下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。

黒フェス2018~白黒歌合戦~@豊洲PIT

黒フェス2018~白黒歌合戦~@豊洲PIT

2018年9月6日(木)東京都 チームスマイル・豊洲PIT
<出演者>
松崎しげる / ももいろクローバーZ / 杏里 / 打首獄門同好会 / 天童よしみ / BiSH / CHAGE /and more

黒フェスは「黒(96)」がトレードマークの松崎しげるにより毎年9月6日に開催されているフェスで今回が4回目となる。ももクロはこれまでも氣志團万博氣志團)、若大将フェス(加山雄三)、高校生ボランティア・アワードチャリティコンサート(さだまさし)、VAMPS主宰「HALLOWEEN PARTY」など*1、と日頃お世話になった人たちの主催フェスには恒例事業として積極的に参加してきた。この黒フェスもそのひとつとなっている。
実はももクロもフェスの代わりに年越しカウントダウンライブを「ももいろ歌合戦」として開催しており、第1回となった昨年は氣志團加山雄三さだまさしが参加してくれたのだが、今年は松崎しげるも参加することをすでに明らかにしており、こうした相互の深い交流によるネットワーク作りがももクロの活動のひとつの特徴となっている。
今回の黒フェスでのセットリストは以下の通り。

黒フェス2018 ももクロセットリスト
overture
クローバーとダイヤモンド
MC
CONTRADICTION
DECORATION
サラバ、愛しき悲しみたちよ

  アウエー仕様のロッキンとも、フェスの主への挨拶代わりの印象も強く毎年カバー曲を披露している氣志團万博イナズマロックフェスとも異なる。通好みかつ最新アップデートされた楽曲で攻めてきたのが今回のセットリストだろうか。黒フェスは野外フェスとは違い豊洲PITというライブハウスが会場。前方がオールスタンディングということもあり、ダンスも激しく観客も一緒に盛り上がれる曲で構成し、同じアイドルで初の本格的な競演となったBiSHにも目の前でスタジアム公演もこなすももクロパフォーマーとしての存在感を見せ付けるようなライブであった。
  黒フェスの方も似たような形で松崎しげるの個人的なコネクションで新旧さまざまなジャンルのアーティストが集められているが、何と言っても大物アーティストのここでないと聞けないようなライブパフォーマンスが見られるのが魅力なのだ。
 今回まず驚かされたのは天童よしみで演歌歌手の大御所というイメージしかなかったのが、最近演歌にこだわらない曲目を選んだカバーアルバムを出したということもあって、バンドを引き連れて登場、「タイガー & ドラゴン」ややしきたかじんの「やっぱ好きやねん」を圧倒的な声量で歌い上げたことだ。「タイガー & ドラゴン」といえば和田アキ子が杏果と一緒にコラボしたのをどうしても思い出してしまう。杏果が天童よしみと個人的に仲がよかったのも周知の事実なのでどうしても卒業前にコラボが見たかったなあとも思ってしまったのだが、まあ許してほしい。杏果のことは別にして天童よしみにもももいろ歌合戦に来てもらいたいなあと思ったが、よく考えたら天童よしみは昨年も紅白歌合戦に出場していて、現在22回出演中。まあ、無理か。バンド生演奏をバックにしての「大ちゃん数え唄(いなかっぺ大将) 」も大迫力だった。
 杏里が出てきて「キャッツアイ」と「オリビアを聴きながら」の2曲だけを歌ったのにも驚かされた。平日夜なのに出演者が多くて豪華という黒フェスならではの贅沢さだ。
打首獄門同好会も面白かった。 こういうのはモノノフは好きなんじゃないだろうか。実はロッキンで家入レオに向かう途中でLAKE STAGEでやっているのを横目で見ながら素通りしてきたのだが、見たほうがよかったかもなあ。
 新曲「はたらきたくない」が披露されたがこれは「労働讃歌」へのアンサーソングじゃないかと思ってしまったのは私だけだろうか。

ももクロ 労働讃歌

打首獄門同好会「はたらきたくない」
 今回、一番期待していたのはBiSHだった。清掃員(BiSHのファン)というほどではないが、今後アイドルのトップ集団に加わりそうなグループとして以前から注目していてライブにも何度か行った*2ことがあったからだ。実力はもっとあるはずだが、ベテランの大御所なども出演する黒フェスはBiSHがこれまで経験してきた現場と雰囲気が全然違うために気後れしてしまったということもあるのだろうか。こういう現場ではいつもやっていることであってもやっていいこととそうでないことがあるはずだが、その線引きをどこに引くのかにとまどって不完全燃焼に終わってしまったかもしれない。最後に用意した「BiSH-星が瞬く夜に-」はこの集団の一番の切り札であり、盛り上がって終わることはできたけれど、終演後何人かがももクロのパフォーマンスに釘づけになったと書いていたのはこの日の自分たちのパフォーマンスに全面的には満足していなかったという悔しさもあったのではないか。当然、そうした書き込みに対してBiSHのファンは「そんなことはない。あなたたちのパフォーマンスは素晴らしかった」と応じていたが、むしろ、悔しさこそ次のパフォーマンスがより向上していくことへのバネになっていくのではないかと思う。
 個人としての技術なら歌はももクロよりもアイナ・ジ・エンドの方がうまいと思うのだが、やはり全体的なステージングでは差があると感じた。ただ、それが何なのかがよく分らない。BiSHのファンはももクロファンのたわごとだと思うかもしれない。しかし、おそらく、このどれもが単独のライブを見たら素晴らしいと思うだろうあゆくまやチームしゃちほこもそうだと感じたし、日比谷野音で見たたこやきレインボーのパフォーマンスも素晴らしかったが、ももクロとは何か決定的な差があると感じてしまった。
 ただ、そういう意味でいえばこの見たパフォーマンスでももクロなんかともまるでレベルが違う「本物は凄い」感を醸し出したのはCHAGE &MATSU(松崎しげる)の「YAH YAH YAH」 だった。

CHAGE&ASKA - YAH YAH YAH 16:9高音質
 ももクロを含めてもこの日一番盛り上がったのはこの曲だった。それにしても松崎しげるおそるべしというのはただでさえキーが高く原キーで歌うのが簡単ではないはずのこの曲を原曲より1音上げでカバーしており、そのため本家であるはずのCHAGEがそれに合わせてそのキーで歌わざるをえなかったということ(笑)。そんなことがありうるのか。いや、あるとしたらここでだけだろう。
 オーラスはもちろん松崎しげる。フルコーラス、生演奏で聴く「愛のメモリー」はやはり素晴らしかったが、思わずまた笑ってしまったのは最後の新曲でのももクロとのコラボ。曲の途中でももクロがコーラスにはいってきて一緒に歌ったのだが、昨年同様に松崎しげるの声が大きすぎて、ももクロの声はいっさい聞こえなかった(笑)。

*1:イナズマロックフェス(T・M・レボリューション)にも参加していたが、昨年台風のためにももクロが参加するはずだった予定日が中止に今年はミュージカルの日程の関係で不参加となった。

*2:simokitazawa.hatenablog.com