下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

ハイバイ「ハイバイ、もよおす」@KAAT

ハイバイ「ハイバイ、もよおす」@KAAT

【作・演出】
岩井秀人

【出演】
岩井秀人 上田遥 川面千晶 永井若葉 平原テツ 黒田大輔 田村健太郎 伊東沙保 岩瀬 亮 後藤剛範 池田 亮 藤谷理子 遊屋慎太郎 梅里アーツ


【スタッフ】
舞台監督:谷澤拓巳
舞台美術:秋山光洋
照明:松本大
音響:中村嘉宏
映像:ムーチョ村松
衣裳:髙木阿友子
演出部:渡邉亜沙子
宣伝写真:平岩享
宣伝美術:土谷朋子(citron works)
タイトル:久世英之
WEBデザイン:斎藤 拓
票券・制作:冨永直子(quinada)
制作:藤木やよい(quinada)
プロデューサー:三好佐智子(quinada)


提携:KAAT神奈川芸術劇場
主催:有限会社quinada ハイバイ
助成:文化庁文化芸術振興費補助金舞台芸術創造活動活性化事業)
協力:
至福団、松本デザイン室 スターダス・21 krei.inc ダックスープ
吉住モータース ギフト Tom Company 株式会社オポス ゆうめい
BE NATURAL 丸福ボンバーズ ケイエムシネマ企画 シバイエンジン

 RPG的演劇のパロディー、大衆演劇のパロディー、そして後藤剛範演じる筋肉むきむきの異形の少女の悲劇(?)を描いた『ゴッチン娘』の中編3本立て。いずれも五反田団アトリエで企画公演として発表されたもののようなのだが、ハイバイもこういうお遊び的な公演もするということが分かり少し驚いた。芝居の出来栄えとしては1本目が一番面白かったかなと思う。2本目は芝居が始まる前の岩井秀人の解説では大衆演劇というのだけれど、「髑髏」のモチーフが出てくるから劇団☆新感線の「髑髏城の七人」のパロディーという要素も少しあるかなと思った。

『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017』参戦記 ももクロライブレポート

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017』参戦記 ももクロライブレポート

ももいろクローバー
セットリスト
overture
M1:行くぜっ!怪盗少女
M2:マホロバケーション
M3:サラバ、愛しき悲しみたちよ
MC 自己紹介
M4:BLAST!
M5:もっ黒ニナル果て
M6:ワニとシャンプー
MC
M7:労働讃歌
M8:ChaiMaxx
M9:桃色空

 

Perfume
セットリスト
M1: FLASH
M2:GLITTER
M3:Magic of Love
M4:If you wanna
M5:I still love U
M6:PTAのコーナー
M7:FAKE IT
M8: Miracle Worker
M9:チョコレイト・ディスコ
M10: TOKYO GIRL

サカナクション
セットリスト
新宝島
M
Aoi
『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』
三日月サンセット
SORATO
ミュージック
アイデンティティ
多分、風。

アンコール

目が明く藍色

 

