下北沢通信

中西理の下北沢通信

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超ときめき宣伝部無観客生配信ライブ「よ〜し!それなら、さいたまスーパーアリーナのセンターから、私たち超ときめき宣伝部です!」@さいたまスーパーアリーナ

超ときめき宣伝部無観客生配信ライブ「よ〜し!それなら、さいたまスーパーアリーナのセンターから、私たち超ときめき宣伝部です!」@さいたまスーパーアリーナ

 超ときめき宣伝部の配信ライブ。当初、アリーナ立川立飛(収容人数3275人)で2日間の集客ライブを開催する予定だったのを断念し中止。その代替えに配信ライブを実施することを決めたのが、その会場がアリーナ立川立飛をそのまま使うわけではなくて、さいたまスーパーアリーナを使用したというのが興味深い。
 その理由はすでにアイドルグループのTASK HAVE FANがさいたまスーパーアリーナの広大なフロアを使用して、配信ライブをしたことでわかるように相次ぐ予定されたライブの中止で、さいたまスーパーアリーナのスケジュール自体がガラ空きになってしまっていたために使用を希望した団体に対して、配信ライブを目的とした使用に対しておそらく通常会場として借りるのと比較すると破格の割引価格で借りることができたということがあるだろう。ただ、それ以上に超ときめき宣伝部の今後の目標としてさいたまスーパーアリーナをグループの物語の中核としてクローズアップしようとの狙いがあったのではないかと思う。
 ライブ自体は何もない広大なアリーナの中央部にいくつかの照明塔を円形に組んだセンターステージを使って行われた。大規模な会場で初めて行われた円形ステージのライブといえばももクロが初の横浜アリーナで行ったライブが思い出されるが、無観客とはいえ超ときめき宣伝部が大会場での円形舞台をこなせることを十分に証明してみせたのではないかと思う。

超ときめき♡宣伝部 / さいたまスーパーアリーナで無観客生配信LIVE開催!

 超ときめき宣伝部(ときめき宣伝部)がこれまで辿ってきた過去を考えてみるとグループ発足後まもない2016年1月にさいたまスーパーアリーナで開催されたスターダストプロモーション所属のアイドルによる対抗戦「俺の藤井 2016 in さいたまスーパーアリーナ ~Tynamite!!~」での出来事は忘れることはできないかもしれない。
 次に引用するのは当時SPICEというウェブサイトに寄稿した「俺の藤井 2016 」の参戦レポート*1の一部である。

第1Rは福岡を拠点とする「ばってん少女隊」と東京の「ときめき▽宣伝部」によるフレッシュ対決だ。いずれも最近本格的な活動を始めたばかりの若いグループ同士の対決だが、ちょっとした裏事情を明かすと前座試合的な位置づけと見られがちだが、この両者にもちょっとした因縁、簡単には負けられない事情がそれぞれにありそれが勝負に興趣を加えていた。「ばってん少女隊」は、スタダ福岡営業所から誕生し昨年6月から活動を開始したアイドルユニット。こちらのマネジャーもプロレスファンで、一見あの人を連想させるところだが、プロレスラーの“革命児”棚橋弘至のニックネームにちなみ「100年に1組の逸材」をキャッチコピーとしている。ももクロを筆頭に姉妹関係でいえば5女となる。一方、「ときめき▽宣伝部」の方は同じくスタダ芸能第3部の所属だが、アイドル組ではなく、女優組により結成された。昨年4月にケーブルテレビで放送されている番組『私立輝女学園 SEASON2』を広めるために部活動という位置づけで生まれたグループなのだ。

芸能第三部のジュニア育成部門以前はアイドル志望の子と女優志望の子が混在していたが、数年前にこのそれぞれの希望に応じた育成を行おうと組織改革を行いこの両者は分離された。「ときめき▽宣伝部」はそのうち女優育成部門の方から生まれたアイドル。この対戦「ばってん少女隊」はアイドルとしての本流意識あっただろうし、「ときめき▽宣伝部」には2カ月ほどとはいえ先にデビューしたという先輩の意識はある。それぞれ負けられないという意識は強かったと思われるのだ。

対決は結局「ばってん少女。」を歌ったばってん少女隊の勝利に終わるが、アイドル志望の子たちを集めて結成したということもあってかこちらは平均年齢13.7歳と若いのに似合わず歌も踊りもかなりしっかりしていて、女優部門ということもあっては歌唱力に現時点では若干の難があった。「ときめき▽宣伝部」に順当といえる勝利をおさめた。

「俺の藤井 2016 in さいたまスーパーアリーナ ~Tynamite!!~」はスタダアイドルグループがSSAのステージに上がり、パフォーマンスを披露して、その時の歓声の大きさで勝負を決するという企画だが、この時発足したばかりのときめき宣伝部は最初のばってん少女隊との勝負に負けて、敗退してしまう。
 当時現地で生で見ていた印象はレポートの通りで勝負自体は順当なものと思われたが、スタダファンにときめき宣伝部の存在を知らしめたのは後に公開された舞台裏の姿でだった。1勝を挙げて、その後負けてもあっけらかんと帰ってきたばってん少女隊に対して、ときめき宣伝部のメンバーはロビーの一角で全員が悔しさのあまり号泣していていたのであった。スタダファン的は勝負の結果とは別にこの悔しさで号泣に心をわしづかみにされた人も多かったのではないか。
 実は配信ライブ後のあいさつでメンバーの中の何人かがかつてこのさいたまスーパーアリーナに立たせてもらったことに触れた。前述の「俺の藤井 2016 in さいたまスーパーアリーナ ~Tynamite!!~」のことであり、その時に負けた悔しさがアイドルグループとしての研鑽と成長を通じてここにもう一度立つという思いにつながったのかもしれない。そして、「ファンと一緒にここに立つことを目指す」と宣言して、だるまに片目を入れて実際にここに立った時にもうひとつの目にも墨を入れるとも誓った。
 スターダストプラネットのアイドルグループで単独でSSAの公演を実現しているのはももクロエビ中の2組のみだ*2。今回、超ときめき宣伝部が横浜アリーナでも、武道館でもなく、さいたまスーパーアリーナを目標に掲げ、だるまの目入れの儀式まで行ったことには大きな意味があったかもしれない。
  

ライブ配信】8/23(日)開場17:00 開演17:30【アーカイブ配信期間】 8/23(日)21:30~8/26日(水)23:59

natalie.mu
www.bilibili.com

*1:spice.eplus.jp

*2:TEAM SHACHIはかつて武道館と横浜アリーナ幕張メッセでの公演の経験はあるが、SSAでの公演実績はなかった。たこ虹は最終目標としている甲子園でのライブ以外に最近は現実的な目標として大阪城ホールでの単独ライブを言及している。