下北沢通信

キティエンターテインメント×東映プレゼンツ SHATNER of WONDER #5「破壊ランナー」@Zeppブルーシアター六本木

作・演出:西田シャトナー
出演:池田純矢 / 河原田巧也、米原幸佑宮下雄也平田裕一郎、白又敦、伊万里有 / 天羽尚吾、山川ありそ、竹内尚文、砂原健佑、加藤ひろたか、田中穂先 / 須藤誠、堀家一希、鐘ヶ江洸 / 鎌苅健太、兼崎健太郎、村田充 保村大和

 「破壊ランナー」はもともとは西田シャトナー*1惑星ピスタチオ時代(1993年初演)に上演した同劇団の代表作である。劇団解散後もキティフィルムPresent'sとして2012年に上演された*2ことがあり、それ以来の再演となる。とはいえ、シャトナーはその間、舞台「弱虫ペダル」やSHATNER of WONDERの4回の公演を通じて若い俳優たちとの舞台の共同製作を続けてきて、その間に演出や演技における様々なノウハウを蓄積してきた。こうした状況を踏まえて今回は満を持しての再演(というか再創作)となった。
 惑星ピスタチオ時代の「破壊ランナー」との大きな違いはキャストの人数を大幅に増やして20人としたことだ。自転車ロードレースとソニックラン(超音速ランニング競技)という違いはあるが、もともと「弱虫ペダル」のレース場面は惑星ピスタチオ時代に西田らが編み出したパワーマイム、カメラワーク、スイッチプレイなどの独特の身体表現技法を駆使して作られたものだが、より大人数の俳優が舞台で集団演技を行う「弱虫ペダル」ならではのレース中の迫力溢れる群像処理の方法などが今回の「破壊ランナー」では惜しげもなくつぎ込まれている。もうひとつは女性も混じっていたキャストを全員男性にし、しかもフィジカルの能力の極めて高い俳優を中心的な役柄に配した。これが結果的に惑星ピスタチオ時代にも見ることができなかったような疾走感のある舞台を生み出した。
 完全に新作である「ソラオの世界」や「弱虫ペダル」シリーズなどを除けばこれまで見たSHATNER of WONDERの作品などはどうしても実際の上演の向こう側に惑星ピスタチオを重ねてしまい、ここが〇×だったらなと考えてしまうような傾向があった。
 つまり、私はシャトナーにとってはいわば「団菊爺」的存在であまりよい観客ではなかったと思うが、今回の「破壊ランナー」では初演キャストである保村大和が舞台上に出てくるにもかかわらずそういうことは一切なかった。作品としていわば「破壊ランナー2.0」というか確実にネクストステージに入ったと思わせた。