ももいろクローバーZ 「BLAST!」(ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017 DAY-3)-動画[無料]|GYAO!|音楽 https://gyao.yahoo.co.jp/player/11038/v00020/v0000000000000000623/ #GYAO
 ロックフェスに初めてダウンタウンももクロバンド(DMB)が降臨した。パフォーマンスの準備が始まって、楽器が並べられ出した瞬間にすでに今回はバンドと一緒だと気持ちが昂ぶった。周囲のももクロファン以外の観客からギターのそしてホーンセクションのタイトな音質に随所で驚きの声が上がっていた。ももクロをあまり知らないロックファンの客層に対し、サウンドチェックの一環として、「ゴールデンヒストリー」を演奏してみせた時点でこの日のパフォーマンスの成功は決定づけられていたかも知れない。
そして、「overture」が始まった。ネットの書き込みに「ももクロのステージは大勢集まったがほとんどがももクロファンだ」というような意味の書き込みがあったが、現地にその時にいて感じていた実感は全く違う。私のももクロライブの初体験はあの伝説の大阪サマソニだったのだが、現地はあの時以上のアウエーだった。というか氣志團万博イナズマロックフェスももはや限りなくホームに近いももクロにとってはひさしぶりに遭遇したアウエーの会場がROCK IN JAPAN FESTIVALだった。それゆえにこそ、このグループがもともと持っていてそれこそが最大の武器であったが最近は発揮する場がなかった「場を支配していく力」をまざまざと見せたライブだったのではないか。
 名刺代わりの1曲。「行くぜっ!怪盗少女」でまず「これがももクロだ」の挨拶を済ませ、最近のももクロを代表する「マホロバケーション」で「怪盗」だけではないももクロの音楽的な幅広さを見せつけた。続いて今度は知名度が高く布袋寅泰作曲ということでロック色も強い「サラバ、愛しき悲しみたちよ」を披露。「サラバ~」では西川進がひずませたギター音をかき鳴らしたイントロ部分で大歓声が起きた。新曲の「BLAST!」さらに先の味の素スタジアムのライブでドームツアー以来ひさびさに披露した「もっ黒ニナル果て」はともにラップ要素が強い曲だということもあり、次に「KICK THE CAN CREW」を控えそれ待ちのファンも多かっただろうこの日の客層におおいに受け、盛り上がりを見せた。この日はやらなかった「5THE POWER」「堂々平和宣言」などももクロの楽曲にはラップ曲に好曲が多くて、これも私にとってはももクロライブの楽しみのひとつなのだ。ダウンタウンももクロバンドはいつもももクロの音楽性を支えてくれる大事な存在だが、その技術の高さはこの日参加したどのバンドと比較してもピカイチじゃなかったろうか。もちろん、個々に一流アーティストのサポートメンバーや時にバンドマスターとして活躍してきた人材を集めて結成したバンドだからそれは当然のことだが、この日ほどその最強のバンドがももクロの後ろについていてくれるということを心強く思ったことはなかった。
 サマソニの時と全く違っていたのはスタジウム級の単独公演を何度も経験していること。そうした経験のあるグループのみが持つ、巨大空間の把握力、初めて彼女らを見た観客を含め、会場全体に熱を感染させていく力が並みのバンドとは違っていた。その点ではこの日最後にパフォーマンスを行ったサカナクションがステージから遠い場所へも音楽的支配力を伝播させていく力として群を抜いていたが、Perfumeももクロを比べればこの日のような野外フェスではももクロに軍配が上がったのではないだろうか*1
 ネット上にはももクロが会場を埋めたのは次に始まるPerfumeを待っている客だったなどというデマ情報が流れていたが、これは完全に事実誤認。ももクロの後はPerfumeではなく、KICK THE CAN CREWだった。ただ「BLAST!」→「もっ黒ニナル果て」という流れが大いに受けて盛り上がったのはKICK THE CAN CREWを待っているラップ系音楽好きの客層の琴線に触れた可能性がある。ももクロKICK THE CAN CREWのインターバルでは前方の観客はかなり入れ替わっていた。事実、私と一緒にいた連れもここで1度離脱して、Perfumeの前にステージに戻った。
 Perfumeのライブも以前大阪サマソニで雷の中断後、一部を見ているが、その後、映像を見る機会はあっても生で見るのはそれ以来で非常に楽しみしていた。映画が好きでYoutubeなどを何度も見ていたこともあり最初の曲が「FLASH」だったのはとても嬉しかった。ももクロPerfumeではパフォーマンスの方向性はまるで違う。というか正反対と言ってもいい*2が、タイトな音楽性と隙のないムーブメントが組み合わせられたPerfumeのライブは水準の高いものだった。ももクロの特徴が爆発的な熱量だとすれば、Perfumeのあくまでクール。とはいえ、クールや洗練だけというわけではなく、時折挟み込まれるあーちゃんのとぼけたトークや煽りがこのグループのアクセントとなって魅力の一端を担っていることがこういう作り込まれているというわけではないライブで見るとよく分かる。とはいえ、野外ライブで見るのに向いたパフォーマンスかと問われればそうではないだろうと思う。
 今年見たロッキンのライブでもっとも驚かされたのはサカナクションであった。ストレートにかなりいいバンドだというのはテレビの音楽番組などで紹介されて知ってはいたのだが、ライブと映像ではここまで違うのかとびっくりした。エレクトロダンスミュージック風の打ち込み音楽とロックバンドと両方の顔を持っているのだが、共通するのは初見であっても一緒に踊れて、歌えるという魅力であろう。ももクロPerfumeで相当体力的に消耗していたこともあり、少し後ろの方から見たのだけれど、周囲も盛り上がっていたし、ステージとの距離感を感じるということはほとんどなく楽しめた。ここ数年毎年「氣志團万博」に行っているせいで、巨大なライブ会場のいろんな場所からいろんな種類のバンドを見る機会がけっこうあるのだけれども、こういうことを体験したことは他にほとんどなくて、稀有のことだった。

