下北沢通信

中西理の下北沢通信

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小田尚稔の演劇「是でいいのだ」 “Es ist gut”@三鷹SCOOL

小田尚稔の演劇「是でいいのだ」 “Es ist gut”@三鷹SCOOL

脚本・演出 小田尚稔

出演 串尾一輝、善長まりも、橋本清、南香好、渡邊まな実

公演日程

2019年3月7日(THU)-3月11日(MON) [全9回公演を予定]

3/7 (THU) 19:00-
3/8 (FRI) 14:00- /19:00-
3/9 (SAT) 14:00- /19:00-
3/10 (SUN) 14:00- /19:00-
3/11 (MON) 14:00- /19:00-

※上演時間は約2時間20分程度を予定しております(途中5分程度の休憩が御座います)。

チケット料金

全席自由席・日時指定
予約2800円 当日3300円 学生2500円

※初日の回は、割引価格の予約2500円、当日3000円でご覧頂けます。

_「『三月のあの日』、、『東南口』のマクドナルドにいた」
_登場人物のひとりである女は、就職活動の面接の前によった新宿のマクドナルドで被災する。電車が動かないので、徒歩で家がある国分寺まで帰宅しようとする。中央線沿いを歩く最中、女は、当時のさまざまな風景をみて、その様子を回想する。歩き疲れて夜空の星をみながら、震源地からも近い実家に住む両親のことを想う。
_そのときにみた星空の様子は、カント (Immanuel Kant:1724-1804)『実践理性批判(Kritik der praktischen Vernunft)』の「結び」の一節、 「ここに二つの物がある、それは〔略〕感嘆と畏敬の念とをもって我々の心を余すところなく充足する、すなわち私の上なる星をちりばめた空と私のうちなる道徳的法則である」カント『実践理性批判』(岩波書店波多野精一・宮本和吉・篠田英雄訳、1979年、317頁)とともに語られる。

_2018年も自然災害が多い年でした。「是でいいのだ」の執筆当時、山下達郎さんの「希望というの名の光」を聴きながらその歌詞に着想を得たり、ウディ・アレンが日本の震災について語った文章などを読んだりして、脚本のイメージを膨らませたりもしました。
_本作では、2011年3月、震災直後の東京での出来事と、カントの思索との接続が狙いでもあります。ですので、登場人物は震災直後の東京の風景を語ります。こうした逆境を受け入れて克服することは、いつの時代でも普遍性があると思っています。
_今回の上演におきましても、あり難いことに素敵な出演者の方々が集まって下さいました。ご覧頂いたお客様の心のなかにいつまでも残り続けるような、いい上演になるように努めます。

※2019年1月1日より下記のURLよりご予約開始予定です。
_
◆ 「是でいいのだ」チケット予約ページURL
http://481engine.com/rsrv/webform.php?sh=2&d=04c7babceb

音楽:原田裕
映像撮影・編集:佐藤駿
宣伝美術:渡邊まな実
演出助手:久世直樹
制作協力:川本瑠
協力:犬など、グループ・野原、シバイエンジン、青年団、ブルーノプロデュース
企画・制作:小田尚稔

 あの日から8年。意識してこの日に観劇したわけではないけれど、特別な日にこの舞台を観劇することはそれでも様々な感慨があった。登場人物は全部で5人。劇中で出会って会話をしたり、カラオケに一緒に出掛けたりはするけれど基本的には全員がひとりぼっちの孤独な人間として描き出され、そうであることが震災との遭遇という稀有な出来事によってより強くあぶりだされる。
 今回の出演者は橋本清以外前回の出演者と入れ替わっているのだが、それぞれが「そういう人がいたかもしれない」と感じさせ、とてもいい。中でも串尾一輝演じる男の本当にせつない感じがいい。クリスマスの六本木の路上で前夫とよりを戻した女性に「もう会えない」と言われ、立ち尽くすその姿がいいようもなく良い。
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