下北沢通信

中西理の下北沢通信

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三東瑠璃、森⼭未來、⼤植真太郎による美術インスタレーション的ダンス展示。Co. Ruri Mito新プロジェクト【TOUCH-ふれる-#1】@すみだパークギャラリーささや

Co. Ruri Mito新プロジェクト【TOUCH-ふれる-#1】@すみだパークギャラリーささや

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三東瑠璃、森⼭未來、⼤植真太郎によるダンスプロジェクト。プロデュース主体は三東瑠璃のCo. Ruri Mitoとなっているが、三東の振付に合わせて残りの二人が踊るというタイプの作品ではない。すみだパークギャラリーささや(東京)の中に設置された巨大なモノリスのような舞台装置が作品の時間的経過に合わせて移動式の間仕切りのように動いて変わること(黒衣のスタッフが動かしていく)やそれによってモノリスによって区切られた空間が変容していく。
ダンサーはその中をゆっくりと動いていくが、あくまで見てみた印象ではモノリスが動いた時の3人のパフォーマーの配置などはある程度決められているとしても細かい動きなどは即興的な要素が強いように見えた。
倉庫のような巨大空間の中央にテープで区切られた大きな四角形のエリアがあり、モノリスパフォーマーはその中を動き回り、建物内部にはところどころに壁際に置かれた木の箱状のオブジェを除けば椅子というようなものはなく、観客は板敷のフロアに立つか、座って観ることになる。
パフォーマンスは2時にスタートして、6時半まで延々と続くが、途中にこれという展開はなく、ほとんどの時間は緩やかに継続するため、私自身も椅子がない空間で立ち続けたり、床に直に座ってその態勢を取り続けるのは身体的につらいという事情もあり、3時間フリーというチケットを購入して3時半ぐらいに入室し、最後まで見るつもりだったのだが、2時間ぐらいで力尽きてしまった。
とはいえ、ダンス作品とはいえ、移動するモノリスと中央部分に張られた半透明のスクリーンのために舞台空間の周辺からはどこにいても死角が生じて全体は見えない。最初のうちはダンサーが死角に入ると見える位置にこまめに移動していたのだが、ある程度時間が経過して何度かは時折起こるダンサーとダンサーのコンタクトしての動きを見た後はダンスとはいえそれはかなり極限まで動きを抑制したダンスの動きで見せる類のものではないと分かってくると要するに見えない部分は見えないというコンセプトの現代美術のインスタレーションみたいなものだと思えてきて、そこから先は見える位置には移動しないで何もないモノリスの壁を見ながら過ごすことになっていった。もっとも特に三東瑠璃などはほとんどの時間は見えてはいても、オブジェのように床に寝たままで、動くのは私が見たなかでは最初の方であった⼤植真太郎とのコンタクトインプロヴィゼーションのような動きとその直後に森⼭未來も加わっての3人でのコンタクトぐらいしかなく、もともと最近の作品では普通のダンスのように激しく動くというようなことはほとんどないのだけれど、今回はそれにもましてほとんど動かない。
三東瑠璃、森⼭未來、⼤植真太郎の三人ともダンスの技術は確かで超絶技巧のムーブメントもこなせる技量の持ち主だけにその3人が集まってほぼ何もしないというコンセプトはある意味挑発的ではあるけれど、今後ずっとこの路線で行くんだとすればどうなんだろうとも感じた。三東瑠璃の最近の作品は緩やかな動きのなかに身体の変容を見せていくもので、そこのディティールに魅力があるが、そういう変容のようなものもここまで見せないとコンセプトを理解したうえでそれを見続けるのはかなり厳しいかもしれない。

Co. Ruri Mitoの様々なアーティストとコラボレーションしながら領域横断的に展開する⻑期プロジェクト【TOUCH-ふれる-】がスタートしました。
#1は「⾵」をメインテーマとし、三東瑠璃、森⼭未來、⼤植真太郎を主軸に、2022年2⽉すみだパークギャラリーささや(東京)と横浜⾚レンガ倉庫1号館3Fホールでの公開に向けてクリエーションが進行中です。
⾳楽にFUJI|||||||||||TA、美術にULTRA STUDIO、⾐装にYANTORと個性的なメンバーが集結。キュレーターは髙木遊、照明はYan Becker、音響はWHITELIGHT、フライヤーデザインは岡﨑真理子が担当。

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rurimito.com