simokitazawa.hatenablog.com

*1:もちろん東京ドームのように制御された巨大室内空間ではまだまだPerfumeの方が1枚も2枚も上だろうというのは考慮に入れてのことである

*2:多田淳之介インタビュー Perfumeももクロhttp://simokitazawa.hatenablog.com/entry/10001231/p1

きたまり/KIKIKIKIKIKI「悲劇的」@京都アトリエ劇研

[ダンス]きたまり/KIKIKIKIKIKI「悲劇的」@京都アトリエ劇研

使用楽曲 マーラー交響曲第六番イ短調 悲劇的
振付演出 きたまり

出演  花本ゆか 藤原美加 益田さち 斉藤綾子 きたまり
日程 2017年8月4日(金)~8日(火) 
会場 アトリエ劇研

マーラー交響曲の舞踊化といえばベジャールのものが有名なほか、最近ではノイマイヤーも積極的に手掛けているようだが、いずれもきたまりがこれまで手掛けてきた「巨人」「夜の歌」、そして今回手掛けた「悲劇的」は手掛けていないのではないかと思う。もっともきたまりはマーラー交響曲の全作舞踊作品化を宣言し、今後両巨匠がすでに手掛けた楽曲にも挑戦することになるとは思われるが、今回はやはりこれまではあまりダンスでは取り上げられていないであろう第六番「悲劇的」の上演となった。
 きたまりが執筆しているパンフの文章によればこの曲の最後には運命の打撃の象徴とされるハンマーの音が収録されていることから、これまでカンパニーが作品発表の場としてきたアトリエ劇研が今年8月いっぱいで閉鎖となることを知り、その最後にふさわしい作品としてこの楽曲を採用した作品を選んだということのようだ。ただ、原曲はともかくとしてダンス作品としてのKIKIKIKIKIKI「悲劇的」(きたまり振付演出)はむしろ激しい動きで踊り回るダンサーたちの爆発的なエネルギーに溢れていて「悲劇的」という感じはなかった。
 ダンスの振付的には前半はグラウンドポジションが多い。そのためか、劇場の壁側にコの字状に桟敷のような客席が設けられていて、観客はいわば2階の高さにあるその桟敷席からダンスフロアを見下ろすようになっていた。これはフロアで動き回るダンサーがフラットな観客席から見たのでは重なってしまいよく見えなくなってしまうのを防ごうという狙いがあったとも思われるが、逆にそういう客席設定に触発されたように床面に腹ばいになったままである時は爬虫(はちゅう)類や両生類を思わせるように、あるときはアメーバのように動き続けるのがこれまであまり見たことがないような動きで面白い。
 今回参加したダンサーはきたまり以外はすべてバレエ経験者だったのだが*1、ムーブメントはいずれも身体の柔軟さと強靱さがいずれも必要とされるもので、確認はしていないので確かなことは分からないけれども、カンパニーメンバーで公演常連の野渕杏子が今回は出ていないのはそのためかもしれない。前回の「夜の歌」もそうだったが、前半は比較的抑えた表現で動きもゆっくりしたものであり、正直言って何度か寝落ちしかけた瞬間もあったのだが、後半は雰囲気が一変し、躍動感溢れる群舞の生み出す一種の生の輝きに圧倒された。振付自体が似ているということではないがその群舞を見ていて私が連想させられたのはピナ・バウシュ版の「春の祭典」だった。作品への構えがどうしてもコンセプトに寄りがちになる現在のコンテンポラリーダンスのなかで、マーラーというクラシック音楽の巨匠の音楽に正面から対峙していくような作品作りへの構えはいささか古くさいものと見なす向きも出てきそうなところだが、木ノ下歌舞伎の「娘道成寺」でのソロダンスから判断しても、きたまりのマーラー連作はここから現代の新しい古典が生まれてかもしれないとの予感を充分に感じさせるものだった。本人にも伝えたがぜひともこの作品に限らずこれまでの3作品のどれでもかまわないので東京での再演も実現してほしい。あるいはきたまり作品を東京に招聘してくれるプロデューサーはいないだろうか?

*1:そのうち2人は関西の主要バレエ団所属していた経験あり。

SIF(2日目)と「ももクロ夏のバカ騒ぎ2017」@味の素スタジアムDAY2

[ライブ]SIF(しがこうげんアイドルフェスティバル)DAY2

DAY2 8/6(日)
9:45頃~15:00頃
第1回アイドルヤングライオン

1 3B junior
2 わーすた
3 アイくるガールズ
4 Pottya
5 ゆるめるモ!
6 チャオ ベッラ チンクエッティ
7 ロッカジャポニカ
8 ワンダーウィード
9 GEM
10 いぎなり東北産
第3回 振りコピコンテスト
ヘビー級アイドル
15:00頃~
9 東京女子流
10 たこやきレインボー
11 チームしゃちほこ

1日目に続き、この日も暑い陽射しが照りつけた。そのため、前座の3B juniorからはじまり、初めて見るわーすた、アイくるガールズ、Pottyaゆるめるモ!まではヤジスタで見ることができたが、あまりの暑さに耐えきれなくなり、おなかも減ったのでチャオ ベッラ チンクエッティが1曲目を終えたあたりで、フードコートの方に引き上げて、AmebaTVの配信で見ることにした。GEMの途中で会場に戻ったところ、チームしゃちほこの伊藤

[ライブ]「ももクロ夏のバカ騒ぎ2017」@味の素スタジアムDAY2

【公演詳細】
ももいろクローバーZ
ももクロ夏のバカ騒ぎ2017 -FIVE THE COLOR Road to 2020- 味の素スタジアム大会」
会場:東京都・味の素スタジアム
【DAY1】2017年8月5日(土) open 14:00 / start 17:00 / (20:30終演予定) 【THANK YOU SOLD OUT!】
【DAY2】2017年8月6日(日) open 14:00 / start 17:00 / (20:30終演予定) 【当日券販売決定!】


セットリスト

overture
M1:境界のペンデュラム
M2:天手力男
M3:ゴリラパンチ
M4:CONTRADICTION
MC
Survival of the Fittest -interlude-
M5:BLAST!
M6:ザ・ゴールデン・ヒストリー
M7:ココ☆ナツ
M8:黒い週末
MC
M9:いつだって挑戦者
M10:PUSH
M11:Chai Maxx
M12:JUMP!!!!!
M13:D'の純情
M14:ワニとシャンプー

M15:もっ黒ニナル果て
M16:猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」
武井壮 vs ももクロ リレー対決
M17:キミノア
M18:行くぜっ!怪盗少女
M19:走れ!
M20:桃色空
M21:青春賦
M22:MOON PRIDE
M23:白金の夜明け
本編終了
アンコール
EN1:ツヨクツヨク
EN2:あの空へ向かって
挨拶

