下北沢通信

中西理の下北沢通信

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杉浦正和 写真展*2「御島 ON-SHIMA」@EarlyGallery2周年記念 第三弾企画

杉浦正和 写真展「御島 ON-SHIMA」 (EarlyGallery)を見る。

 杉浦正和という人の写真展は同じ会場で「Remontage「」」*1という連作を2度ほど見たことがあって、その連作が面白かったので、今回も注目して見にいったのであった。被写体としては「Remontage「」」が主として都市の風景を切り取っているのに対して、今回は表題の「御島 ON-SHIMA」から明らかなように人里離れたような島を撮影したものなので、そこには大きな差異があるように見えて、写真そのものを見てみると、この人の興味のあるのは結局、被写体の「もの」的側面であって、そこにはそれほどの質感の差異が感じられないのが逆に面白い。
 例えば最初に見たこの写真(http://www15.ocn.ne.jp/~earlyee/04.07.26.htm)に見られるような無数の窓を細密な写し取ったようなところや「Remontage「」」の木の枝の影とその影によって壁に区切られた細かい図形への偏執などは荒涼とした島の風景をただ写したように思われるこの写真(http://www15.ocn.ne.jp/~earlyee/060919.htm)にも画然とその姿を現していて、「信仰の拠点とされた島から触覚的に感じたことにより、その霊場としての根拠を写真にして解釈しました」という作者の言葉にもかかわらず、この写真から感じられるのはそういうスピリッチャルなところよりは向かって左手の近くにに見える草の群れとその影と右手上方の黒い木の影とその下の少し白っぽい草むら。そうしたそれぞれの要素がモノクロームのプリントのなかで形成する複雑な図形の形象の面白さであって、その被写体を少し突き放したようなフォルムの提示に一貫したクールな感覚を感じさせられたからだ。
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