円・こどもステージ№43<不思議の国のアリス>の帽子屋さんのお茶の会@シアターXカイ

演劇のこども向け企画は毎年各所で行われるが、正直当たり外れが激しい。そんな中で毎年コンスタントにクオリティーの高い舞台を提供し続けているのが円・こどもステージである。
今回の<不思議の国のアリス>の帽子屋さんのお茶の会は同企画のレパートリ―の中でも代表作といっていい別役実作品だが、舞台の出来栄えのよさは小難しい分析をするまでもなく、終演後ロビーに出てきて出迎えた役者と会っている子供たちの楽しそうな表情を見ていれば一目瞭然で分かる。
ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」を下敷きにした作品でいろんな座組での上演を過去に何度も見ているはずだが、ひさびさの観劇で詳しい筋立ては忘れかけていた。不条理、難解とも称せられる別役作品としては珍しく、「夢落ち」という落語を思わせるようなサゲを幕引きとして用いており、一瞬「あれ?」と思った部分もあったが、別役らしく「それでどこからが夢なの?」との含みも残しており、そういうところが面白い。
2025年
7月27日[日]→8月3日[日]
劇場 シアターXカイ [東京・両国]
作:別役実 演出:小森美巳
いつの時代も、大人もこどもも楽しめる舞台。それが、円・こどもステージです。
日本を代表する劇作家である別役実さんが1984年に書いた最初の児童劇作品。
企画者・岸田今日子の熱意と作者への信頼、子ども達の歓声は、別役実さんの数多ある作品の大きな部分を占める意欲的な児童劇のスタートとなりました。オリジナルの童話遊びの世界をどうぞお楽しみください。
ー第27回児童福祉文化賞受賞(厚生大臣賞)受賞評ー
「アリス」の世界を借りて、通訳をつれたアリス、お茶の会を手伝う三月兎とチシャ猫、公爵夫人など、登場人物のとぼけたユーモアとセンスの良い演技や会話で構成される。 従来の児童劇には見られなかった「不条理演劇」のジャンルに踏み込んだ意欲的な作品。
子どもと大人双方が楽しめ、会話の楽しさ、劇的虚構空間の魅力を味わえることにより、児童の情操を高める効果が大きい。
【初演】昭和60年度 第27回児童福祉文化賞受賞(厚生大臣賞)
【初演】昭和60年度 東京都優秀児童劇選定優秀賞/
斎田喬戯曲賞「別役実」
【再演】平成12年度 東京都優秀児童劇選定優秀賞/
【再々演】平成28年度 厚生労働省社会保障審議会推薦児童福祉文化財
-STORY-
森の中。大きなテーブルといす。 不思議の国の不思議の森で、《帽子屋》がお茶の会を開こうとしている。 《通訳》を連れた《アリス》、東の国からの《使者》、 お茶の会を手伝っている《三月兎》と《チシャ猫》、本物かどうかわからない《公爵夫人》、 眠ったままの《眠りねずみ》、市から追い出された《市長》、 魔法が使えなくなった《魔法使い》が集まってくる。
奇妙なお茶の会が奇妙に開始され、東の国からの《使者》が、 東の国の文化「ジャン・ケン・ポン」を伝えようとする。
彼は果たして、不思議の国に「ジャン・ケン・ポン」を伝えることができるだろうか・・・。