黒フェス2019~白黒歌合戦~@東京・豊洲PIT
2019年9月6日(金) 東京・豊洲PIT
開場17:00/開演18:00
※飲食エリア、物販エリア、場外ステージは、16時より開演<チケット>
スタンディング 7,800円(税込)/後方指定席8,800円(税込)<第一弾発表出演者>
松崎しげる / ももいろクローバーZ / 純烈 / 鬼龍院翔(ゴールデンボンバー) / 渡辺美優紀 / 東京ゲゲゲイ / 氏神一番(カブキロックス) / 大橋純子
MC:伊津野亮※順不同
この日のももクロは黒フェスでは初めてダウンタウンももクロバンド(DMB)を背負って登場。しかもそのなかに最近フォーク村にもレギュラーで登場しているやまもとひかるちゃんの顔も見つけて、思わず「おお!」と叫びそうになった。
藍二乗 - ヨルシカ【Bass & Vocal Cover】
ヒューマノイド - ずっと真夜中でいいのに。【Bass Cover】
彼女はまだ若い(ももクロメンバーより年下)のだが、上記の演奏を見ていただければ分かるように若さに似合わぬ超絶技巧の持ち主。2カ月ほど前に初めてフォーク村に出た時には「テレビが初めて」と言ってたから現在は一般層にはほぼ無名だが、今後スターダムに乗っていくだろうと思わせる。彼女がいることでTAKUYAをはじめ他のバンドのメンバーも嬉しそうで、今後フェスでのツアーにも帯同するらしいとの情報もあり、楽器演奏によるバンドデビューを控えているももクロメンバーにも新たな刺激になりそうだ(れにちゃんへのベース指南役という役割もあるのかもしれない)。
本日のDMB
Dr.柏倉隆史
Bs.やまもとひかる
Gt.takuya
Gt.佐藤大剛
Sax.竹上良成
key&バンマス 宗本康兵
ももいろクローバーZ
セットリスト
overture
1.黒い週末
2.あんた飛ばしすぎ
3.ゴールデンヒストリー
MC
4.白金の夜明け
5.DNA狂詩曲
黒フェスでのももクロはこれまでは観客層はあまり意識せずに最新のアップデートされた曲をやることが多かったのだが、今回は初めてバンドを帯同したためか、「黒い週末」「あんた飛ばしすぎ」とギターサウンドのイメージが強いアゲ曲を連発。れにちゃんボーカルの「吼えろ」のロングトーンから→咳き込み→黒い週末という流れは思わず笑わせてもらったが、いったい誰のアイデアだろう。宗本康兵なんだろうか?
それでもこの日の白眉は「白金の夜明け」だろう。冒頭アコースティックギターが入ったバンドアレンジでの披露は初めてではないかと思うけれど、やはりいい曲だ。そして、たった今セットリストを眺めていて初めて気が付いたのだが、白黒歌合戦をイメージしての「黒い週末」「白金の夜明け」という黒白のごろ合わせだったのかもしれない(笑い)。ただ、そんなこととは関係なくひさびさに聞く「白金の夜明け」はよかった。それにしてもももクロのセトリはもはやかなり自由自在だ。この日はこれまで代名詞と言われていた「怪盗少女」も「走れ」も最新の定番曲である「THE DIAMONDS FOUR」も入ってなくてもセトリが組めているし、ひさびさの「ゴールデンヒストリー」「白金の夜明け」を組み込んでもその安定感は揺るがない。ここからはほぼ毎週フェスだが、毎回かなり異なる曲目が楽しめるのではないだろうか。
黒フェスは「黒(96)」がトレードマークの松崎しげるにより毎年9月6日に開催されているフェスで今回が5回目となる。ももクロはこれまでも氣志團万博(氣志團)、若大将フェス(加山雄三)、高校生ボランティア・アワードチャリティコンサート(さだまさし)、VAMPS主宰「HALLOWEEN PARTY」*1など、と日頃お世話になった人たちの主催フェスには恒例事業として積極的に参加してきた。今年は復活のイナズマロックフェスや泉谷しげる主催の阿蘇ロックフェスティバル2019 in 北九州にも参加する予定だ。そしてこの黒フェスもそのひとつとなっている。
実はももクロもフェスの代わりに年越しカウントダウンライブを「ももいろ歌合戦」として開催しており、昨年も氣志團、加山雄三、さだまさし、松崎しげるが参加してくれたが、こうした相互の深い交流によるネットワーク作りがももクロの活動のひとつの特徴となっている。
