下北沢通信

中西理の下北沢通信

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アメフラっシ、いぎなり東北産、B.O.L.T 、ばってん少女隊らスタプラの精鋭が集結。しゅかしゅん、まなみのりさ、Task have Funら実力派アイドルと対決 GIG TAKAHASHI2@STUDIO COAST

GIG TAKAHASHI2@STUDIO COAST

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アイドルフェスとはどういうものなんだろうという探求(自分的にはフィールドワークと呼んでいる)のために最近いくつかのアイドルフェスを見て回っているのだが、そうした中ではGIG TAKAHASHIはかなり毛色の違う選択基準で出演アイドルを決めているのではないかと思った。
企画者がもともとももクロと多くの仕事を手掛けてきた人物*1でその関係でスターダストプラネットのアイドルが今回もB.O.L.T 、アメフラっシ、ばってん少女隊、いぎなり東北産と4組もブッキングされていて、準スタダフェスの様相を呈していたのに加えて、それ以外のグループも大阪☆春夏秋冬 、 九州女子翼 、Task have Fun、ゆるめるモ !、まなみのりさとただ可愛いとかきれいとかだけ以上にライブに強いと言われる実力派のグループが顔を揃えていたからだ。
 そういう意味ではこの日の各グループのパフォーマンスの盛り上げ方は参加したスタプラのグループにとっても非常に有益な学びの場になったのではないかと思った。
 そういう中でB.O.L.T はトップバッターに置かれていたということもあり、いつも通りのパフォーマンスで盛り上げ、場を温めるという意味でも重要なタスクを確実に遂行したと思う。ここのグループの一番のフックはどこの会場に行っても最年少であることが多い年少組のあやなのコンビの元気溢れるパフォーマンスだ。現時点のパフォーマンスに目が引き付けられるに加えて、継続的に何度か見ていると短期間での成長の度合いが凄まじい。完成度の高いパフォーマンスはもちろん魅力的だが、こういうのがアイドルならではの魅力なのは間違いない。
 とはいえ、この日見た中で抜群のステージングの見事さに舌を巻いたのが二丁目の魁カミングアウトである。ゲイアイドルと宣言した新奇さはもちろんあるし、女性アイドルばかりが集められたフェスに参加したことで注目を集めるということはあるが、歌やダンスの実力はもちろん前提だが、コロナ禍という困難な状況をものともせずに観客を巻き込み、盛り上げていくステージングのスキルの高さが素晴らしいと思った。ももクロなどは例外としても過去にライブをフェスで経験した中ではこれに近いレベルの観客の盛り上げ方を体験したのはゴールデンボンバーぐらいであろうか。メンバー全員が歌って踊れるというのはより優位な点があると、時代も彼らにとってフォローの風が吹いている。ヒット曲を出すことでもあれば一気に人気大爆発する可能性はあるのではないか。ただ、キャラが立ちそうなだけに単なる色物とされないためには周到な戦略は必要だと思う。
 九州女子翼は4人編成でボーカル力の高いメンバーを複数そろえているという意味でこの後にやることになっていたアメフラっシと共通点があり、それがちょっと気にかかっていたのだが「九州から呼んでくれたのでかならず爪痕を残す」とのメンバーの言葉通りの素晴らしいパフォーマンスを展開した。アメフラっシを応援してきた立場としてはこれまで見てきたアイドルフェスの中では彼女らに匹敵するようなスキルの高さを感じさせるグループはほとんどいなかったが、九州女子翼はいままでアメフラっシが体験した中では実力、気迫ともに最強の刺客といっても良かったかもしれない。

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 しかも、「さまざまな苦境を迎えても私たちは負けないで歌い続けるぞ」という最後の曲の「空への咆哮」のメッセージがアメフラっシの最近のライブで切り札としていた「Staring at You」と似ている部分もあり、下手をすれば二番煎じ感が出て九州女子翼の好パフォーマンスの前に飲み込まれてしまうんじゃないかと思わせれたからだ。
 だが、私はここから現在のアメフラっシの真の実力を目の当たりにすることになる。なんと1曲目はいつものようなロックチューンではなく、新曲「Sensitive」。STUDIO COASTは大箱のクラブとしても使われる音響のいい会場であるから、それを活用してタテのりで盛り上げるようなロック系の楽曲をあえて外して、「Bad Girl」「メタモルフォーズ」など高度にスキルフルな最近の洋楽的な楽曲、ダンスミュージックを続け、前のパフォーマンスの余韻を一瞬にして消し去ってみせた。
 もちろん、九州女子翼が披露したようなロック系の盛り上げ曲で対抗すればそれもできたとは思うが、場に合わせて様々な対応ができるだけの実力をすでにこのグループはそなえており、どうしたらそこに出られるかという問題はあるとはいえ、野外の大規模ロックフェスなどどこに出しても、あるいはどんなグループと対バンしても見劣りしないだけの実力を備えつつあるのではないだろうか。興味深かったのは前の座席にいた別のグループのものと思われるペンライトを持っている女子オタが次第にアメフラっシに惹かれていくのをリアルタイムで目撃したことだ。人垣から覗き見るように愛来をガン見していたほか、最後にはアメフラっシのトラのポーズを一緒にやっていた。こういう人が大勢いるようなところにターゲットを変えた方が新しいファンを獲得するのにはいいのではないか。
 そして、その次のゆるめるモ!が面白い。アメフラッっシが圧巻パフォーマンススを終えた後であり、正直場内は一息ついている観客も多く、アウエー状態であるのにそこからいつのまにかゆるいというか柔らかい自分たちのペースに持ち込んでいく。歌がうまいとか、ダンスのスキルがものすごく高いとかそういうことではないのにこれはなんなのだろうと思う。そういえばその時には今のメンバーとかなり違っているんじゃないかと思うのだが、ももクロの周回ライブで以前にもゆるめるモ!について同じような体験をしたことを思い出した。その時はメンバーが観客の中に駆けこんでいったのを思い出したが、今はコロナ感染予防もあってそれもできない。そんななかでも自分のペースに持ち込んでしまうこれはもうお家芸というべきなのだろうか。不思議なグループだ。以前に聞いた時にも思ったがももクロ「走れ」へのアンサーソングのようにも思える「逃げろ!!」という曲はやはりいい曲だと思う。