ももクロ夏のバカ騒ぎ2017」の副題が「FIVE THE COLOR Road to 2020」となっていたのは公式スポンサーでもないし、「五輪」「オリンピック」「東京五輪」などのIOCが管理する商標をいっさい使えないところで、「ももクロ東京五輪に何らかの形で関わるぞ」という宣言のように思われる。
 「東京五輪開会式で歌いたい」などとメンバーがいささか勇み足っぽく口頭では言ってしまってはいるものの、公式としては「何らかの形で関わりたい」ということだが、
おそらくそれさえも現時点の後3年という期間はギリギリというところだ。
 もっとも開会式に関しては芸術総監督がだれになるのかというのもまだはっきりとは決まっていない段階であり、下馬評ではいろいろ上がってきているものの、参加するスタッフ側の陣容はおぼろげに決まりつつあっても、*1どんなアーティストが出演するかはまだこれからのことだろう。
 そういう意味でアイドルファン系のモノノフには「なぜアイドルのライブで陸上の試合を見なければならないんだ、意味が分からない」などと評判の悪かった今回の演出も東京五輪に向けての最後のアピールの場としてももクロ陣営にとってはきわめて自然なことだったかもしれない。
 「ももクロ夏のバカ騒ぎ2017」2日目は初日にあった聖火点灯とももクロ武井壮のハンデ付きリレー競争がないから、より一層、ライブと陸上競技のコラボに徹したものとなった。競技に関しては初日はハーフマラソン、1500Mが女子競技が行われたのに対し、いずれも男子競技だったこと。競技参加者ではハーフマラソンには北海道マラソン優勝者や箱根駅伝の出場選手など現役バリバリのトップ級選手が集まり、レースが始まるやいなやこれらの選手がいきなり飛び出し、トップ集団を形成するなどガチンコの勝負が楽しめた。モノノフ的にけっこうな盛り上がりを見せたのは 100M、110Mハードルともに決勝の勝負が赤推し対ピンク推しの選手のガチンコ勝負になったことだ。別に仕掛けていたわけではないだろうが、レースが一層白熱したことは間違いない。
 2日目の曲目を振り返ってみるとこの日は1曲目が「境界のペンデュラム」。以下、怪力無双のキャラを連想させる「天手力男」「ゴリラパンチ」と続き「CONTRADICTION」というパワー系の滑り出し。「桃神祭」も別の意味でそうだったが、ももクロの武器のひとつが楽曲の多彩さであり、この日はこの後も「BLAST!」「ザ・ゴールデン・ヒストリー」、夏のバカ騒ぎ定番の「ココナツ」を挟んで、「いつだって挑戦者」「PUSH」
Chai Maxx」と何らかのスポーツを感じさせる楽曲が続く。
 ただ、盛り上げるだけではなくライブ後半には「桃色空」「青春賦」「MOON PRIDE」「白金の夜明け」といったじっくり聞かせる楽曲を並べてもちゃんと成立するところが最近の充実ぶりを表していたといえるだろう。アンコールは「ツヨクツヨク」に続き、伝家の宝刀でもある「あの空へ向かって」。この日も朝からSIFでいろんなアイドルがライブを行ってきた中でも格の違いを見せつけた感があった。

*1:例えば誰が芸術監督になってもリオ閉会式での引き継ぎセレモニーの製作に参加したMIKIKO+ライゾマティクスリサーチの参加は非常に可能性が高いと思われる。彼女らはPerfumeを支えるスタッフでもあるが、だからと言ってPerfumeが直接開会式にかかわるかはまだ白紙だろう

SIF(1日目)と「ももクロ夏のバカ騒ぎ2017」@味の素スタジアムDAY1

[ライブ]SIF(しがこうげんアイドルフェスティバル)DAY1  

8/5(土)  DAY2   8/6(日)
第1回アイドルヤングライオン
10:00頃~14:30頃  
         
1 CROWN POP     
2 AKAGIDAN      
3 notall         
はちみつロケット  
5 桜エビ~ず      
6 DEVIL NO ID      
7 S★スパイシー      
8 PALET          
9   あゆみくりかまき  
10 ばってん少女隊
     
ヘビー級アイドル
14:30頃~  

11 アップアップガールズ(仮)   
12 たこやきレインボー     
13 私立恵比寿中学 

 

       

 

 ももいろクローバーZの夏ライブ「ももクロ夏のバカ騒ぎ2017」は8月5、6日の2日間にわたり味の素スタジアムで開催されるのだが、朝から開演時間までの”時間を使って様々なイベントが開催される。そのうち今回の目玉となりそうなのが、SIF(しがこうげんアイドルフェスティバル)というアイドルフェスティバル。小規模な形ではこれまでも開催されてきたが、今回はサブステージとなる味スタ外周エリアの広大な敷地が利用できることもあり、このエリアだけで1万人規模の集客が可能なこともあって、スターダストの後輩グループからも私立恵比寿中学、チームしゃちほこなどアリーナ規模の動員が可能なグループやすでにZEPPツアーをこなしたたこやきレインボー、外部からもアップアップガールズ(仮)東京女子流とキャリアのある実力派グループも参戦。

