下北沢通信

中西理の下北沢通信

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KARASアップデイトダンスNo.104『ナイト アンド デイ』@カラス・アパラタス

KARASアップデイトダンスNo.104『ナイト アンド デイ』@カラス・アパラタス


今年の上半期スケジュールはほぼ欧州に滞在しての活動に充てられていたこともあって、KARASアップデイトダンスNo.104『ナイト アンド デイ』@カラス・アパラタスは久しぶりに見る勅使川原三郎の新作公演である。
表題の「ナイトアンドデイ」は劇冒頭に使用されたジャズのスタンダードナンバーからとられたものであり、これが作品創作の核となるものではあるのだけれど、最近の作品によくあったように音楽の楽曲を原作としたダンス作品というわけではない。むしろ、「夜も昼も」あるいは「夜/昼」「光と闇」という対比構造からこの作品のイメージは構築されており、作中に引用されている泉鏡花の「高野聖」の朗読に合わせて表現される勅使川原のよるソロの舞踊劇とでもいえそうな場面をはじめ、「光と闇」という共通項以外にはむしろそれぞれがかけ離れているようにダンスや演出の方向性の異なるシーンが入れ子状に作品の中に組み込まれていた。
その中にはアパラタスの小さな空間にあたかも宇宙空間ほどの広がりがあることを感じさせるように闇の中に浮かび上がるように勅使川原三郎、佐東利穂子それぞれのダンス、そしてそれが組み合わされることによって新たに生まれてくるものが感じさせられた稀有のダンス作品だった。
 もちろん、初演であることもあり、要素を盛り込みすぎたことにより、やや散漫に感じさせる部分もないとはいえないのだが、途中何度か繰り返された闇の中にたゆたうように浮遊していたようなデュオダンスの部分などこれまでの作品では味わうことの少なかった表現に踏み込んでいるように思わせるシーンがいくつかあり、今後再演を重ねることによって代表作のひとつに成長しうるポテンシャルも感じたのである。

演出. 照明:勅使川原三郎、アーティスティックコラボレーター:佐東利穂子
出演:勅使川原三郎、佐東利穂子

公演日程
2024年8月3日(土)ー12日(月) 
8 月 3 日(土) 19:30開演
8 月 4 日(日) 16:00開演
8 月 5 日(月) 19:30開演
8 月 6 日(火) 19:30開演
8 月 7 日(水) 休 演 日
8 月 8 日(木) 休 演 日
8 月 9 日(金) 19:30開演
8 月 10日(土) 16:00開演
8 月 11日(日) 16:00開演
8 月 12日(月) 19:30開演
全8回公演
開演30分前より受付開始、客席開場は20分前
全席自由席

【劇場】カラス・アパラタス B2ホール