下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。

ももクロが10年ぶりにTIF降臨 スタプラアイドルも勢ぞろい TOKYOIDOLFESTIVALオンライン2020(3日目)

TOKYOIDOLFESTIVAL(3日目)

 普段はロックフェス(ロッキン、氣志團万博)には出かけてもももクロライブの外周フェス以外のアイドルフェスに行くということはほとんどないのだが、今年のTIFはオンライン開催になり五輪の関係でもともと時期が秋口にずれていたこともあり、普段は夏のスタジアムライブとスケジュールがかぶり参加できないももクロが参加。私も配信チケット(3日目)を購入、見ることにした。

TIF2020ももクロ HOTSTAGE 2020/10/04

 今年の3日目はももクロが10年ぶりに参加した。所属するスターダストプロモーションのアイドル部門「スターダストプラネット」のアイドルも勢ぞろいすることになった。それらをフォローしていこうとすると早朝一番手の佐々木彩夏から夜のメインステージ大トリのももクロまでスタプロの関連ステージを追いかけていくだけでタイムスケジュールがほぼ埋まってしまう。さらにはサブステージながら時間的にはももクロより後の時間帯になるアメフラっシまで出そろいスタプラフェスの状態なのだ。

佐々木彩夏ソロセットリスト

M1.Girls Meeting
M2.君が好きだと叫びたい (BAADカバー)
M3.だって あーりんなんだもーん☆
M4.ハッピー スイート バースデー! (高城、玉井ゲスト出演)


佐々木彩夏 | TIF2019

 SMILEGARDENのスタートは佐々木彩夏(あーりん)の登場である。ソロライブなのだが、最初の曲「Girls Meeting」ではダンサーとして、ダンスが得意な後輩2グループからCROWNPOP三田美吹、里奈、アメフラっシから愛来小島はなも登場、一緒に踊る。
 実はこの2グループはあーりんのソロ配信ライブ「A-CHANNEL」にも出演したのだが、残念なことにその時は大部分のシーンでマスクをしていて、個々の表情がよく見えるという風にはならなかった。今回は前回配信の際の心残りに対するリベンジの意味もあったのではないかと感じた。
 今回の衣装は一緒に登場した後輩のものも含めて、ももクロではあまり着ないようなスタイリッシュなもので、最近雑誌LARMEとモデル契約し、TGCではランウエイにも立ったあーりんの最新ファッションへのこだわりも感じられるものとなっている。こういうモード系の衣装をまとった時の後輩アイドルの容姿もさすがスターダストを思わせるものがあり、この日後から登場する後輩グループの顔見世アピールにもなったのではないか。
 「君が好きだと叫びたい」はアニメ主題歌のヒャダイン編曲によるカバー曲。この曲も含め、ここからの3曲は「ザ・あーりん」という選曲である。代名詞の「だってあーりんなんだもん」の途中ではロングからミニにスカート衣装を早替え、定番ながら驚かせる演出を踏まえたうえで、一転最後の「ハッピー スイート バースデー!」では被り物でケーキの妖精(玉井詩織)、紅茶の妖精(高城れに)に扮したももクロメンバーが登場するいかにもももクロらしい茶番も見せて、出番を終えた。

