下北沢通信

中西理の下北沢通信

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客席と一体の緩急を生かしたステージングに進化見える AMEFURASSHI TOUR2023 〝Spring〟TOKYO FINAL@duo MUSIC EXCHANGE

AMEFURASSHI TOUR2023 〝Spring〟TOKYO FINAL@duo MUSIC EXCHANGE




www.youtube.com


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AMEFURASSHI春の東名阪ツアー「Spring」のTOKYOファイナル公演(1部・2部)に参戦。歌、ダンスについてのAMEFURASSHIのパフォーマンスの完成度の高さは前回ツアーのファイナルでも感じたが、前回の公演が映像とのシンクロなど演出パッケージ全体での緻密さを前面に出していたのに対して、今回のライブでは映像演出などはいっさいなく、客席と一体になったLIVEそのものの魅力で勝負。スタイリッシュなパフォーマンスで圧倒するというだけではない、緩急を生かしたステージングにまた一段の進化を感じさせた。
 Yotube番組「アメシャベ」の振り返りでメンバーも語っていたが、とにかくパフォーマンス中の表情が豊かで楽しそうな空気感が醸し出されていたのがよかったと思う。AMEFURASSHIの場合、パフォーマンスの歌、ダンスのスキルが高度なためにそれを完璧にカッコよく遂行するというところにこれまで重きが置かれていた感があった。そして、その隙のないパフォーマンスでファンを魅了するというのが武器ではあったが、例えばライブ巧者である最近のももクロなんかと比べるとライブの進行に緩急が少なく、一本調子に見えることなども否定できない側面もあった。ももクロも以前はとにかく一生懸命の「全力パフォーマンス」の時代もあり、それがファンの支持を受けていた側面もあったけれど、現在のライブではダンスの振り付けやフォーメーションをきっちりと見せていく部分とそこからはみ出して、より自由な振る舞いで観客に直接働きかけていく場面を曲や演出的な流れによって自在に使いこなしている。
 AMEFURASSHIのメンバーはそれを「崩し」と呼んでいたようだが、今回のツアーでは意図的に本来の振り付けから離れてアドリブを入れて自由に振る舞う場面を増やしていたようだ。そのことはステージ上でのメンバーの立ち振る舞いにも影響を与えていたようで、メンバーがやっていて楽しいという雰囲気は確実に観客にも伝わり、SNSの感想で従来多かった「ライブ凄かった」「圧倒された」というものに加えて「楽しかった」というのが増えていたのは今回の挑戦がそれなりに成果を上げた結果ではないか。とはいえ、ともするとそのことがどちらかというとついつい「面白ろ」系の振る舞いに寄りすぎてしまう傾向があるのも、本人たちも若干反省していたように現状のパフォーマンスの限界でもあり、そのあたりの勘所をどのようにコントロールしていけるかは今後の課題なのかもしれない。

 

【東 京】2023年3月10日(金)@duo MUSIC EXCHANGE
<1部>open 14:30 / start 15:00
<2部>open 18:30 / start 19:00

※全公演、終演後特典会の実施はございません。