ロロ『はなればなれたち』@吉祥寺シアター
[脚本・演出]
三浦直之[出演]
板橋駿谷 篠崎大悟 島田桃子 望月綾乃 森本華(以上ロロ)
大石将弘(ままごと/ナイロン100℃) 多賀麻美(青年団) 油井文寧
ひらのりょう 曽我部恵一[劇中曲]曽我部恵一
[美術]杉山 至 [照明]富山貴之 [音響]池田野歩 [衣裳]臼井梨恵
[舞台監督]鳥養友美 櫻井健太郎 [演出助手]中村未希 [文芸協力]稲泉広平[イラスト]矢野恵司 [デザイン]佐々木俊 [広報]浦谷晃代
[当日運営]河野 遥 山道弥栄 [制作]奥山三代都 坂本もも[協力]jungle コムレイド écru ままごと ナイロン100℃
スイッチ総研 青年団 レトル FOGHORN ROSE RECORDS
Diet-chicken ヌトミック 木下歌舞伎
範宙遊泳 急な坂スタジオ ローソンチケット[助成]芸術文化振興基金 アーツカウンシル東京
[提携]公益財団法人 武蔵野文化事業団
[企画制作・主催]ロロ さんかくのまど
劇中に登場する劇団が上演する劇中劇としてままごと「わが星」の抜粋がほぼそのまま上演される。柴幸男に対するオマージュではあるのだろうが、同時にそれは自分たちの世代*1のアンセムとも言っていい作品を作ったライバルへの返歌のようにも見えた。
「はなればなれたち」はいつもの三浦直之作品同様リアルというよりはかなり寓話化されてはいるのだが、劇団設立10周年記念公演として自分たちの劇団である「ロロ」のことをモチーフとしたものであることは間違いない。
向井川淋しい(森本華)が仲間と一緒に演劇活動の中に自分の居場所を見出していくことが、劇中劇「わが星」の観客として彼女に出会うが淋しいのことはあまり知らない佐倉すい中(望月綾乃)による空想上の語りを交えながら綴られていく。
「はなればなれたち」はこの作品のことでもあり、劇中で淋しいが「わが星」の次の公演で上演するために書いていた未完の戯曲でもある。劇中では「わが星」観劇後に感動のあまりに淋しいに会いに行ったすい中が淋しいから渡された紙の束でもあり、ロロの「はなればなれたち」はこの未完の戯曲とその未完部分を補うためにすい中が書き足して完成させたものという構造になっている。
この作品の表題「はなればなれたち」には劇団旗揚げから10年が経過しても自分たちは劇団を続けているが、すでにおそらく他の仕事があるせいで看板男優の亀島一徳がこの公演には参加していないほか、今回は参加した板橋駿谷も最近の朝ドラ「なつぞら」などで話題になったことで、今後はこれまでよりも忙しくなり、劇団公演への参加が難しくなりそうな兆しも出てきている。以前からの仲間ではあるがすでに他の劇団の所属となっているものもいる(青年団の多賀麻美)。こうしたことは人気劇団の宿命とも言え、何もロロに限ったことではないが、姿は見えなくなってもいつでもその森に居て、皆が集まってくる縁(よすが)となっているという淋しいは自分のこのようにありたい姿を託した象徴なのかもしれない。