アートコートフロンティア2004(アートコートギャラリー)*1を見る*2
昨年、開廊記念展として開催した「アートコートフロンティア」の第2弾。アーティスト、キュレーター、コレクター、ジャーナリスト、ギャラリスト計15人がそれぞれ"一押し"の作家を推薦、関西若手作家15人を紹介する展覧会。
推薦者 出展作家
アーティスト
藤本由紀夫 植松琢麿/彫刻ミクストメディア
村岡三郎 田中ちえこ/絵画
森村泰昌 遠藤裕美子 + 原田リョータ/映像、インスタレーションキュレーター
植木啓子 濱口直巳/インスタレーション
篠 雅廣 大西伸明/ミクストメディア
吉川神津夫 満江英典/絵画コレクター
池田寿夫 金氏徹平/立体(写真、ドローイング)
おかけんた 小野正人/彫刻(ステンレス)
柏原孝昭 栗田咲子/絵画ジャーナリスト
金 悠美 宮城亜梨紗/インスタレーション
木村未来 稲垣智子/インスタレーション、パフォーマンス
古川 誠 東 義孝/平面作品ギャラリスト
池田靖嗣 北城貴子/絵画
片山和彦 人長果月/映像を主としたインスタレーション
熊谷寿美子 宮永愛子/立体
前は時間がなくて見られなかった展示があったのでもう一度出掛けてみた。抜群に面白かったのが 宮城亜梨紗のインスタレーション「大森くん」。架空のアイドルおたくの部屋が再現してあるのだけれど、その部屋中にポスターや写真が所狭しと張り付けられているアイドル「星野くるみ」を演じているのが、どうも宮城亜梨紗本人のようで、この部屋にはポスターだけではく、CDやプリントTシャツなど関連グッヅがいっぱい。部屋にはテレビとパソコンもあり、テレビでは星野くるみのビデオ、パソコンの画面にはホームページまでつくられていて、バーチャルなアイドルを徹底的に演じるその凝り方の徹底したところはなかば偏執狂的なところさえ感じさせるほどで、これはもう凄かった。
本人がなにかを演じてそれを展示するということでいえば森村泰昌、やなぎみわ、澤田知子らの前例があるわけだけれど(遠藤裕美子 + 原田リョータもその1例)、この場合はその間に「大森くん」といういわば「アイドル星野くるみ」を対象として見つめる存在があって、しかもアーティスト宮城亜梨紗はそれをまた俯瞰した位置から眺めている(それは鑑賞者の立場でもある)という構造があって、この交錯した視線がベラスケスの「ラス・メニーナス」を連想させる。