下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

ポストゼロ年代演劇の新潮流 ゲスト天野天街(少年王者舘)@三鷹SCOOL セミネールin東京Web講義録

ポストゼロ年代演劇の新潮流 ゲスト天野天街少年王者舘)@三鷹SCOOL セミネールin東京Web講義録

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 少年王者舘天野天街は日本の現代演劇史において長らく孤高の存在であった。その独特の世界観、ビジュアルイメージは見たものに忘れがたいインパクトを残すが、その独自性があまりにも強いがゆえに同じ名古屋を拠点にほぼ同時代に活躍してきた北村想(exプロジェクト・ナビ)が現代演劇界に広く影響を与えてきたのに対し、地元でさえ、天野の作風のフォロワーと見なされるような劇団は存在しなかった。
 ところが2010年以降の現代演劇と比べてみると
作品制作の最大の動力(ドライビングフォース)が物語でなく、音楽・ダンス・映像などの他要素との親和性が高く、作品の遊戯性が高く、「セカイ系」的な作品構造であることなどポストゼロ年代演劇の特色を少年王者舘がほとんど先取りしていたことに驚きを覚えるかもしれない。
 ポストゼロ年代演劇の象徴的存在といっていい愛知県一宮市出身の柴幸男(ままごと)は代表作「わが星」について、「『わが星』の半分は少年王者舘『夢+夜』だと思ってます。残り半分がクチロロで、残り半分がワイルダー」と天野に大きな影響を受けて「わが星」を構想したことを明かしている。ほかにも平田オリザの現代口語演劇の系譜のくびきを離れた若手作家から天野の影響を実際に受けたり、ループ構造の多用など共通の手法を活用する作家も多い。
simokitazawa.hatenablog.com


少年王者舘 第33回本公演「夢+夜~ゆめたすよる~」PV

『わが星』オープニング

ままごと「わが星」2018年7/17(火)夜11時からBSスカパー!で最後のアンコール放送!


舞台「わが星」より「Immemorially star 」
simokitazawa.hatenablog.com


 今回は天野天街をゲストに迎え、ポストゼロ年代演劇の源流とも見なすことができる天野ワールドの秘密に迫っていきたいと思う。
少年王者舘の設立は1982年の「月光遠方通信」(劇團少年王者)となる(前身となる紅十字舎とはどんな劇団であったか?)が、私が実際に見ることができたのは94年2月の「ノン・シルヴァ」であった。今年初めに上演された「1001」(新国立劇場小ホール)のパンフに掲載された「少年王者舘略史」には「この頃、天野は反復、逆転、早回し、中略、ザッピング等の技法を確立」とあり、現在まで続く少年王者舘の基本的な様式をほぼ作り上げたと言っていいだろう。実は同じ年に天野天街は映画「トワイライツ」を制作、上映しており、映画ではあるがこれは先に挙げた天野独特の表現を色濃く反映しているといえるかもしれない。
(映画「トワイライツ」の抜粋を見せる)

映画「トワイライツ」より 「 箱庭のお城 」説明に歌詞あり

 実はこの2年前の92年に上演され今でも伝説の舞台として語り伝えられている維新派、てんぷくプロとの合同公演の野外舞台「高丘親王航海記」である。これは私の知る少年王者舘のスタイルとはかなり異なるが、これまでは維新派との合同公演だったがため、野外劇であったための相違であると考えていたのだが、そのあたりが実のところはどうだったのかを天野天街氏本人に確かめてみたい。
(「高丘親王航海記」の記録映像の抜粋)

高丘親王航海記 真珠~パタタ姫の婚礼~川

ITOプロジェクト 『高丘親王航海記』PV 稽古編 2019年11月愛知県芸術劇場にて上演
少年王者舘のダンス的要素は初期は石丸だいこが担当していたが、石丸退団後は夕沈が受け継ぎ、公演ごとに進歩、複雑化してより重要な要素となっていく。2004年4月「アジサイ光線」からは同作品の数度における再演や少年王者舘 ダンス公演『スミレ超特急』名古屋(2011-03)
などほとんどセリフを排除してダンス的な動きのみで構成されるダンス公演も繰り返し上演されるようになり、ダンスパフォーマンスに落語を取り込んだという最新作『アサガオデン(劇場版)』(ザ・スズナリ)もその系譜の作品と言っていいだろう。

少年王者舘 第31回本公演「アジサイ光線」PV
simokitazawa.hatenablog.com

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【日時】2019年12月16日(月)p.m.7:30~
【ゲスト】ゲスト天野天街少年王者舘

【場所】三鷹SCOOLにて (JR中央線三鷹駅南口・中央通り直進3分 右手にある「おもちゃのふぢや」ビル5階)
【料金】前売:2000円
当日:2500円 (+1drinkオーダー)

【予約・お問い合わせ】
●メール simokita123@gmail.com (中西)まで 件名、天野天街とし、お名前 人数 お客様のE-MAIL お客様のTELをご記入のうえ、 上記アドレスまでお申し込み下さい。ツイッター(@simokitazawa)での予約も受け付けます。
電話での問い合わせ
090-1020-8504 中西まで。

根源的な郷愁
演劇というのはひとつの時間の枠の中で、光と音と、いわゆる映像も含めて、五感全てに訴えかけるものですが、道具を使って何事かを具現させるということですね。一言でいうと、『根源的な郷愁』と言うか。なぜ私たちは、なぜこの世界はここにあるのか?というような感覚ですね。(天野天街
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