dracom(大阪、日本)『ソコナイ図』/“Sokonaizu-Bottomless”@東京芸術劇場プレイハウス(舞台上舞台)
おかしみのある声とぼんやりした絶望の時間が 悲劇のソコから抜け落ちる
日時:11月2日 (土) 19:30、11月3日 (日祝) 13:00
会場:プレイハウス
作・演出:筒井潤
出演:稲葉俊、大江雅子、神藤恭平、高山玲子、電電虫子、松㟢佑一
舞台監督:浜村修司
照明:吉本有輝子 (真昼)
照明操作:吉田一弥 (真昼)
音響:佐藤武紀
制作補佐:阪田愛子 ( (同) 尾崎商店)
字幕翻訳:新井知行
東京芸術祭ワールドコンペティション。観劇した作品は4本。全てを見たわけではないが、見たなかではdracom「ソコナイ図」が突出。「ソコナイ図」はまさに日本現代演劇(ポストゼロ年代演劇)の手法を洗練させた作品、身体的な表出も物語の魅力もない。ミニマリズムの形式美。とはいえ、視点を半分死者に置き、それを召還することで全体を俯瞰する構造は日本を代表する古典劇でもある能楽に通底する部分があるかもしれない。
大阪で実際にあった2児餓死事件が作品のモデルである。事件は母親の育児放棄が問われるものとなっていたが、ここでは被害者となる姉妹の年齢を上げて、両親の死と貧困の理由を保有土地の売買に伴う投資詐欺に巻き込まれて財産を失ったためという風に変更。不在の両親よりも異常に気がつきながら気づかぬふりをした市役所の職員らの無作為の罪が問われるものとなっている。