下北沢通信

中西理の下北沢通信

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座・高円寺 冬の劇場25 流山児★事務所 公演「雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた」@座・高円寺

座・高円寺 冬の劇場25 流山児★事務所 公演「雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた」@座・高円寺

作/清水邦夫 

演出/西沢栄治 
芸術監督/流山児祥

2019年2月1日(金)~10日(日)

1982年初演、清水邦夫まぼろしの名作が今よみがえる!

舞台は北陸、深夜の百貨店。
今宵もひそかに「ロミオとジュリエット」の稽古がくり広げられる。
主役を演ずるは、かつて熱狂的な人気を持ちながらも解散してしまった
少女歌劇団のヒロイン・風吹景子。

しかし彼女は、戦争中に遭遇した空襲のショックで記憶をなくしていた…。
はたして歌劇団の仲間たちは再び集結するのか? 
そしてロミオはやって来るのだろうか?

自分の歌をうたうため、三十人の女優たちが舞い踊る!
流山児★事務所が演劇への愛を胸におくる、シアトリカルな夢のステージ。


出演

松本紀保
伊藤弘子
麻乃佳世
村松恭子
小林麻子
坂井香奈美
神在ひろみ
池下重大
井村タカオ
甲津拓平
龍昇
木暮拓矢
照井健仁

星美咲
竹本優希
橋口佳奈
鈴木麻理
高野あっこ(シアターRAKU)
中尾レイ(シアターRAKU)
村田泉(シアターRAKU)
岩崎聡子
太田恭子
大曲えり子
大脇まどか
緒方美浮
加賀凪
加藤素子
上村正子(さいたまゴールド・シアター
川本裕子(東雲舞踏)
さかい蜜柑
桜井玲奈
佐藤志穂’
髙橋明日香
谷口暢子
夏井世以子
華岡陽子(演劇集団 円
春はるか
堀りん(田上パル)
前原麻希
三橋麻子
宮小町(劇団 黒テント
芳尾孝子(善の快、夢桟敷)




スタッフ

演出:西沢栄治(JAM SESSION)
振付:神在ひろみ
音楽:諏訪創
美術・舞台監督:小林岳郎
照明:沖野隆一(RYU CONNECTION)
音響:島猛(ステージオフィス)
衣装:竹内陽子
演出助手:小形知巳
舞台監督助手:山下直哉
イラスト:ヨコヤマ茂未
宣伝美術:江利山浩二(KINGS ROAD)
制作:米山恭子
芸術監督:流山児祥

協力
シアターナインス、ワンダー・プロダクション、小野事務所、バウムアンドクーヘン、㈱スーパーエキセントリックシアター、龍昇企画、テアトルアカデミー、イマジネイション、キャンパスシネマ、円企画、木冬社
(順不同)

雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた』は清水邦夫作の舞台作品。蜷川幸雄の演出により1982年に日生劇場、2009年にシアターコクーンで上演された。清水邦夫の代表作「楽屋」ではチェホフの「かもめ」が引用されるメタシアター構造になっているが、こちらは劇中劇としてシェイクスピアロミオとジュリエット」が上演される。しかもこれは戦前に日本海側にある百貨店の中にある劇場を常打ち小屋としていた少女歌劇団の男役女役のスターについての物語ともなっており、初演時に淡島千景久慈あさみ甲にしき汀夏子が出演、「三十人のジュリエット」の多くを、引退し芸能活動とは無縁だった宝塚歌劇団出身者が演じたように宝塚歌劇団へのオマージュともなっていた。今回のキャストには宝塚出身者はいないが、流山児★事務所の伊藤弘子らが男役を好演。ヒロイン役の松本紀保も貫禄の演技であった。
 ラストシーンで天井から舞い散る赤い花びらは明らかに蜷川幸雄演出が多用するもので、本歌取りとしても面白かった。