TIF2020 DAY3 浪江女子発組合 SMILE GARDEN

浪江女子発組合セットリスト

MC 自己紹介
M1 なみえのわ
M2 ミライイロの花
M3 あるけあるけ

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同じステージでは続けて、佐々木彩夏が総合プロデュースした地域アイドル「浪江女子発組合」が登場。浪江女子発組合(JA浪江)はあーりんプロデュースながらインパクトの強い本人のパフォーマンスとは対照的な清楚系アイドル。プレイングプロデューサーのあーりん本人に加えて、後輩グループのアメフラっシ、B.O.L,Tのメンバーが参加して、結成された。
 福島県浪江町の地域アイドルとして発足。同地の体育館をホームグラウンドに月1でライブ活動をしてきたが、コロナ禍でほとんど活動ができなくなり、一部配信ライブに登場したことはあったが、一般のアイドルファン向けにはこれがほぼ初披露の場といってもいい。
 最近のももいろクローバーZの活動での顕著な傾向のひとつはっ地域との連携。毎年春には地元自治体と共同主催により「春の一大事」なる数万人規模の動員の大規模野外ライブを企画、単にライブ開催にとどまらずライブ前には何度も現地を訪問して、その地域の紹介を行ったり、地元企業とのコラボ商品を開発したりと、地域活性化につなげたりしてきた。「春の一大事」は今年も福島県のJビレッジで開催が予定されていたが、すでに来春への延期が決まっている。「浪江女子発組合」もそうした地域活性化の一環として、浪江町からの提案もあり設立されたもので、よくあるように東京主体の企画を無理やり地方に持ち込んだものではなく「浪江町の地域アイドル」というのはそういう意味合いもある。
 これまで地元の人たちにライブを見てもらうとともにライブ入場券を地元で事前に配布することで、ファンに最低二度は現地に足を運んでもらい地元の飲食店や土産物店などでお金を落としてもらうことで、消費拡大に役立てるというような狙いがあったのだ。
 ただ、コロナ禍で当初予定していたプランは中断したままになっていたが、地元での集客ライブ復活に先駆けて、今回のTIFオンラインに参加。今月末の立川市で予定されている東京での初の集客ライブに向けてのPRともすることになった。
 コンセプトとしてはアイドルになりたかったあーりんがももクロではなれなかった「アイドルらしいアイドルグループ」というものでもあり、衣装にしても曲調にしても、いろんな意味でももクロとは対極にあるのが面白い。
 HOTSTAGEの最後を飾ったももクロは「行くぜっ!怪盗少女」「オレンジノート」「ココナツ」「走れ!」4曲からスタート。10年前のももクロ伝説のTIFを再現した。ももクロの代表曲である「怪盗~」だが、最近はセットリストにあえて入れていないことも多い。最初にこの歌から始めたのはTIFへの敬意を表したのかと感じたが、続く楽曲で「ひょっとしたら、これはあの時の再現」と分かった瞬間、「よくぞやった」と興奮させられた。
 後半の楽曲は一転して「THE DIAMOND FOUR」とももクロらしいラップ曲で最新の姿を提示。さらにバラード曲の「灰とダイヤモンド」、10周年の記念アルバム収録の新曲であった「クローバーとダイヤモンド」とダイヤモンドが表題に入った3曲を歌い、この10年のアイドルとももクロの歴史をTIF降臨の場で振り返るような内容とした。世間や他のグループのファンなどにはいまだにももクロ=怪盗少女のイメージが強いなかでの新旧両方の楽曲を入れて、しかもその両方を代表する「怪盗」「灰ダイ」がいずれもヒャダイン楽曲であるということには大きな意味があったのではないかと感じた。 

たこ虹セットリスト
M1. プレイバックス
M2.恋のダンジョンUME
M3.Boules de poulpes S'il vous plait
M4.もっともっともっと話そうよ-Digital Native Generation-
M5.輝け!おっサンシャイン!
M6.ナナイロダン


たこやきレインボー TIF 2020

下記のタイムスケジュールを参照していただければ分かるようにこの日はももクロ以外に所属の「スターダストプラネット」からばってん少女隊、ukka、Awww! 、B.O.L.T 、CROWN POP、超ときめき♡宣伝部、アメフラっシ、たこやきレインボーと傘下のグループが参加した。
たこ虹はまだ若いながらもTIFには前日参加の私立恵比寿中学、今年はあえて不参加のTEAM SHACHIと並ぶスタダ四天王の一角である。ダンスと歌のスキルの高さと容姿のよさなどアイドルとしてのポテンシャルの高さを見せつけたのではないか。
 たこ虹がライブをしたSMILEGARDENでは直前に最近avexとメジャー契約したばかりで注目のアイドル風雲児zocが魂を込めたような圧巻のパフォーマンスをしたばかりだった。コメント欄には「この後にやるたこ虹がかわいそう」などのコメントが複数出てきたが、たこ虹としても年齢こそかなり下だが、avex所属アイドルとしては先輩。実績も格も上で、ひき下がるわけにいかない場面でもあった。  
 そんな中で「正統派のアイドルとはこういうものだ」と見せつけるようなライブを展開した。
 この日、勢いを見せつけにきた超ときめき宣伝部、ukka、アメフラっシら競い合う後輩グループに対しても、一部の隙もないダンスの統一感、それぞれの表情の作り方など配信ならではのスキルも存分に見せつけた。
 いかにも「ザッツ・アイドル」という「プレイバックス」「恋のダンジョンUME」「Boules de poulpes S'il vous plait」「もっともっともっと話そうよ-Digital Native Generation-」といったかわいいアイドル曲からスタート。後半は一見面白ソングと見せかけて実は泣かせる「輝け!おっサンシャイン!」、松隈ケンタによるダンス曲「ナナイロダンス」と楽曲の多様性も見せつけ、始まる前にあったネガティブな声を封殺することになった。
 たこ虹に関してはこれまではほとんど関西中心での活動だった。そのため、東京での知名度は一部、妹グループと比較しても低いが、他グループのファンに対しても晩御飯を作って愉快に食べているだけのグループではないことを見せつけたのではないか。

