い森の中で何かよく分からない生き物たちが蠢いている」という特徴は今回もそのまま受け継がれているが、今回は2本立ての後半パートが横山自身が踊るソロ作品として設定されていたことで、ダンスの動きをより集中して堪能できるようになっていた。