下北沢通信

中西理の下北沢通信

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ク・ナウカ「奥州安達原」@文化学園体育館

 ク・ナウカ「奥州安達原」文化学園体育館)を観劇。
 ク・ナウカは演出家の宮城聰が春から静岡県舞台芸術センター(SPAC)の芸術総監督に就任、劇団としては活動を休止するため、「奥州安達原」はその前の最終公演となる。ク・ナウカは動きを担当する俳優(ムーバー)と語りを担当する俳優(スピーカー)が「2人1役」で語りの演劇を上演するユニークな上演スタイルで知られる集団である。
 その特異な上演形態から人間浄瑠璃文楽)とも称されてもきたが、これまでの上演作品はギリシア悲劇(「エレクトラ」「王女メディア」)やシェイクスピアに代表されるような「桜姫東文章」や「天守物語」など歌舞伎としても上演されたような日本の古典劇を取り上げることはあっても、本格的な文楽浄瑠璃)のテキストの上演はなく、これはあえて避けてきたのであろうと思わせるところがあった。そして、今回区切りとなるこの最終公演でその禁をあえて破って、近松半二らの脚本によるこの浄瑠璃作品にあえて挑んだのはこの集団における最終到達点をここで刻み込んでおきたいという宮城の並々ならぬ意欲の現れであったと見ることができよう。
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