CROWNPOP TIF 2020

CROWN POP TIF 2020

この日気になっていたのは中心メンバーだった山本花織が抜け5人体制となったCROWNPOPだった。だが、ライブが始まると5人でのパフォーマンスの完成度の高さに驚かされた。
 三田美吹の頑張りもいつも以上でその気迫にも心打たれるものがあった。改めて思ったのはダンスが売り物で絶対的なセンターがいるグループの場合、5人はフォーメーションを組んだ時にセンターポジションが目立つので、とても栄えて見えるということだ。見え方もきれいですっきりしていて5にんはダンススキルの高いクラポが魅力を発揮するには適しているかもしれない。この日のパフォーマンスを見ながらそんな風に思った。
 雪月心愛(みぃあ)が山本花織から煽り役を受け継ぐことで役割分担もビビッドになり、歌唱力が急速に向上しつつある田中咲帆、藤田愛理とかなり強力な布陣となってきたのではないか。

アメフラっシ TIF2020

 アメフラっシもパフォーマンス自体は良かった。自体はなどと書いたのはその完成度の高さで同世代のグループを圧倒するはずだったのにTIF側の落ち度でカメラ割がひどく、激しい動きを伴いながら、精密な彼女らのパフォーマンスの一番優れた部分を伝えきれなかったからだ。
 アメフラっシは次々とつながれていく、高いスキルが要求されるソロ歌唱が非常に安定しているのが大きな武器。さらにそれに激しくフォーメーションチェンジを繰り返すダンスか組み合わさリ、圧倒的なパフォーマンスが展開される。しかし、誰がどこで歌うのかが複雑で、センターポジションに固定されているわけではないので、この日はカメラ、スイッチャーともに振り回されてしまっていて、カメラ酔いしそうになるほどフラフラしてしまっていた。
ただ、今後のためにということを考えると演じる側もどのカメラがどこにあって何を狙っているのかをもう少し考えるべきかもしれない。
 担当するカメラマンの技量も違うから簡単に比較は出来ないが、ももクロは配信ライブということもあり、完全に全てのカメラ位置を把握した上でカメラ目線を送っていた。アメフラっシには自分たちのパフォーマンスをしっかりやるということで必死でそういう意識が希薄だったかもしれない。パフォーマンス自体は悪くなかっただけに残念だ。
 思い出してみれば浪江女子発組合の挨拶の際にカメラがメンバーの挨拶を追いきれてないのに気がついたあーりんがそれぞれの挨拶のテンポを咄嗟に修整しやりなおさせていた。経験値の差といえばそれまでだが、そういう意識の差が大事という教えだったと思う。
ももクロにはそれができてなぜ他のグループはできないのだろう*1を考えていた時に実はいままで疑問に思っていたいくつかの別々のことが頭の中で「カチっ」とひとつにつながった。
 ひとつは今回の配信フェスでのカメラ目線のこと、もうひとつは野外フェスで見せつけるももクロの観客への異常に長い射程距離、そして夏菜子が以前GF(ガールズ・ファクトリー)で見せたバンドの演奏者と目線を合わせてのパフォーマンス……。一見別々のものと思われていたこれらのことは実は全てつながっているのではないか。これは彼女らが一緒に演奏するミュージシャンやスタジアムや運動公園に溢れる観客、そして、今回は配信を行うカメラマンやスイッチャーなどのスタッフからさらにはカメラの向こう側にいる無数の観客。そして、野外では時に吹き抜ける風や照り付ける太陽などこうした神羅万象に近いようなことまで、意識の片隅に置いてパフォーマンスしているからではないかと思う。

タイムスケジュール(スタダ中心に、メモがわり)
09:40-10:00 佐々木彩夏(アメフラっシ、CROWN POPからも選抜メンバーがダンサーで参加) SMILEGARDEN
10:10-10:30 浪江女子発組合 SMILEGARDEN
10:50-11:05 ばってん少女隊 LoftStage
11:10-11:30 ukka SMILEGARDEN
11:30-11:50 Awww! CGlabo
12:05-12:25 ばってん少女隊 CGlabo
12:55-13:15 B.O.L.T CGlabo
13:30-13:50 CROWN POP CGlabo
14:10-14:25 Awww! LoftStage
14:45-15:00 B.O.L.T SkyStage
15:00-15:30 超ときめき♡宣伝部 SMILEGARDEN
15:45~16:00 ミューコミ娘。(根岸可蓮三田美吹参加)LoftStage
17:15-17:35 超ときめき♡宣伝部 CGlabo
17:55-18:25 たこやきレインボー SMILEGARDEN
18:30-18:45 CROWN POP LoftStage
18:45-19:20 ももいろクローバーZ HOT STAGE
1945-20:05 アメフラっシ LoftStage

http://www.idolfes.com/2020/json/timetable/1004.pdf
tif.spwn.jp

*1:というよりも、まず最初にその必要性を感じていないのだろうと思う。