下北沢通信

中西理の下北沢通信

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青年団国際演劇交流プロジェクト2018「GHOSTs」@こまばアゴラ劇場

青年団国際演劇交流プロジェクト2018「GHOSTs」@こまばアゴラ劇場

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作・演出:パスカル・ランベール
日本語台本:平田オリザ


フランスを代表する劇作家・演出家パスカル・ランベールが、2017年に台北アートフェスティバルの委嘱で、台湾の台南人劇団とのコラボレーションで制作した『GHOSTs』。本作はその日本語版であり、平田オリザが日本語台本を監修する。

2017年夏に、パスカルが来日し開催したオーディションで選ばれた6名の俳優と、城崎国際アートセンターでの滞在制作でリクリエーションをし、こまばアゴラ劇場で初演を迎える。


青年団国際演劇交流プロジェクト

1999年より青年団は、国際交流プロジェクトとして、ヨーロッパ・アジア・北アメリカ各国との協働プロジェクトを様々な形で数多くおこなってきた。特に、2007年~2017年までパスカル・ランベールがディレクターを務めたフランスのジュヌヴィリエ国立演劇センターとこまばアゴラ劇場は、提携劇場として公演や、若手交流事業を重ね、日本とフランスの間の演劇交流の一大拠点となった。パスカル・ランベールと平田オリザは、 2007年の『愛のはじまり』日本版上演以来、緊密な交流関係を続けている。



パスカル・ランベール Pscal Rambert

フランスの劇作家・演出家。1962年生まれ。2007年から2017年までジュヌヴィリエ国立演劇センターの芸術監督を務め、高く評価される。2016年、アカデミー・フランセーズ演劇賞受賞。2017年より、パリのブッフ・デュ・ノール劇場アソシエート・アーティスト。

出演

佐藤 岳 (無隣館)
谷川翔吾(Scene ZERO-art/theater)
名古屋愛 (無隣館)
松﨑義邦(東京デスロック)
森 一生(無隣館/阿佐ヶ谷スパイダース
米津知実 (雲の劇団雨蛙)

スタッフ

舞台美術・照明・衣裳:パスカル・ランベール

日本側スタッフ
 舞台監督:安田美知子
 技術統括:西本 彩
 音響:泉田雄太
 舞台美術:濱崎賢二
 照明:井坂 浩
 衣裳:正金 彩
 音楽:額田大志(ヌトミック/東京塩麹
 翻訳:西尾祥子(システマ
 演出助手 : 曽根千智(無隣館)
 舞台監督補:陳彦君、中村真生

通訳:石川裕美
フライヤーデザイン:京(kyo.designworks)
制作:西尾祥子(システマ)、金澤 昭、有上麻衣
芸術総監督:平田オリザ

パスカル・ランベールは全員フランス人のキャストにより平田オリザの「東京ノート」を上演。その後も自らがディレクターを務めるジュヌヴィリエ国立演劇センターに継続的に青年団を招聘するなど平田にとって盟友的な存在である。
 日本の演劇人とフランスの演出家との関係性ではSPACの宮城聰とオリヴィエ・ピィ平田オリザパスカル・ランベールとの関係が双璧といっていいと思われるが、彼の国の両者の評価において、ピィとランベールの現地での立場の変遷が微妙に影を落としているようにも見えてくる。その意味では以下の紹介でSPACの横山義志が微妙な書き方をしていることが興味深い。
spac.or.jp
 一方、こちらは早稲田大学大学院教授の藤井慎太郎による紹介記事。
www.wochikochi.jp

ランベールが最初に来日したのは、フランス外務省が京都に有するアーティストのためのレジデンス施設ヴィラ九条山に2003年に滞在したときであった。クロード・レジ(1923年生まれのフランスの巨匠演出家)が強く推してくれたおかげであったという。さらに言うと、京都滞在中にすばらしい能の作品を見たときにレジの美学に通じるものを感じて、レジに来日することを強く勧めたそうだが、その後、クロード・レジは宮城聰の招きによって、静岡県舞台芸術センター(SPAC)において『室内』を演出することになった。

 などとあるが、2003年にヴィラ九条山にレジデンスをしていたというのには驚いた。