下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

新国立劇場バレエ団『コッペリア』(2回目)無観客ライブ配信

新国立劇場バレエ団『コッペリア』(2回目)無観客ライブ配信

新国立劇場バレエのローラン・プティ版「コッペリア」をYoutubeの無料配信で見た。この日の配役はスワニルダに木村優里、フランツに福岡雄大、コッペリウスに初めて私も見たことのある山本隆之。スワニルダの木村優里は可憐なタイプで米沢唯とは随分感じが違う。演技的にどちらが正解というようなことは一概には言えないものの、表情が細かくくるくる変わるところなどが無言で登場人物を演じなければならないバレエダンサーとしてはメリハリがはっきりしていて好感が持てた。
ローラン・プティは私にとってW・フォーサイスピナ・バウシュと並んで特別なダンス作家だ。というのは現代のダンスに興味を持ち始めた時に参考書代わりにしたのが*1で、そこで一章を割いて紹介していたこともあり、かなり初期の段階で作品と触れ合っていたからだ。
ローラン・プティの振付にはポワント技法を柔軟に使って表情を付けるような表現が本当は必要で、ローラン・プティバレエ団のダンサーら何人かがそういうやり方をしていたのを目撃したことがあるが、日本人ダンサーではそれに近いようなポワント使いが出来ていたのは上野水香ぐらいであろうか。この日のスワニルダ役の木村優里は第二部の動きなどにいかにも人形を思わせるような正確な技術を使いこなせるような技術があり「これは凄い」と思わせる部分が何カ所もあったが、ポワントの使い方のニュアンスはプティダンサーのそれとは微妙に違う気がした。ただ、初日の米沢唯との比較で言うと米沢唯は普通のクラシックダンサーのテクニックには長けていたが、プティ作品としてのニュアンスにおいてはこの二人だけの比較なら木村優里に軍配を上げたくなった*2

【振付】ローラン・プティ
【音楽】レオ・ドリーブ
【芸術アドヴァイザー/ステージング】ルイジ・ボニーノ
【美術・衣裳】エツィオ・フリジェーリオ
【照明】ジャン=ミッシェル・デジレ

【スワニルダ】木村優
【フランツ】福岡雄大
【コッペリウス】山本隆之

【指揮】冨田実里
管弦楽東京フィルハーモニー交響楽団

コッペリア』無観客ライブ配信スケジュール
5月2日(日)14:00ライブ配信https://youtu.be/TUULJgGkq5I
5月5日(水・祝)14:00ライブ配信https://youtu.be/NINBF3WM0lM
5月8日(土)14:00ライブ配信https://youtu.be/Ga0XAxKqoP4
キャスト
5月2日(日)14:00開演回
スワニルダ:米沢唯
フランツ:井澤駿
コッぺリウス:中島駿野

5月4日(火・祝)14:00開演回
スワニルダ:木村優
フランツ:福岡雄大
コッぺリウス:山本隆之

5月5日(水・祝)14:00開演回
スワニルダ:池田理沙子
フランツ:奥村康祐
コッぺリウス:中島駿野

5月8日(土)14:00開演回
スワニルダ:小野絢子
フランツ:渡邊峻郁
コッぺリウス:山本隆之
新国立劇場バレエ団
芸術監督:吉田都
会場:新国立劇場・オペラパレス
制作:新国立劇場 

www.nntt.jac.go.jp

spice.eplus.jp

*1:西麻布ダンス教室 / 桜井 圭介/いとう せいこう/押切 伸一【著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア

*2:ただ、団菊じじい的記憶補正が入っている可能性は大いにあるけれど、プティ作品のニュアンスの表現という意味においては上野水香までは至っていない印象だ。