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ばってん少女隊を生で見るのもずいぶんひさびさのこととなるが、とにかく元気がいいという以前の印象とは異なり、洗練されたパフォーマンスに驚かされた。新メンバー二人をライブで見るのももちろんはじめてだが、まだ身体はひとまわり小さいが完成されているという気がした。自然にそちらに目が行ってしまうような華もあり、逸材感が凄い。アメフラっシが「メタモルフォーズ」以前と以後ではまるで違うグループになったように有線放送でバズってばってん少女隊再浮上のきっかけとなった「OiSa」の影響力は大きいのではないか。最後に挨拶もせずに暗転のまま消えていく演出も印象的だった。

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Task have Funは先日MXIDOLFESTIVAL Vol.24@豊洲PITで見ていてけっこう魅力的だなと思っていたのだが、1人欠席で2人だったために次こそ3人揃った完全体としてのTaskが見たいと思い、この日も参加しているのを知り楽しみにして待っていた。ところがこの日もやはり二人で事情はよく分からないが、この欠席は何かの事情でこの日だけいなかったという類のものではなかったようだ*2
この日のもうひとつの収穫はまなみのりさがその健在ぶりを見せてくれたことだ。実は昨年オンラインで行われたGIG TAKAHASHIファイナルではライブの最後のラインナップはTask have Fun、まなみのりさあゆみくりかまき、大阪☆春夏秋冬 という陣容だった。実はこの日のライブでは客入れ時のBGMとして解散したあゆみくりかまきの「未来トレイル」が流れていたのだが、彼女たちの姿はきょうはなく、アイドルの儚さを感じるなかで、ダンスもコーラスも高度なスキルのまなみのりさの精緻なパフォーマンスは長年活動に頑張ってきたグループならではの成熟味を感じさせた。

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しゅかしゅんで知られる 大阪☆春夏秋冬も実力派アイドルだが、本格的なダンス&ボーカルユニットで、ツインボーカルにダンサー3人という構成だから、アイドル味というのはあまり感じない。もちろん、アイドルも何でもありになってきているので、グレーゾーンの領域についてあれこれ言っても本人たちがどう考えているかにしか、アイドルの根拠はないわけだが、活動の範囲を考えればアイドルということでいいのだろう。
 しゅかしゅんの武器はメインボーカルのMAINAの圧倒的な歌唱力だが、歌い方もソウルシンガーやロックシンガーを思わせるもので、ジャズやストリート系を思わせるダンスと組み合わせた時に醸し出されるダイナミズムには魅力があった。直前のまなみのりさとはいろんな意味で対極的なパフォーマンスなのだが、どちらも歌、ダンスのスキルを突き詰めて到達したものであることは間違いなく、そうした諸要素の高度な調和を目指すアメフラっシにはアイドルはここまでできるという意味では参考になったのではないかと思う。あるいは参考にしてほしい。
 この日のトリを務めたのはいぎなり東北産。スターダストの若手グループで勢いを感じるグループというとアイドルファン界隈では超ときめき宣伝部の名前を挙げる人が多いようだが、粗削りだが、ポテンシャルと勢いというだけならいぎなり東北産は超とき宣にも対抗できるだけのものをすでに持っているのではないかと思う。
いぎなり東北産のメンバーがアイドルとして高いポテンシャルを持つことは以前から知られてはいたが、これまではメンバーがまだ若くて大半が学生であること、さらにコロナ禍の現状では広域の活動が困難であることから、東京などに比べるとコロナの影響が比較的軽微である地元東北地区に絞り込んで活動を続けてきた。この間、中心メンバーでエース的存在である伊達花彩がテレビ東京系のドラマ「アイカツ」に抜擢されていぎなり東北産としての活動を一時的に休業するなどの期間もへて、戻ってきたのをキッカケにして、新アルバム「東京インヴェージョン」の発売など本格的な攻勢をかけはじめたところで、今回のGIG TAKAHASHI2参加もその一環であろう。
 アメフラっシ、ばってん少女隊ら先輩グループと比べるとよくも悪くも粗削りな部分はあるが、だからこその圧倒的なインパクトがあるし、伊達花彩、橘かれんら中心メンバーのポテンシャルは天井知らずと感じさせる。やはり注目のグループである。

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オープニングアクト
NELN / BmF(6/18 NEW)

<出演者>
アメフラっシ / ARCANA PROJECT / いぎなり東北産 / 大阪☆春夏秋冬 /
二丁目の魁カミングアウト(6/18 NEW) / ばってん少女隊 / PiXMiX / B.O.L.T / 九州女子翼 / Task have Fun/ meme tokyo. / ゆるめるモ !/ まなみのりさ

https://www.hipjpn.co.jp/wp-content/uploads/2021/05/9615ac3b495abde745d854dfb994ac24.pdf

*1:ももクロ界隈ではももクロライブに総工費5億円の巨大セットを勝手に作っちゃった人として有名。

*2:5月16日に体調不良のために当面休養と発表があって以来そのままになっているようだ。