 ちょうど時期的に裏で(もちろん、普通に考えたらこちらが表だが)にまるかぶりのスケジュールで開催されているトーキョーアイドルフェスティバル(TIF)に参加グループの数ではかなわないまでも、メンツ的には充分に対抗できる陣容となっている。

 アイドル自体がそんなに大好きというわけではないのだけれど、今回はももクロの現場で無料に見られるということもあり、アイドル全般を経験できるせっかくの機会だから早起きして出掛けることにした。この日の注目のは7人になってしまってから初めて生で見ることになる私立恵比寿中学。唯一2日間フル出場たこやきレインボーはどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。

「春の一大事」でライブを見てステージングに感心させられたあゆみくりかまきもまた見てみたい。スタダの若手勢では3Bの予選を勝ち抜き勢いのあるはちみつロケットばってん少女隊メジャーデビュー組の意地を見せることができるのか。 

    あゆみくりかまきがよかった。モノノフが中心であろう客層を確実に引き入れて巻き込んでいく、ステージングの巧みさにはやはり、感心させられたし、端的にいってヘビー級アイドルの3組と比べて歌唱力では見劣りしないほどだ。

   今回のSIFではチケットに投票券がついていて会場に投票箱があってパフォーマンスがよかったアイドルヤングライオン杯の参加アイドルに投票できるようになっている。実は参加グループのパフォーマンスの成否を観客が決めるという試みはももクロが所属するスターダストプロモーションでは過去2回開催した実績がある。第1回となったSSAでの「俺の藤井」では1曲ごとの1対1勝ち残りの対決形式で行い、最終的な優勝はももクロに譲ったものの超戦闘的なセットリストで一度はももクロエビ中を撃破し、勢いのよさを見せつけた。若手グループだけが参加した第2回では東京ではほぼ初披露でまったくのノーマークだったいぎなり東北産が優勝。すでにメジャーデビューを果たしているグループにより大きな別会場で行われていたライブへの出場権を獲得した。

   そういう因縁もあってこの日の10組のうち、もっとも優勝への執念を燃やしていたのがはちみつロケットかもしれない。出演グループを絞り込み、スタダ以外のグループへの参加枠を確保する目的もあってか、3Bjuniorのユニットでは予選が行われた。そこで1位となったはちロケが代表として、出演出来なかったメンバーの思いも背負って、SIFに出演してきた。さらに本命視されていた前回の「藤井」での同種企画で先述のように東北産の勢いに逆転負けを喫していたこともあった。

 アイドルのライブにそういう言葉を使うのもどうかとも思うが、凄まじい気迫を感じさせるパフォーマンスだった。最近はライブも増えてきてはちロケのオリジナル曲を並べ自分たちの存在をアピールすることもできたろうが、最初の曲を3Bjuniorのオリジナル曲「勇気のシルエット」からはじめたのも勝利への強い意思を感じさせた。

    実は後述するが最終的な投票結果ではスタダ系のグループが上位を独占。ネット上には他のグループのファンから身内は強いなどと結果を揶揄する声も上がっていたようだが、現地で見ていた私の印象からいうと少し違う。

    ほぼ全グループが「優勝」のみを狙っていてそのためにどうしたらいいかに思案を重ねていたスタダ勢と新たな観客層に向けて魅力的なパフォーマンスを見せることであわよくばファンの取り込みを計ろうという他からの参加グループではSIFへの参加の動機がまるで違うのだ。

 もっとも気合の入っていたのははちみつロケットかもしれない。出演グループを絞り込み、スタダ以外のグループへの参加枠を確保する目的もあってか、3Bjuniorのユニットでは予選が行われ、そこで1位となったはちロケが代表として、出演出来なかったメンバーの思いも背負って、SIFに出演してきた。さらに本命視されていた前回の「藤井」での同種企画で先述のように東北産の勢いに逆転負けを喫していた。こともあってか、アイドルのライブにそういう言葉を使うのもどうかとも思うが、凄まじい気迫を感じさせるパフォーマンスだった。

 スタダ勢の取り組み方を象徴するのがいろんな意味でSIF1日目のパフォーマンスの白眉となったばってん少女隊であろう。おそらく、この日のアイドルヤングライオン杯の出場グループの中で歌や観客を沸かせるパフォーマンス力でもっとも実力が抜きんでていたのはあゆみくりかまき(あゆくま)だった。ばってん少女隊はその直後かつこの日のライオン杯の最後の順番が割り当てられており、どう考えても普通にパフォーマンスをこなしたのではあゆくまの前にかすんでしまうのが必定だった。それでどうしたか。反則ギリギリ場外戦のようなプロレス的な戦いを仕掛けてきたのだ。

 プロレスにマイクパフォーマンスというのがあるがばっしょーの冒頭あいさつはまさにそれだった。

 「味の素スタジアム、しがこうげんフェスティバルにお集まりのモノノフのお客様、ようこそばってん少女隊です。今日はももクロ夏のバカ騒ぎ、皆さんはもちろんバカになるためにやって来てることでしょう。私たちもももクロさんのステージ、とっても楽しみです。その前にこのしがこうげんフェスティバル、SIFって言うんですか、投票してチャンピオンを決める。これっていったい何のチャンピオンなんですか?そりゃあこのステージに立たせてもらって、歌わせていただけるというのは、とってもありがたいことなんだけど、何でここで争わなきゃいけないのか。これからばってん少女隊なりのバカ騒ぎを披露させていただきますけど、ばってん少女隊を応援してくださるお客様。これからのステージを見てばってん少女隊に票を入れようと思ってくださるかもしれないお客様、その投票用紙、箱に入れる必要はございません。どうぞ記念にお持ち帰りください」と集まった客を挑発したうえで、行ったパフォーマンスは何と「おっしょい!」というひとつの曲だけをループして7回繰り返すという衝撃的なものだった。

