下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

少年王者舘『アサガオデン(劇場版)』@下北沢ザ・スズナリ

少年王者舘アサガオデン(劇場版)』@下北沢ザ・スズナリ

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振付:夕沈
演出:天野天街
落語台本:河井克夫
生演奏:坂本弘道

出演
夕沈
中村榮美子
山本亜手子
雪港

スタッフ
音楽:珠水 坂本弘道
映像:浜嶋将裕 石原澄礼 田中博之
照明:小木曽千倉
音響:小俣佳久 岩野直人 井上佳保
衣裳:雪港
舞台監督:山中秀一
チラシ:アマノテンガイ
宣伝美術:小泉しゅん(Awesome Balance)
制作:中村榮美子 宮璃アリ 篠田ヱイジ カシワナオミ
協力:サカイユウゴ 望月勝美 金子達郎 若旦那家康
運営:一般社団法人 箱の中の箱

助成:アサヒグループ芸術文化財

東京◎下北沢ザ・スズナリ
2019年12月14日(土)〜15日(日)

チケット(日時指定・全席指定)
[一般]前売4,500円 / 当日4,800円
[学生]前売3,000円 / 当日3,500円(要学生証)

12月 14(土) 15(日)
14:00      ●
18:00      ●
19:30  ●  
チケット発売日
2019年10月19日(土)10:00より

チケットお取り扱い
ご予約フォームはこちらより
 ※前方、X Y Z列はベンチシートとなります。ご了承ください。



○開場は開演の30分前となります。
○開演10分前を過ぎますと、当日券のお客様を優先させていただくことがございます。
○開演5分前までにお越しいただけていない場合は
キャンセルされたとみなす場合がありますのでご了承ください。
○未就学児童のご入場はお断りさせていただきます。

お問い合せ
TEL:050-5372-6714
E-mail:syounen@oujakan.jp

 少年王者舘アサガオデン(劇場版)』は「ストレンジシード2018」@静岡県駿府城公園などで上演された野外劇の劇場版である。今回は少年王者舘とも作品を共同制作したこともあるパスカルズ坂本弘道が楽曲提供だけでなく、生演奏で出演。これがまずよかった。
 「アサガオデン」はもともとは静岡県の野外パフォーマンスフェスティバル向けに制作されたもので、その時点では無言劇に近いものであったが、今回それに「不思議の国のアリス」を下敷きにしたような蟻の冒険譚が夕沈による落語部分として付け加えられた。
この作品は夕沈によるダンス作品がベースにあり、言語テキストである落語台本を書いたのも漫画家でもある河井克夫。それでも天野による演出の手が入ると完全に少年王者舘以外の何物でもないというテイストが生まれてくるのが不思議である。もっとも、この落語台本にしても天野のぶっ飛んだ言語感覚とは明らかに違うものの主人公を蟻(アリ)にして、それが「アナと雪の女王」のテーマ曲「Let it go」の冒頭「ありの~ままの~」を歌いだすところから冒険譚が始まり、最後は「不思議の国のアリス」で終わるなど、「アリ」を巡る語呂合わせ(言葉遊び)が重層的に展開したり、「アサガオデン」という表題に合わせて、アサガオの種を巡るエピソード(これもどちらかというと「ジャックと豆の木」である)が出てきはするが、主軸はやはりアリの冒険物語だったりする。
 実は「アサガオデン」は静岡の野外で何度か見てはいるが、この時はセリフもそれほどなかったから、あくまでダンスが会場となった公園のなかで行われた時のランドスケープと醸し出すサイトスペシフィックな魅力が主体であり、今回のようなはっきりとした物語性は感じられなかった。
 その分、風景を生かした見立ての面白さはあったけれど、これは印象としては人間の身体による動く美術のようなものと感じた。
 今回は照明効果や映像、そしてなによりも坂本弘道が生で弾くチェロの音楽とも相まって、劇場作品としてよりタイトなものとなっていたのではないかと思う。 
simokitazawa.hatenablog.com