ルサンチカ『楽屋〜流れ去るものはやがてなつかしき〜』@アトリエ春風舎
清水邦夫の「楽屋」をルサンチカが上演。以前に何度も見たことがあるはずだが、はっきりとは思い出せない*1。ただ、楽屋に女優たちが集まってきて、チェホフを演じ続けるというメタシアター的な仕掛けの物語であること、そしてこの女優たちはみな生身の人間ではなく、すでに亡くなって亡霊になったものたちであること、そして、死してなお役を演じ続けることに執念を抱くという「女優の性」を描いた作品でもあるということは覚えていた。
出演女優は4人のうち伊東沙保、西山真来は以前からよく知っていたが、いろんな劇団でヒロイン役を何度も見たことがある伊東沙保に対して、今回の西山真来の演じたニーナを演じている主演女優役というのは青年団やマレビトの会などに出演してのいままでのイメージとは少し離れていて意外に感じた配役だったが、こういう演技もできるんだというのは新たな発見で、ルサンチカの配役の妙を感じた。
とはいえ、この舞台でもっとも目を引いたのは若い女優の役を演じた日下七海。ネット検索で過去の経歴を調べてみるとヨーロッパ企画や維新派の舞台にも出演しており、見たことがあるはずだが、申し訳ないことにあまり具体的な記憶はなかった。今回はこんな魅力的な女優がいたのかと驚かされるようなインパクトを感じた。無邪気な中にも狂気を感じさせるこの役はよく似合っていて、ほかの舞台でも見てみたいと思わせた。
劇中劇として伊東沙保、キキ花香、日下七海の3人は作品の最後で「三人姉妹」を演じるのだが、舞台を見ながらこのキャストでの「三人姉妹」をぜひ見てみたいと思った。そういえば西山真来は「かもめ」のニーナ役を演じる女優として登場するのだが、本来の「ニン」からいえばやはりニーナというよりはアルカージナの方が似合っていて*2、彼女によるアルカージナかラネーフスカヤも見てみたいなと思った。
作:清水邦夫
演出:河井朗
ドラマトゥルク:蒼乃まを
出演:伊東沙保、キキ花香、日下七海、西山真来
2025年2月15日(土)〜2月24日(月・休)
会場:アトリエ春風舎