 かなり激しい曲で最初は曲を知らないでいた観客も繰り返すうちにコールや振付を覚えてきて、一緒に盛り上がり、トランス状態になって会場の一体感を醸し出すが、おそらく30度半ば、照りつける日差しで体感温度では40度近いとも思われる中で何度も繰り返し延々と続くとも思われるパフォーマンスで体力的に限界になり、気が遠くなってきた。

 この曲は結局、8回目の途中で鐘が鳴るとそのまま打ち切られてメンバーは何も言い残さずにステージ袖へとはけていったが、しばらく「あれは一体何だったんだ」と呆然としているうちにヘビー級アイドルのたこやきレインボーのパフォーマンスが始まってしまい結局、この日は投票をすることはできなかったのだ。同様の人は他にもいたはずであゆくまはこのばってん少女隊のパフォーマンスのせいで呑み込まれてしまった感があり、だいぶ損をしているような気がする。もちろん、これはただの想像にすぎないけれどこのパフォーマンスがなければあゆくまの得票はもう少し多くて上位のスタダグループに肉薄していたのではないかと思う。

 

spice.eplus.jp

[ライブ]「ももクロ夏のバカ騒ぎ2017」@味の素スタジアムDAY1

  ライブに合わせて発売されたシングル「BLAST!」はメンバーそれぞれが競技者に 扮したMVを製作するなど明らかに2020年に開催される東京五輪を意識した作りとなっていた。

ももクロスポーツの融合」を主題にした4年ぶりの「バカ騒ぎ」ということで背後に鎮魂などの日本的な伝統への傾斜が感じられた「桃神祭」とは明らかにコンセプトが異なるライブである。副題を「-FIVE THE COLOR Road to 2020-」とするなど商標権などの問題からそのこと自体を標榜することはできないが、明らかに2020年に東京で開催されるオリンピック五輪)を主題としている。

 そもそも4年前に日産スタジアムで開催された「ももクロ夏のバカ騒ぎ2013」といい、国立競技場ライブにせよライブの演出上、冒頭の演出で聖火に点火したりとももクロスタジアムライブはこれまでも五輪を意識したものが多かった。そもそも国立競技場でのライブにしても結果的に解体前の国立競技場でのライブ開催にこぎつけて以前からの目標を実現させたという形になっているが、そもそも紅白初出場の翌日に国立競技場でのライブ宣言をした時も2020年に新たに出来る新しい国立競技場でのコンサートあるいはそこで行われるかもしれない東京五輪開会式での開会式で歌うことというのが近くはない将来における壮大な目標という側面が強かったのだ。ところが、国立競技場でのライブが実施された後は逆に五輪ということは積極的には口に出さなくなった。

 これは東京五輪になんらかの形でかかわるという目標が単なる将来的な夢ではなく、現実的な目標へと変化していく中でそのための下準備は粛々と進めていく一方でうかつなことは言わないほうがいいということになっていったからではないか。ところが今ライブの直前に行われたイベント「試練の7番勝負」でももクロレスリング吉田沙保里と対戦、トークを行ったのだが、このイベントの最後の最後で百田夏菜子吉田に向かって「東京五輪で再会しましょう」と言い放った。これまでもマネージャーやメンバーからそれをにおわすような発言はないでもなかったが、これほどはっきりと口に出したのはこの時が初めてだった。

 こうした経緯を受けてか今回のライブは4年前にもまして東京五輪を意識した演出となっている。初日はまず聖火リレーからライブは始まるが、これがソウル五輪レスリングフリースタイル48kg級金メダリスト小林孝至さんから始まり、長野五輪スキー複合出場、個人6位の荻原次晴、そして最後は「試練の7番勝負」で対戦したばかりの吉田沙保里コーチ栄和人(本人もソウル五輪出場)と五輪メダリスト選手が聖火をつなぎ、最後に昇降機に乗り込んだ吉田が聖火を手渡した夏菜子がそのまま聖火に点火し、ライブが始まるという五輪開会式のリハーサルを思わせるような演出。

 4年前はスタジウムのグラウンドの芝部分がそのまま空いていて、そこで元日本代表選手などを招いて実際にサッカーの試合をしたりした演出が物議を醸したが今回はグラウンド部分にはアリーナ席が設営されたが、トラック部分には走行レーンや走り幅跳び棒高跳び走り高跳びのコースが設営されていて、ライブの進行と連動して、そこで男子100?、男子110?ハードル、男女1500?のレースが実施されたほか、競技場の外周コースを回るハーフマラソンがライブの最中に実施されて、そのゴール場面を観客とメンバーがそのまま目撃して祝福するというようなそれまでにないようなライブイベントが実行された。

