流山児★事務所40周年記念公演「冥王星の使者」@新宿スターフィールド
流山児★事務所40周年記念公演「冥王星の使者」@新宿スターフィールドを観劇。劇団創設40周年記念公演ということで、当初は結成時から親交の深かった高取英(月蝕歌劇団)の「冥王星の死者」を近年流山児★事務所と特に関係が深かった天野天街(少年王者舘)の脚本改定・演出により上演する予定で、準備を進めていた。その矢先天野が急逝したこともあり、打ち合わせていた演出プランをもとに流山児祥自らが脚本・演出を担当し上演することになった。
作品そのものは高橋和巳の小説「邪宗門」*1を下敷きに大本教の受難と源頼朝に追い詰められていく源義経と静御前のエピソードを重ね合わせた高取英の「冥王星の使者」の物語の筋立てはほぼそのままではあるが、劇中には横移動する集団ダンスや繰り返しループする場面、背景を文字が覆いつくす映像など天野の少年王者舘を想起させる部分が随所に挟み込まれていて、同劇団と深い関係にあった二人に対するオマージュ的な作品に仕上がっている。全編を覆う音楽は天野が仕事を一緒にすることを熱望していた巻上公一(ヒカシュー)が担当した。
確かにダンス、ループなど少年王者舘的な要素は取り入れられているものの、そのように考えると明らかな違和感がそこここで感じられたことだ。そこにこだわると悪口になってしまいかねないが、天野のような繊細なタッチはそこにはなくて、なんとなく無骨というか「そうじゃない」感が舞台からは漂ってくる。とはいえ、これはやはりないものねだりというか、アマノワールドは天野にしか実現できない。
舞台を見ながら分かってきたのは流山児祥はそんなことは承知の上で絶対不可能に挑戦して、それを楽しんでいるのではないかということだ。そして、出来上がったものはどこかパチモンくさいが、それこそが流山児★事務所の魅力なのではないかと舞台を見ているうちに感じられてきたのである。
「冥王星の死者」の初演時の上演は見てはいないので、それをどうこういうことはここではできないが、高取英と月蝕歌劇団に対するアプローチもおそらく類似のところがあるのではないかとも思う。つまり、この作品は高取英へのオマージュはあるけれど月蝕歌劇団の上演とは全然違うものであり、ありていに言えば「それが流山児祥の世界だ」とも感じたのである。
同じように流山児が「これがアングラ演劇だ」と叫べば、アングラ演劇=状況劇場、黒テントで育ってきた観客としては「そうだろうか?違うんじゃないか」とも反射的には感じるけれどそういうことも全部含めた一切合切が流山児のやり方という風に考えれば今回の舞台はそれにおおいに楽しませてもらった。
作◉高取英(月蝕歌劇団)
脚本・演出◉流山児祥
脚本・演出協力◉天野天街(少年王者舘)
音楽◉巻上公一(ヒカシュー)
振付◉池田遼(少年王者舘/おしゃれ紳士)
人形製作◉山田俊彦(人形劇団ココン/ITOプロジェクト)
2024年
11月21日 (木) ~12月1日 (日)新宿スターフィールド
『聖ミカエラ学園漂流記』『帝国月光写真館』など数々の名作で地下演劇界を牽引してきた月蝕歌劇団の高取英が1984年に演劇団(流山児★事務所の前身)解散公演のために書き下ろした記念碑的作品が甦る!!
時間軸や因果律の遣い手アマノテンガイが、「正史」の裏に消えていった「弱き者」の視点に思いを寄せる劇作術が特徴の高取作品群の中から《最新作》としてセレクトした『冥王星の使者』。
流山児★事務所オールスタアで贈る、冥王星と海王星の軌道の交点に生まれる永遠のモノガタリ。
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あらすじ
アマテラスに奪われた地上の統治権を奪い返すべく国津神の復権を唱える宗教集団が不敬罪で弾圧される。京都の学生下宿で静御前の夢を見ていた高橋はいつの間にか教団の世話をすることに。やがて、教団は国家権力との全面戦争を決意し、信徒に一斉蜂起を呼び掛ける。「宇宙一切をゆるす本当の平穏」はこの地に訪れるのか?
70年代の若者たちを熱狂させた高橋和巳の長編小説「邪宗門」に想を得て、実在の宗教弾圧事件と義経伝説を融合させたタイムパラドックス演劇。
◆スタッフ◆
脚色協力◉V・銀太、三坂知絵子、森永理科
舞台美術・舞台監督◉申大樹
舞台監督助手◉小林由尚
衣裳◉竹内陽子
照明◉奥田賢太
音響◉大久保友紀
映像◉浜嶋将裕
殺陣◉上田和弘
演出助手◉V・銀太、橋口佳奈
チラシ原画◉アマノテンガイ
写真◉横田敦史
制作◉畝部七歩、山下直哉、荒木理恵協力◉月蝕歌劇団、少年王者舘、PSYCHOSIS、株式会社LPJ、グローシャ、深海洋燈、人形劇団ココン、コローレ、ステージオフィス、北冬書房、今井沙耶香
提携◉新宿スターフィールド
主催◉一般社団法人流山児カンパニー