下北沢通信

中西理の下北沢通信

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かわいさよりもカッコよさを探求するももクロの後輩グループ Youtube映像で見るアメフラっシ入門

Youtube映像で見るアメフラっシ入門


ももいろクローバーZ私立恵比寿中学が所属するスターダストプロモーションのアイドル部門スターダストプラネットスタプラ)の中でいまだ知名度こそ高くないが、私が個人的にもっとも注目しているグループがアメフラっシ=写真上=である。ももクロ直系のアイドル育成グループに3Bjuniorというのがあり、ここからはロッカジャポニカはちみつロケットといったグループが巣立っていった*1が、この育成グループが解散後、残された精鋭メンバーで結成されたのがアメフラっシである。おかしな名前からギミックありありの面白アイドルと勘違いされる向きもあるかもしれないが、前身グループ時代から鍛え上げられた歌、ダンスの実力を生かして、極めて完成度の高いパフォーマンスを行うダンス&ボーカルガールズユニットへと成長を遂げており、私のイチ押しのグループなのである。
最近になってようやく一部の人の間で話題になりはじめているが、アイドルファンの知人からさえ「どういうグループか分からないので知りたい」との声が上がっている。最近はネット上にライブ映像もアップされてはいるのだが、どの映像を見れば分からないとの声もあり、今回まずは「これを見ろ」という映像を紹介することにしたい。

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きんよるライブとあるが6月に渋谷のライブハウスで開催されたワンマンライブの映像でここでは「MICHI」「Sensitive」「アダムスキーじいさん~ハムとみかん~」「バカップルになりたい!」の4曲が紹介されている。注目は2曲目に収録された「Sensitive」だ。「Sensitive」はこのライブが初披露だったが、この曲を表題曲とするシングルが11月3日に全国流通販売されることになっている。コロナ禍のなか一進一退ではあるが、現在リリースイベントが続いている。最近のアメフラっシの特徴は「ガールクラッシュ」と呼ばれるスタイリッシュな女性のカッコよさ、強さを強調するような楽曲がひとつの主流となっていることだ。いわゆるアイドル曲と呼ばれる楽曲傾向とはかけ離れているため、「K-POPみたい」というような評が散見されているのだが、むしろ洋楽的というべきだろう*2。もっとも、アメフラっシはその一方でその類稀な表現力を生かして変幻自在と自称するように様々な楽曲を手掛けるために上記の映像では最後に収録されている「バカップルになりたい!」のようなコミカルなアイドル曲(?)もある*3

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次の2つの映像はいずれもZEPP HANEDA*4でのライブ映像。最初は第二部での映像で、冒頭が「メタモルフォーズ」。アイドル楽曲には珍しい本格的なEDM(エレクトロ・ダンス・ミュージック)曲だが、前述した「ガールクラッシュ」を最初に志向し転機となった楽曲でもある。この曲が現在のところアメフラっシの代表曲でもあるが、この映像では途中のドロップ部分の煽りで初めて客をジャンプさせた。これはその後、定番となって現在はフェスなどで観客を動かし巻き込んでいく大きな武器ともなっている。「STATEMENT」は曲なかに入る愛来の「このまま終わるもんか」の叫び声が印象に残る。アメフラっシの魂の叫びのような歌であり、スタプラが外部のアイドルも招いて企画した対戦型アイドルイベント「ライブスタイルダンジョン」第二回大会で第一回大会を全勝で圧勝し絶対王者と言われた桜エビ~ず(現ukka)に初めて土をつけて、アメフラを優勝に導いた楽曲でもある。そして、最後の「Staring at You」は最近のライブでは最後に歌われることも多く、アメフラのアンセムのようになりつつある楽曲である。最後の方にメンバー、ファンの全員で指を使って☆の形を作る演出(振付)が印象的だ。
一方、2番目の映像は「Rain Maker」からスタート。ロック調の激しい楽曲で初期はこういう楽曲も多かった。名刺代わりの1曲というか、初めからフルスロットルでかましたい時に歌われることが多い曲。次の2曲「フロムレター」「Over the Rainbowはメンバー個々の歌唱力を生かしたバラード的な楽曲で、グループのポテンシャルの高さを端的に示すことができる曲でもある。「フロムレター」は愛来が参加しない3人で歌い、アメフラっシにはこういう全員では歌わない曲も珍しくない。「Over the Rainbow」では逆に愛来がひとりで登場してソロで1番を歌う。愛来のソロ曲なのかと思わせたうえで2番では鈴木萌花が登場してふたりによるハモを聞かせ、続いて市川優月ポエトリーリーディング小島はなのソロ、全員のユニゾンと続くという凝った構成になっている。フェスなどでは他の仕事(演劇など)でメンバーの一人が抜けた時にこうした楽曲がキーとなるセットリストを組み、4人とそん色のないパフォーマンスを見せることができ、特に最近メンバーの小島はな鈴木萌花が相次ぎ、コロナ感染で欠席せざるを得なくなった時には大きな威力を発揮した*5

最後に最近のライブパフォーマンスからもう1本(参考映像)
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<ライブパートSETLIST>
M1.BADGIRL
M2.Sensitive
M3.MICHI
M4.メタモルフォーズ
M5.グロウアップ・マイ・ハート

*1:いずれもその後解散

*2:アヴィーチー(Avicii)を彷彿させるとの声があったので、Youtubeで調べてみるとこちらは当たっている部分はあるかもしれない。 www.youtube.com
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*3:K-POPグループがこういう歌を歌うことはまずありえないだろう。

*4:simokitazawa.hatenablog.com

*5:どこまで意図したものかは分からないが、愛来と萌花の舞台出演などグループを続けながら個人の活動がしやすい状況も作っているのが素晴らしい。来年、高校卒業後はゆずはなの個人活動も増えていくかもしれない。