悪い芝居vol.24『アイスとけるとヤバイ』(2回目)@東京芸術劇場
日程
2019年09月04日 (水) ~2019年09月08日 (日)会場
シアターウエスト作・演出
作・演出:山崎彬 音楽:岡田太郎
悪い芝居vol.24『アイスとけるとヤバイ』の楽日を観劇。山崎彬版のスラップスティックコメディで随所に岡田太郎によるオリジナルの劇中曲を織り交ぜた生歌唱やダンスのシーンが散りばめられている。場面転換、生歌も含めた歌唱場面によりシーンが次々とつながっていく、奈良時代から現代、未来、劇中劇まで、さまざま場面がスピード感を失うことなく転換しつながっていく。時間場面が山崎彬、植田順平らが演じるオースティン・パワーズ*1を思わせるようなエキセントリックな人物造形、ソフトクリームやアイスクリームをあしらったポップでキッチュな舞台美術などあくまで軽やかなビジュアルイメージは普段の重厚かつ暴力的な世界とは異なり、この劇団のB面的な路線として暑い夏の舞台には相応しいものとなった。観客の反応もよく楽日ということもあってか、この日は予定外のトリプルアンコールとなった。
悪い芝居は日常にひそむ暴力や虐待、いじめなど人の持つ暗黒面を抉り出し描いていくことが多いのだが、この「アイスとけるとヤバイ」はそうではなく、山崎彬の演劇世界をレコードに例えるならばB面的な世界。とはいえ、今回の舞台はコメディとしての出来栄えは非常によくて、シリアスな劇世界の中にこうした軽妙なものが挟み込まれていくことで、山崎ワールドは今後より豊かな膨らみを持っていくのだろうと思わせられた。
✅ 悪い芝居「アイスとけるとヤバイ」が昨日8月16日に大阪・HEP HALLで開幕した。
何と言っても女優が魅力的だ。悪い芝居は毎回客演女優陣がいい味を見せるのだが、ダブルヒロインといえる清水みさと、岩井七世もキュートなコメディエンヌぶりがすっかり板につき、裏切らない。これを関西(奈良)のギャルをコミカルに演じる劇団メンバーの中西柚香、潮みかがサポートして悪い芝居ならではの色濃いテイストを見せてくれた。