 今回のセットリストの特色は冒頭で歌われる新曲「BLAST!」のみではなく、「サラバ、愛しき悲しみたちよ」「上球物語」「DECORATION」と自らを鼓舞するように受け取れる歌詞の曲が続くことである。いわばアイドルの曲によくある「頑張れソング」ではなくて「頑張るぞソング」を続けることで競技者を勇気づけようというのがこのライブの基本的なトーンをなしている。さらに曲目全体を見ると「BLAST!」「境界のペンデュラム」といわばこのライブのために作られた感のある新曲はもちろん歌われるが、しばらく歌われていなかった「5th dimention」の「上球物語」や「もっ黒ニナル果て」「桃源郷」「HAPPY Re:BIRTHDAY」といったライブではこれまであまり披露されたことのない楽曲や最近はあまり披露されていない楽曲がひさびさに披露されたのも嬉しかった。

 

overture
M1:BLAST!
M2:サラバ、愛しき悲しみたちよ
M3:上球物語 -Carpe diem-
M4:DECORATION
MC
M5:境界のペンデュラム
M6:労働讃歌
MC マラソン)
M7:いつだって挑戦者
M8:PUSH
M9:ココ☆ナツ
M10:猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」
映像
M11:全力少女
M12:JUMP!!!!!
M13:オレンジノート
M14:ゴリラパンチ
幅跳びパフォーマンス
M15:もっ黒ニナル果て
M16:桃源郷
武井壮 vs ももクロ リレー対決
M17:BIONIC CHERRY
M18:行くぜっ!怪盗少女
M19:走れ!
M20:桃色空
M21:Hanabi
M22:ワニとシャンプー
M23:希望の向こうへ
本編終了
アンコール
EN1:コノウタ
EN2:HAPPY Re:BIRTHDAY
挨拶
(終演)

 

SIFとももクロ夏バカ@味の素スタジアム

*[ライブ]SIF(しがこうげんアイドルフェスティバル)

 

 

DAY1   8/5(土)  DAY2   8/6(日)
第1回アイドルヤングライオン
10:00頃~14:30頃  
         
1 CROWN POP     
2 AKAGIDAN      
3 notall         
はちみつロケット  
5 桜エビ~ず      
6 DEVIL NO ID      
7 S★スパイシー      
8 PALET          
9      あゆみくりかまき  
10 ばってん少女隊
     
ヘビー級アイドル
14:30頃~  

11 アップアップガールズ(仮)   
12 たこやきレインボー     
13 私立恵比寿中学 

 

spice.eplus.jp

       

*[ライブ]「ももクロ夏のバカ騒ぎ2017」@味の素スタジアムDAY1

overture
M1:BLAST!
M2:サラバ、愛しき悲しみたちよ
M3:上球物語 -Carpe diem-
M4:DECORATION
MC
M5:境界のペンデュラム
M6:労働讃歌
MC マラソン)
M7:いつだって挑戦者
M8:PUSH
M9:ココ☆ナツ
M10:猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」
映像
M11:全力少女
M12:JUMP!!!!!
M13:オレンジノート
M14:ゴリラパンチ
幅跳びパフォーマンス
M15:もっ黒ニナル果て
M16:桃源郷
武井壮 vs ももクロ リレー対決
M17:BIONIC CHERRY
M18:行くぜっ!怪盗少女
M19:走れ!
M20:桃色空
M21:Hanabi
M22:ワニとシャンプー
M23:希望の向こうへ
本編終了
アンコール
EN1:コノウタ
EN2:HAPPY Re:BIRTHDAY
挨拶
(終演)

 

 「ももクロスポーツの融合」を主題にした4年ぶりの「バカ騒ぎ」ということで背後に鎮魂などの日本的な伝統への傾斜が感じられた「桃神祭」とは明らかにコンセプトが異なるライブである。副題を「-FIVE THE COLOR Road to 2020-」とするなど商標権などの問題からそのこと自体を標榜することはできないが、明らかに2020年に東京で開催されるオリンピック五輪)を主題としている。

 そもそも4年前に日産スタジアムで開催された「ももクロ夏のバカ騒ぎ2013」といい、国立競技場ライブにせよライブの演出上、冒頭の演出で聖火に点火したりとももクロスタジアムライブはこれまでも五輪を意識したものが多かった。そもそも国立競技場でのライブにしても結果的に解体前の国立競技場でのライブ開催にこぎつけて以前からの目標を実現させたという形になっているが、そもそも紅白初出場の翌日に国立競技場でのライブ宣言をした時も2020年に新たに出来る新しい国立競技場でのコンサートあるいはそこで行われるかもしれない東京五輪開会式での開会式で歌うことというのが近くはない将来における壮大な目標という側面が強かったのだ。ところが、国立競技場でのライブが実施された後は逆に五輪ということは積極的には口に出さなくなった。

 これは東京五輪になんらかの形でかかわるという目標が単なる将来的な夢ではなく、現実的な目標へと変化していく中でそのための下準備は粛々と進めていく一方でうかつなことは言わないほうがいいということになっていったからではないか。ところが今ライブの直前に行われたイベント「試練の7番勝負」でももクロレスリング吉田沙保里と対戦、トークを行ったのだが、このイベントの最後の最後で百田夏菜子吉田に向かって「東京五輪で再会しましょう」と言い放った。これまでもマネージャーやメンバーからそれをにおわすような発言はないでもなかったが、これほどはっきりと口に出したのはこの時が初めてだった。