仕事終わりで駆けつけると数分遅れてしまうので、会場に着くと渡辺美優紀の歌がすでにはじまっていた。カラオケの伴奏で4人の女性ダンサーが左右で踊る。NMBはやめてソロになったわけだが、これはもう完全にアイドルそのものだ。こういうのをやりたいのなら別にNMBをやめなくてもよかったんじゃないかとも思ってしまうのだが、48グループではかつてのセンター、エースが次々とやめているからそういう新陳代謝が前提とされているのだろうなとも思った。
毎年初見のアーティストが見られるのが黒フェスの魅力だが今年の黒フェスでの私にとっての最大の発見は東京ゲゲゲイというグループだった。東京ゲゲゲイという名前から勝手にドラァグクイーンのような人たちによるバンドと思い込んでいたが全然違った*2。そもそもバンドではなく、センターポジションの男性の左右でコーラス&ダンサーの4人の女性パフォーマーが踊るというスタイル。ダンスもパフォーマンスもかなりレベルが高い。参考のために動画サイトで見つけた映像へのリンクも貼っておくが、この2曲も歌った。
東京ゲゲゲイ「捧げたい」| TOKYO GEGEGAY Music Video
昨年のフィッシャーズなどこのフェス出演の新顔勢がももいろ歌合戦にも呼ばれることがあるが東京ゲゲゲイも有力候補かもしれない。
圧倒的な歌唱力を見せつけた大橋純子*3を除けば、今年はステージでのサービス精神が旺盛な人たちが並ぶラインナップで、オールスタンディングの後方で立ちっぱなしというポジションだが、飽きることなく楽しむことができた。
純烈も生で見るのは初めてだったが、オルスタのライブハウスなのにメンバーのうち2人がフロアに降りて客席を練り歩くという前代未聞の光景。モノノフがけっこう多い前方スタンディングの観客もかなり協力的で、ぎっしり客が入って満員の客席に純烈メンバーが入るとそこにモーゼの十戒のように道が開いて、スタンディングゾーンど真ん中を後ろから前に通ってきたには思わず笑ってしまった。客席の様子を見てかMCでNHKの歌番組でももクロと共演した時に話を出して「れにちゃんのお尻が柔らかかった」などとモノノフを挑発して笑いを誘っていたが、こういう機微が感じられる機転がきくし、ももクロとの相性はいいと思う。ももいろ歌合戦にも来てほしいがまだ紅白狙っているのだろうな。
鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)もソロ(ひとり)での登場で、一人しかいないためステージ上を下手上手と走り回り、息をきらしながらのパフォーマンス。これを見ると楽器の演奏をしなくても、バンドメンバーの存在は大きいのだというのが分かる。ソロだからきょうはやらないのかなと思わせておいて、最後の最後に「女々しくて」を熱唱。客席もこの日一番の盛り上がりでやはりこういう絶対的なヒット曲を持っている強みを感じた。
純烈 や鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)はどちらもまだ紅白歌合戦に出場する可能性があるが、コラボなどでの相性は抜群のためだめもとでももいろ歌合戦のオファーは出すかも。ももクロの後に「お江戸」1曲だけを披露した氏神一番(カブキロックス)もももクロが明治座で時代劇をやってきた直後だったので、年末着物姿で共演したら盛り上がるだろうなと思いながら見ていた。
さて、最後に言わずもがなだが松崎しげるは素晴らしい。年齢による衰えなど微塵も感じさせない。興味深かったのはドジャースの前田健太投手がよく聴いているというエピソードから歌いだした歌があった。これは今年のワールドシリーズもしヤンキースVSドジャースの名門対決が下馬評通りに実現したらももクロVS松崎しげるの新たな因縁対決も生まれてきそうだ。
simokitazawa.hatenablog.com
*1:今年は米国ツアーのために中止
*2:興味を持ったので黒フェス終了後調べてみたが、もともとダンサーの人たちが結成したグループで集団でのそれならダンスのスキルが高いのもうなずける。男性ボーカルで楽曲の作詞作曲も手掛けている人が同性愛者であることをカムアウト。「捧げたい」もそうだが楽曲もLGBTを歌ったものが多いようだった。
*3:がん闘病後の1年半ぶりの復帰ステージということで「シルエット・ロマンス」1曲のみを歌った