 こうした経緯を受けてか今回のライブは4年前にもまして東京五輪を意識した演出となっている。初日はまず聖火リレーからライブは始まるが、これがソウル五輪レスリングフリースタイル48kg級金メダリスト小林孝至さんから始まり、長野五輪スキー複合出場、個人6位の荻原次晴、そして最後は「試練の7番勝負」で対戦したばかりの吉田沙保里コーチ栄和人(本人もソウル五輪出場)と五輪メダリスト選手が聖火をつなぎ、最後に昇降機に乗り込んだ吉田が聖火を手渡した夏菜子がそのまま聖火に点火し、ライブが始まるという五輪開会式のリーハーサルを思わせるような演出。

 4年前はスタジウムのグラウンドの芝部分がそのまま空いていて、そこで元日本代表選手などを招いて実際にサッカーの試合をしたりした演出が物議を醸したが今回はグラウンド部分にはアリーナ席が設営されたが、トラック部分には走行レーンや走り幅跳び棒高跳び走り高跳びのコースが設営されていて、ライブの進行と連動して、そこで男子100?、男子110?ハードル、男女1500?のレースが実施されたほか、競技場の外周コースを回るハーフマラソンがライブの最中に実施されて、そのゴール場面を観客とメンバーがそのまま目撃して祝福するというようなそれまでにないようなライブイベントが実行された。

 今回のセットリストの特色は冒頭で歌われる新曲BLAST!」から

Cucumber+三鷹市芸術文化センターPresents 土田英生セレクション vol.4「きゅうりの花」@三鷹市芸術文化センター星のホール

Cucumber+三鷹市芸術文化センターPresents 土田英生セレクション vol.4「きゅうりの花」@三鷹市芸術文化センター星のホール

作・演出|土田英生
出演|内田淳子 加藤 啓(拙者ムニエル) 金替康博(MONO)  神田聖司 諏訪 雅(ヨーロッパ企画) 千葉雅子猫のホテル)  土田英生(MONO)[五十音順]




simokitazawa.hatenablog.com


MONOによる初演(1999年)を利賀村の新緑フェスで見てから18年がたつ。当時、MONOは新進気鋭の若手劇団で、コメディ色の強い芝居を得意としていたが、中でもこの「きゅうりの花」は抱腹絶倒の舞台だった。それが今回は大きな脚本の変更はないとおもうのだが、なんとももの悲しく感じられたのはやはり年月の経過と云うものだろうか。

範宙遊泳「その夜と友達」@横浜STスポット

範宙遊泳「その夜と友達」@横浜STスポット

ちょうどボブディランがノーベル文学賞を受賞する頃、とある住宅街を目的もなく散歩していた時、どこかの家の換気扇の排気口から漂う晩御飯の匂いに触発されてこの演劇を着想した。それは嗅覚を次の四ツ辻まで奪い去るような筑前煮の甘辛い匂いだった。べつにポトフの匂いだったとしてもおそらくこの演劇をつくることになったと思う。でもきっと筑前煮でなければ「その夜と友達」というタイトルの演劇にはならなかった。この演劇には2人の男と1人の女が登場する。2人の男と1人の女といえばその常套手段として三角関係を描くのか、と思いきや今作はそれを本意とするものではなく友情の話である。友情といえど残念ながらいわゆる「青春」にはならない。青春だと感じる余裕もなく、ただそこでのそのそと生活する人々のちょっと風変わりな話だ。これは壁(排気口)の向こうの時間と匂いについての物語である。
山本卓卓

作・演出:山本卓卓
出演:大橋一輝(範宙遊泳) 武谷公雄 名児耶ゆり

スタッフ:
音楽|涌井智仁 アートディレクター|たかくらかずき 映像|須藤崇規
美術|中村友美 照明|富山貴之 衣裳|藤谷香子(FAIFAI) 舞台監督|櫻井健太郎
演出助手|藤江理沙 デザイン|金田遼平 広告写真|齊藤翔平
当日運営|田中亜実 制作助手|川口聡 制作|柿木初美 制作統括|坂本もも

協力|プリッシマ FAIFAI ロロ 急な坂スタジオ 森下スタジオ ローソンチケット
助成|芸術文化振興基金 公益財団法人セゾン文化財
共催|STスポット
企画制作・主催|範宙遊泳 さんかくのまど====

  範宙遊泳の舞台の最近の充実ぶりには目を見張るものがある。範宙遊泳は映像やプロジェクターによる文字列の映写などを俳優の演技と組み合わせるようなある種実験的な手法を試みてきて、これまでは手法や表現の斬新さに目が向くことが多かったのだが、最近はそうした手法を空気のように身にまといながら語られる内容の方に観客がフォーカスできるような巧みなストーリーテリング(語り方)を身に着け、表現の水準を一段階上げた。 「その夜と友達」は過去と現代の語り手を自在に交代させた語りを交錯させながら旧友とその喪失を描いた芝居だが村上春樹の小説「風の歌を聴け」を最初に読んだときのようなせつなさを感じさせた。